刑事×怪盗の秘密

カルキ酸

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高熱とバケツトイレ

発熱で動けないので、バケツをトイレ代わりにします。①

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 アラームで目を覚ました香坂こうさか刑事は、目を開けないままにテーブルの上のスマートフォンを探した。ようやく手に取りアラームを止めると、怠そうに上半身を起こす。
 今日は遅番なのに、間違えて早番のアラームをセットしていた。まだ眠れたのに。
 
 損した気分になりながら、ふと、横を見ると、怪盗がまだ眠っていた。
 いつもなら、自分が起きる前に部屋から居なくなっているのに、珍しいこともあるもんだと思っていると、彼から苦しそうな呼吸が聞こえた。

「どうした・・・?」
 刑事が怪盗の顔を覗きこむと、眉間にしわを寄せて、頰を赤く染めていた。こみかみや首元には、汗が浮かぶ。
 まさか。と思い、額に手のひらを置くと、明らかに平熱では無かった。
 昨晩、行為をしたとき、体内がやたら熱かったが、あれは酒のせいでは無かったのか。

「待ってな。今、冷却シートとか持ってきてやるから」
 ベッドを降りようとした刑事をのパジャマの裾を、怪盗は掴んで呼び止めた。

「その前に・・・お、おしっこ」
 怪盗は、ますます顔を赤らめて言った。
 ベッドから降りようとするも、ふらふらしてまともに立てない怪盗を、刑事は肩を貸しながらトイレに連れて行く。
 肩を貸したまま、便器の前に2人で立つ。一瞬、躊躇いながらも、怪盗は下着をずりおろし、放尿を始めた。便器内の水に注がれた尿は、ジョボジョボと音を立てた。


 再びベッドに運ばれた怪盗は、虚ろな目で天井を見上げた。

「病院連れて行ってやろうか?」
すっかり熱を帯びた手を握りながら、刑事は言う。
「いえ、そこまででは・・・1日休めば、なんとか」
息が上がりながら、怪盗は答える。
「すみません、もう1日お邪魔になります」

 いつもより、しおらしくなった怪盗に戸惑いながらも、愛おしくなる。
「熱が下がるまで、何日でも寝てろ」
 冷却シートを額に貼ってやると、怪盗は気持ち良さそうに目を閉じた。

「薬とゼリー飲料そこにあるから、ちゃんと飲めよ。あと、ベッドの横にバケツ置いとくから、トイレまで歩けそうになかったら、使えよ」
 刑事は、スーツに着替えながら言う。

「ん」
 半分寝たような声で、怪盗は返事をする。身体は頭の先からつま先まで熱く、ふわふわ浮いているような浮遊感がある。

「じゃあ、俺、仕事に行くけど、何かあったら自分で救急車呼べよな」
 最後に怪盗の額に手を乗せ、心配そうに見つめながらも、刑事は部屋を出ていった。

 怪盗は、寝転びながらゼリー飲料と風邪薬を飲み、布団を肩まで寄せた。
 全身の倦怠感に、怪盗は、すっと眠りに落ちていった。
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