3 / 13
土砂降りの中で
しおりを挟む台風が近づいているらしい。仕事帰りに職場の人たちが言っていた。
会社の外に出ると、バケツをひっくり返したような大雨だった。幸いにもまだ風は強くなく、俺はビニール傘をさして駅へと向かった。
「お急ぎのところ、お客様には大変ご迷惑をおかけ致します」
この大雨で、電車が遅れているらしい。いつもより人で溢れた駅には、遅延を知らせるアナウンスが何度も流れていた。
乗るはずだった電車は30分遅れ。
30分あれば、歩いてでも帰られる。
改札にICカードをかざす前だった俺は、踵を返して歩き始めた。
雨が酷くなってきた。ビニール傘に当たる雨粒で何も聞こえないくらいだ。歩道は浅い川のようになり、革靴にも水が入って気持ち悪い。
やっぱり電車を待つべきだったと思うのと同時に、トイレに行っておかなかったのも後悔した。
一歩踏み出す振動が膀胱を刺激する。股に力を込めたり、慎重に緩めたりして、なんとか漏れるのを防ぐ。バチャバチャと響く水音に連想してしまうのも辛かった。
家に着くまで我慢出来ない!
幸いにも、この大雨で他に通行人もいない。少し立ち止まり、傘を持っていない方の手で股間を押さえてみる。
下腹部に鈍く広がる焦燥感に、頭が真っ白になる。
大の大人が、こんな道端でおしっこを漏らすわけには・・・
不意に、悪寒がして震える。
もう、駄目だ。
俺は、その場にしゃがみ込んだ。
スラックスの股間まわりは濡れ、その中心から勢いよく噴水が出来てビチャビチャと音を立てる。
今日が、雨で良かった。
黄金色の液体は、水たまりに混ざって流されていく。
生温く濡れた下着とスラックスが肌に張り付いて不快だが、おしっこ我慢から解放されて清々としていた。
すっかり出してしまう頃には、スラックスの足首のあたりまで濡れていた。
俺はビニール傘をわざとひっくり返して骨を折り、無理矢理に傘を閉じた。
全身ずぶ濡れになって帰るのも、悪くなかった。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
待てって言われたから…
ふみ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる