皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?

akechi

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一章 小蘭(シャオラン)の秘密

小蘭の怒りと悪人の末路⑤

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天ちゃんに嫌いと言われた龍鳳は唇を噛み締めて悔しがる。

『天ちゃんは麗ちゃんが好きーー!!』

天ちゃんは嬉しそうに小蘭へ抱きついた。この世界には天ちゃんみたいな“聖獣”という神聖な生き物が存在する。陽蘭国に関して言えば、確認されている聖獣は天ちゃんを含めて四体いる。

皆がそれぞれの席に座っていくが、料理を運んでくる女官や護衛兵士、それに宦官達は下級女官が座っている事に驚き、何回も視線を向けていた。それが面白くないのは小蘭の父親である紅司炎だ。

「無礼な者達だ」

司炎の一言で、空気が一気にピリついた。女官達は恐ろしさのあまり、一礼してそそくさと消えて行く。護衛兵士達も護衛長である霧柔の指示で扉の前で待機になり、宦官達は大長秋である高青に強制的に追い出された。

「さすが皇帝が食べる料理だわ~。豪華すぎる!」

そう言いながら皇帝である龍飛よりも先に料理に口をつける小蘭。龍鳳はあまりにも無礼な行為に唖然としてしまうが、それ以上に周りが大して気にしていない事にも驚いてしまう。

「父上、麗蘭さんの態度はあまりにも無礼過ぎませんか?」

「ああ、公の場じゃないから気にしない。それにこいつは娘のようなものだしな」

「ウゲェ~、やめてよ!」

皇帝である龍飛に向かいあからさまに嫌な顔をする小蘭だが、周りは笑い、龍飛でさえ笑っていた。

「龍麒!確かお前の幼馴染だな!?」

「ええ、そうですが?」

「少しは嗜める事も必要だ。女子なのに男と対等だと思っているこの態度!いくら戦姫だと言っても皇帝や皇族が絶対なのだから⋯」

ベラベラと反吐が出そうな説教を始めた龍鳳だが、途中で物凄い寒気がしたので話を止めて視線を小蘭へ移した。

「男が偉いとか自分に従えとか、皇太子は器が物凄く小さいのですね?おちょこよりも小さいんじゃないですか?」

小蘭の変な例えに対して緑光海や紅司炎、それに龍麒も吹き出してしまう。青栄樹や高青は笑いはしないが、龍鳳の言い分には呆れ果てていた。

「龍鳳、これ以上空気を悪くするなら出てってもらうぞ?」

皇帝であり父親の龍飛の一声に、龍鳳はまたしても悔しそうな顔を隠さないまま黙った。

小蘭は気にする事なく鶏の煮込みを細かくして、横に座る天ちゃんの皿に乗せていく。

『麗ちゃん、ありあとー!』

「たくさん食べてもっと大きくなりな!」

『合点承知の助!!』

「⋯⋯」

天ちゃんの面倒を見つつ、皆と楽しい会話をしながら食事を続けていた一同だが、龍鳳は憎しみを込めた目線を度々小蘭へ送っていた。

「ん?なんか扉の向こうが騒がしくない?」

小蘭が天ちゃんの口の周りを拭いていると、誰かの怒鳴り声がこちらまで聞こえて来たのだ。

「見て参ります」

高青が扉の方へ向かって歩き始めた時だった。扉が勢い良く開いて、高貴そうな女性がズカズカと入って来たのだ。髪を高らかと纏め、簪や宝石を散りばめて、これでもかというくらい派手で、最高級の生地であしらえた華服を着こなした見た目はかなり厚化粧をしているが、皺やほうれい線が隠しきれずに目立ち、多分四十代位だろう。

「皇后、今は大事な話し合いの途中です」

「高青!そんな大事な話し合いに何故皇后であるわたくしが呼ばれないの!?」

癇癪を起こしたように怒鳴り散らす女性は皇后らしい。皆の冷たい視線が突き刺さるがそれすら分かってないらしく、皇后の視線は席に座る可憐な少女に向けられた。

「な⋯!!下級女官が何故こんな所に座っているのですか!?」

口いっぱいに詰め込み過ぎてリスみたいになっている小蘭を見て、父親である司炎が溜息を吐きながらも背中を摩ってあげる。龍麒や光海、栄樹はそれを微笑ましく見守っている。

誰もが皇后を相手にしないので、顔を真っ赤にさせて皇帝である龍飛の元へ向かう。

「陛下!この者は一体何なのですか!?この龍護宮に下級女官などいてはなりません!」

皇后がそう言った瞬間、龍飛はドンと思いっきり音を立てて箸を置いた。一気に静まり返る室内で、天ちゃんだけはもぐもぐとマイペースに食を進めていた。

「朝から耳障りな声を出すな!お前こそ何故に許可もなくここに来たのだ!!」

龍飛のあまりの迫力に、皇后は先程とは打って変わってガタガタと震えている。

「あ⋯龍鳳の元へ向かったら、ここにいると聞いて⋯」

「だから来たと申すのか!?こんなに騒ぎ立てて朕の許可なくやって来て、大事な客人を怒鳴り散らすとは恥を知れ!」

「父上⋯母上も悪気があったわけでは⋯」

「誰が話して良いと言った!そんなに母が大事ならお前が連れ帰れ!もう来なくて良い!」

母親である皇后を庇い、龍飛の怒りを買った皇太子の龍鳳は父親のあまりの迫力に恐れをなして、立ち上がると何かを言いたげな皇后を引き摺るように出て行ったのだった。

「物凄いね、皇后。昔から派手だなとは思ってたけど⋯性格も派手だね」

苦笑いしか出ない小蘭。

「あれは癇癪だろ」

遠慮のない光海の言葉に、皇帝である龍飛ですら肯定するように深く頷いた。

「あんたはまともに育ったね」

「⋯まぁお前のおかげだけどな」

「え?」

「別に」

小蘭が聞こえずに聞き返すが、龍麒はそっぽを向いてしまった。それからは平穏が戻り、無事に食事を済ませると、今度こそ悪人達が震えて待つ尋問所へ向かうのだった。













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