小スカBLシチュエーション集

カルキ酸

文字の大きさ
上 下
10 / 13

電マ

しおりを挟む


「んっ……! ぁ……っ!!」
「あやと……っ、あやと……さ……んっ!」
「や……っ……ぁ」

 がっつくなって……と、ホテルの部屋のドアをあけた瞬間に引きこんでキスするのを制された。
 数回キスをして目を見合わせて。濱口は、うう、と少し耐えると、苦笑いをこぼしている奥村を部屋の中へと案内するよう手をひく。ジャケットを預かってそれをハンガーにかけていると、奥村が濱口の腕を引き、それを抱き締めてくる。一方の濱口は、彼の細い体を大きなベッドに押し倒す。奥村は靴を蹴り出して、必死になっている恋人の顔を見て笑った。

「ひでえ顔。欲望まるだしってかんじ」
「だって……っ! あんなに煽られて、オレ……っ、い、一時間が長くて……!」
「うん、ごめん」
「礼人さん、こんな良い部屋とって、どうした、の……?」
「……んーー……」

 自分へのご褒美? と困ったように笑う恋人は、くすくす笑いながら濱口のネクタイに手をかけた。奥村のとっていた部屋はジュニアスイートで、無駄に広い。やたらと広い。濱口が風呂を見て、これはラブホ並み……と感動したくらいには広かった。そこで無駄な妄想をして時間をつぶしていたくらいだ。

「やっと、今日で仕事の目処ついたし……」
「う、ん」
「明日も明後日も休みだから……な」
「えっ、どっちもなんだ? 久しぶりの休み……」
「……ああ。……だから、お前とずっと一緒に居たい」

 そっと手を濱口の頬にかけた奥村は、濱口をじっと見つめると、悪かったな、と苦笑いをこぼした。

「会社で……あんなことして……」
「っ! い、いいって!! 嬉しかったし、オレ……っ!」
「うん……なあ……」

 ねだるように目を閉じられ、濱口はその唇を自分のそれで塞いだ。舌をあわせ、それを吸い、言葉を飲み込むようにキスを繰り返す。はあっと小さな息を吐いた濱口は、ぐいっと自分の頬をつねって痛みを確かめた。

「……何してんだ、お前……」
「だって! 夢だと困るから!」
「なんだよ、それ」
「オレ、礼人さんとできなくて、ずっと夢で……夢で礼人さんとヤってました、ごめんなさい!」

 夢の中でぐちゃぐちゃにしちゃった……どうしよう、と濱口はあまりの状況に混乱しているのかそんなことを暴露してしまう。奥村は一瞬きょとんとした後、あははっ! と珍しく声をあげて笑った。

「なんだよ。謝るくらいのことしてたのか……?」
「いや……その……今日してもらった……こと、とか」
「会議室で口で?」

 そう言って面白そうにその仕草をするのは随分と意地が悪い。

「……うう……デスクに押し倒したりとか……色々……です」

 すみません……と濱口は項垂れるが、奥村は珍しく笑ったままだ。少し意地の悪い笑みを浮かべ、流すような視線を眼鏡の奥から送ってくる。

「オレ、基本的に仕事のことが頭からはなれねえから……」
「?」
「……今日は全部忘れて、お前のことだけ考えてーんだ。……ぐちゃぐちゃにしてくれていいぜ?」
「っ!!!?」

 礼人さん……と呼ぶ声が掠れそうになる。濱口が何もできず震えていると、奥村は困った表情を見せ、とりあえずこれ、とネクタイに指をかけた。

「オレが外した方がいいの? ……お前がほどきてえの?」

 そう訊かれた瞬間に、濱口は奥村の体をベッドに深く沈み込ませるように押し付けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

待てって言われたから…

ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。 //今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて… がっつり小スカです。 投稿不定期です🙇表紙は自筆です。 華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)

身体交換

廣瀬純一
SF
男と女の身体を交換する話

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

処理中です...