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逃走する怪盗はトイレに行きたい
逃走と尿意
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普段なら、とっくに警察を巻けているのに、と思いながら、怪盗は走っていた。
もしかして、盗んだダイヤの指輪に発信機が?と疑い、指輪を別の場所に隠して逃げるも、やはり警察は的確に怪盗を見つけ出した。
身につけた衣服を全てその場で盗んだものと着替えても、何度、警察から姿を眩ませても、数分後には見つかる。
「い、一体、どうやって・・・」
怪盗は、息も絶え絶えになりながら、細い路地裏に入り、自販機の裏に隠れた。
髪や肌を触るも、発信機らしきものは付いてない。ドローンが近くを飛んでいる音も気配もない。それなのに、何故。
「こっちだ!」
警官が叫ぶ。
逃げようとすると、正面からも警官が迫ってきていた。
しまった。挟み撃ちにされた・・・!
「もう逃げ場は無いぜ」
前からも、後ろからも、警官が迫る。
怪盗は、懐から、銃のようなものを出す。空に向けて引き金を引くと、鉤縄のようなものが飛び、ビルの屋上の柵に絡まる。引っ張られるように、怪盗は宙を浮いて、屋上へと逃走して行った。
「チクショウ!」
見上げながら、警官が叫んだ。
いくつかビルの上を飛び、駆けながら、怪盗は考える。警官がどうやって的確に自分の位置を割り出しているかが分からない限り、ラチがあかない。
腕時計を見ると、深夜1時。もう5時間も逃げ回っている。さすがに体力もない。
それに・・・。
怪盗は、ぎゅっと下腹部に力を込める。尿意も限界に近づいていた。
左右を確認しながら、とある高校の校門をよじ登る。確か此処には、グラウンドの近くにトイレがある筈だ。
まだ警官は追いついていない。今のうちに、早く済ませてしまおう。怪盗は、ダッシュで外トイレに向かう。
「怪盗ナイトウォーカー、観念しろ!」
トイレに隠れていた警官が、懐中電灯の光を当てる。
「うわっ」
慌てて急回転し、全力で走る。怪盗ら、窓ガラスを割り、校舎に忍び込んだ。
「怪盗は、第二高校の校舎に進入しました。トイレの近くを重点的に警備しといてください。奴を追い込みましょう」
インカムで、楽しそうに白夜探偵は言う。
パトカーで第二高校に向かいながら聞いていた香坂刑事は、可哀想に、と同情していた。
階段を上がってすぐ。そっと廊下の角から覗いた怪盗は、トイレの前で待機する警官を見つけて、ため息をついた。この階も駄目だ。完全に自分がトイレに行きたい事までバレている。
下腹部には、強い尿意が襲っていた。内股で、股間を押さえる。もう、少しでも走ったりすると漏らしてしまいそうだった。
パタパタと、階段を登ってくる足音が聞こえる。怪盗は、咄嗟に近くの教室に逃げ込んだ。
懐中電灯の光が近づいてくる。そっと掃除用ロッカーの中に入り、隠れた。
祈るように、息を潜める。心臓の音がうるさい。今回ばかりは、いよいよ、駄目かもしれない。
怪盗は、スラックスの上から、ぎゅっと股を押さえる。ピクピクと小さく痙攣する。もう、出る。漏らしてしまう。やだ。漏らしたくない。
「奴は近くにいるはずだ!」
渡辺警部の低い声が近くで聞こえる。冷や汗が背中を伝う。
来ないでくれ。今だけは、本当に。
もしかして、盗んだダイヤの指輪に発信機が?と疑い、指輪を別の場所に隠して逃げるも、やはり警察は的確に怪盗を見つけ出した。
身につけた衣服を全てその場で盗んだものと着替えても、何度、警察から姿を眩ませても、数分後には見つかる。
「い、一体、どうやって・・・」
怪盗は、息も絶え絶えになりながら、細い路地裏に入り、自販機の裏に隠れた。
髪や肌を触るも、発信機らしきものは付いてない。ドローンが近くを飛んでいる音も気配もない。それなのに、何故。
「こっちだ!」
警官が叫ぶ。
逃げようとすると、正面からも警官が迫ってきていた。
しまった。挟み撃ちにされた・・・!
「もう逃げ場は無いぜ」
前からも、後ろからも、警官が迫る。
怪盗は、懐から、銃のようなものを出す。空に向けて引き金を引くと、鉤縄のようなものが飛び、ビルの屋上の柵に絡まる。引っ張られるように、怪盗は宙を浮いて、屋上へと逃走して行った。
「チクショウ!」
見上げながら、警官が叫んだ。
いくつかビルの上を飛び、駆けながら、怪盗は考える。警官がどうやって的確に自分の位置を割り出しているかが分からない限り、ラチがあかない。
腕時計を見ると、深夜1時。もう5時間も逃げ回っている。さすがに体力もない。
それに・・・。
怪盗は、ぎゅっと下腹部に力を込める。尿意も限界に近づいていた。
左右を確認しながら、とある高校の校門をよじ登る。確か此処には、グラウンドの近くにトイレがある筈だ。
まだ警官は追いついていない。今のうちに、早く済ませてしまおう。怪盗は、ダッシュで外トイレに向かう。
「怪盗ナイトウォーカー、観念しろ!」
トイレに隠れていた警官が、懐中電灯の光を当てる。
「うわっ」
慌てて急回転し、全力で走る。怪盗ら、窓ガラスを割り、校舎に忍び込んだ。
「怪盗は、第二高校の校舎に進入しました。トイレの近くを重点的に警備しといてください。奴を追い込みましょう」
インカムで、楽しそうに白夜探偵は言う。
パトカーで第二高校に向かいながら聞いていた香坂刑事は、可哀想に、と同情していた。
階段を上がってすぐ。そっと廊下の角から覗いた怪盗は、トイレの前で待機する警官を見つけて、ため息をついた。この階も駄目だ。完全に自分がトイレに行きたい事までバレている。
下腹部には、強い尿意が襲っていた。内股で、股間を押さえる。もう、少しでも走ったりすると漏らしてしまいそうだった。
パタパタと、階段を登ってくる足音が聞こえる。怪盗は、咄嗟に近くの教室に逃げ込んだ。
懐中電灯の光が近づいてくる。そっと掃除用ロッカーの中に入り、隠れた。
祈るように、息を潜める。心臓の音がうるさい。今回ばかりは、いよいよ、駄目かもしれない。
怪盗は、スラックスの上から、ぎゅっと股を押さえる。ピクピクと小さく痙攣する。もう、出る。漏らしてしまう。やだ。漏らしたくない。
「奴は近くにいるはずだ!」
渡辺警部の低い声が近くで聞こえる。冷や汗が背中を伝う。
来ないでくれ。今だけは、本当に。
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