10 / 18
一章 出逢い編
意外な関係。
しおりを挟む
「ハイハイ。優斗さんは意外と狭量なんですねぇ~」
苛立つ宮ノ内を軽くあしらう華野崎に驚きを隠せない愛華。
「えっ⋯蓮とか優斗さんとか⋯あんた達知り合いなの?」
「へぇ~?愛華は本当に何も知らないんだね?」
華野崎はゲームをやめて無造作にスマホをソファーに放り投げると、興味深そうに愛華の前に座る。だが、それが面白くない宮ノ内も負けじと愛華の横の席を陣取る。
「俺の母親が優斗さんの姉だから、優斗さんは叔父になるんだ~」
「華野崎は主に不動産事業を行なっているんだ。」
蓮は華野崎財閥に嫁いだ宮ノ内優斗の姉、華野崎(旧姓宮ノ内)優佳子の長男らしい。それは学校で自由が効くわけだ。
(次元が違い過ぎてついていけないわ⋯)
「ああ、また面倒臭い奴と関わってしまった⋯!!」
そう言って頭を抱える愛華に、更に興味が湧く華野崎。
「面白いね、愛華は。俺と仲良くなりたくないの?」
「ええ、全く」
キッパリと断る愛華に満足そうな宮ノ内。
「いや、あんたとも関わりたくないから」
「優斗さんにこんな事言う女初めて見たかも⋯」
宮ノ内に対して辛辣な態度をとる愛華に驚くと共に尊敬の眼差しを向ける華野崎。
「蓮、愛華をそこらの下等動物と一緒にしないで下さい。」
「下等動物って⋯もういいからアンタは仕事に戻って、先輩は授業を受けてください!」
暫くして宮ノ内を探していた香坂が理科準備室にやって来た。が、そこで見たのは高島愛華が宮ノ内優斗と華野崎蓮に説教をしているという信じがたい光景だった。世界的実業家である宮ノ内優斗と華野崎財閥の跡取りで、稀代の天才児と言われる華野崎蓮が床に正座させられている。
「何をなさっているんですか!!」
香坂が急いで二人を立たせようとしたが、高島愛華に怒られて嬉しそうな宮ノ内と華野崎の姿を見て唖然とする。
「あ、イケオジ!早くこの二人を連れて行ってよ!天使と悪魔に見られて勉強に集中できないの」
「⋯は?天使と悪魔?」
愛華の香坂に対してのイケオジ発言に爆笑している華野崎。
「この顔見てよ!!顔だけは天使の様な外見でしょ!?そしてこの人は見た目も中身も悪魔みたいな男だし!!」
財界の大物達を指差して熱弁する愛華に開いた口が塞がらない香坂。
「優斗さん、愛華は本当に面白いね」
涙を流しながら爆笑する華野崎を見て更に驚く香坂。華野崎蓮は幼い頃から何をやっても完璧で、稀代の天才と呼ばれ宮ノ内優斗以来の寵児再来と言われていた。だが、彼は誰にも心を開かず、誰にも興味も無かった。なのにも関わらず人間味が溢れている今の華野崎蓮の姿に香坂も宮ノ内ですら驚いていた。
「じゃあ、ちゃんと授業受けてくるからお昼一緒に食べよ~!」
「目立つから嫌です。」
「愛華は私と食べるから駄目です。」
「え~!優斗さんだけずるい!俺も入れてよ~!」
「おい、話を聞け!私はあんた達と食べません!!今日も明日も明後日も!」
正座させられて怒られ、辛辣に扱われても何故か凄く楽しそうな二人に、愛華は絆されてしまい誰にも見られない理事長室での昼食を渋々許可してしまう。約束を取り付け、満足した華野崎が先に教室に戻り、ここの鍵を愛華が預かった。それからすぐに香坂と共に宮ノ内が出て行った。
(ああ、やっと静かになった⋯)
とてつもない疲労感がどっと愛華を襲うが、今がチャンスだと勉強に集中する。だが、人気が無いはずの廊下でこちらに歩いて来る足音が聞こえてきて、この理科準備室の前で止まった。
(今後は何!?華野崎先輩が戻ってきた?)
そんな事を考えていると、準備室のドアが静かに開いた。
「⋯えっ?⋯あんた誰?」
そこに立っていたのは黒髪を綺麗に巻いて、メイクバッチリな今時の女子生徒だった。
「あっ⋯高島です。ここで自習をしてます。」
「はぁ!?ここは蓮の部屋だし、何で入れたの!?」
「華野崎先輩に鍵を開けてもらいました」
愛華の発言を聞いて、目を見開き驚く女子生徒。
「蓮がここに誰かを入れるなんてあり得ない!!蓮はどこ行ったの!!」
「えっ⋯教室に行きましたけど⋯」
「何言ってんの!?蓮が教室に行くわけないじゃん!」
「そう言われても⋯本人に聞いてみて下さい。教室にいると思いますので⋯」
「もし嘘だったら許さないからね!?」
女子生徒は愛華を睨みつけながら準備室を出て行った。
「嘘⋯何で教室にいるの⋯」
先程の女子生徒、相澤夕梨花が教室に戻ると皆の注目を集めながらも平然としている華野崎蓮の姿があった。
「蓮!!」
呼ばれた華野崎は夕梨花を見る事なく、スマホでゲームをしている。
「何で教室にいるの!?」
「生徒が教室にいたら駄目?」
「そうじゃなくて!蓮の部屋にいたあの子は誰?」
「⋯あの部屋に入ったの?入るなって行ったよね?」
華野崎は初めてスマホから夕梨花に目線を移したが、先程の天使の様な顔ではなく無表情で人間味が無い冷たい顔だった。
「いや⋯でも知らない子が入っていたから!」
「俺が入れたの。何か問題でもあるの?」
「はぁ!?彼女の私も入れてくれないのに何であの子を入れたの!」
夕梨花がそう言い放った瞬間、華野崎が持っていたスマホを思いっきり床に叩きつけた。静まり返る教室で、生徒は勿論教師すら何も言えずに下を向いている。
「うるさい。俺が誰を入れようとお前に関係ないだろ?彼女だったんだ、じゃあもういいや。バイバイ」
そう言うと、華野崎はもう二度と夕梨花を見る事はなかった。
苛立つ宮ノ内を軽くあしらう華野崎に驚きを隠せない愛華。
「えっ⋯蓮とか優斗さんとか⋯あんた達知り合いなの?」
「へぇ~?愛華は本当に何も知らないんだね?」
華野崎はゲームをやめて無造作にスマホをソファーに放り投げると、興味深そうに愛華の前に座る。だが、それが面白くない宮ノ内も負けじと愛華の横の席を陣取る。
「俺の母親が優斗さんの姉だから、優斗さんは叔父になるんだ~」
「華野崎は主に不動産事業を行なっているんだ。」
蓮は華野崎財閥に嫁いだ宮ノ内優斗の姉、華野崎(旧姓宮ノ内)優佳子の長男らしい。それは学校で自由が効くわけだ。
(次元が違い過ぎてついていけないわ⋯)
「ああ、また面倒臭い奴と関わってしまった⋯!!」
そう言って頭を抱える愛華に、更に興味が湧く華野崎。
「面白いね、愛華は。俺と仲良くなりたくないの?」
「ええ、全く」
キッパリと断る愛華に満足そうな宮ノ内。
「いや、あんたとも関わりたくないから」
「優斗さんにこんな事言う女初めて見たかも⋯」
宮ノ内に対して辛辣な態度をとる愛華に驚くと共に尊敬の眼差しを向ける華野崎。
「蓮、愛華をそこらの下等動物と一緒にしないで下さい。」
「下等動物って⋯もういいからアンタは仕事に戻って、先輩は授業を受けてください!」
暫くして宮ノ内を探していた香坂が理科準備室にやって来た。が、そこで見たのは高島愛華が宮ノ内優斗と華野崎蓮に説教をしているという信じがたい光景だった。世界的実業家である宮ノ内優斗と華野崎財閥の跡取りで、稀代の天才児と言われる華野崎蓮が床に正座させられている。
「何をなさっているんですか!!」
香坂が急いで二人を立たせようとしたが、高島愛華に怒られて嬉しそうな宮ノ内と華野崎の姿を見て唖然とする。
「あ、イケオジ!早くこの二人を連れて行ってよ!天使と悪魔に見られて勉強に集中できないの」
「⋯は?天使と悪魔?」
愛華の香坂に対してのイケオジ発言に爆笑している華野崎。
「この顔見てよ!!顔だけは天使の様な外見でしょ!?そしてこの人は見た目も中身も悪魔みたいな男だし!!」
財界の大物達を指差して熱弁する愛華に開いた口が塞がらない香坂。
「優斗さん、愛華は本当に面白いね」
涙を流しながら爆笑する華野崎を見て更に驚く香坂。華野崎蓮は幼い頃から何をやっても完璧で、稀代の天才と呼ばれ宮ノ内優斗以来の寵児再来と言われていた。だが、彼は誰にも心を開かず、誰にも興味も無かった。なのにも関わらず人間味が溢れている今の華野崎蓮の姿に香坂も宮ノ内ですら驚いていた。
「じゃあ、ちゃんと授業受けてくるからお昼一緒に食べよ~!」
「目立つから嫌です。」
「愛華は私と食べるから駄目です。」
「え~!優斗さんだけずるい!俺も入れてよ~!」
「おい、話を聞け!私はあんた達と食べません!!今日も明日も明後日も!」
正座させられて怒られ、辛辣に扱われても何故か凄く楽しそうな二人に、愛華は絆されてしまい誰にも見られない理事長室での昼食を渋々許可してしまう。約束を取り付け、満足した華野崎が先に教室に戻り、ここの鍵を愛華が預かった。それからすぐに香坂と共に宮ノ内が出て行った。
(ああ、やっと静かになった⋯)
とてつもない疲労感がどっと愛華を襲うが、今がチャンスだと勉強に集中する。だが、人気が無いはずの廊下でこちらに歩いて来る足音が聞こえてきて、この理科準備室の前で止まった。
(今後は何!?華野崎先輩が戻ってきた?)
そんな事を考えていると、準備室のドアが静かに開いた。
「⋯えっ?⋯あんた誰?」
そこに立っていたのは黒髪を綺麗に巻いて、メイクバッチリな今時の女子生徒だった。
「あっ⋯高島です。ここで自習をしてます。」
「はぁ!?ここは蓮の部屋だし、何で入れたの!?」
「華野崎先輩に鍵を開けてもらいました」
愛華の発言を聞いて、目を見開き驚く女子生徒。
「蓮がここに誰かを入れるなんてあり得ない!!蓮はどこ行ったの!!」
「えっ⋯教室に行きましたけど⋯」
「何言ってんの!?蓮が教室に行くわけないじゃん!」
「そう言われても⋯本人に聞いてみて下さい。教室にいると思いますので⋯」
「もし嘘だったら許さないからね!?」
女子生徒は愛華を睨みつけながら準備室を出て行った。
「嘘⋯何で教室にいるの⋯」
先程の女子生徒、相澤夕梨花が教室に戻ると皆の注目を集めながらも平然としている華野崎蓮の姿があった。
「蓮!!」
呼ばれた華野崎は夕梨花を見る事なく、スマホでゲームをしている。
「何で教室にいるの!?」
「生徒が教室にいたら駄目?」
「そうじゃなくて!蓮の部屋にいたあの子は誰?」
「⋯あの部屋に入ったの?入るなって行ったよね?」
華野崎は初めてスマホから夕梨花に目線を移したが、先程の天使の様な顔ではなく無表情で人間味が無い冷たい顔だった。
「いや⋯でも知らない子が入っていたから!」
「俺が入れたの。何か問題でもあるの?」
「はぁ!?彼女の私も入れてくれないのに何であの子を入れたの!」
夕梨花がそう言い放った瞬間、華野崎が持っていたスマホを思いっきり床に叩きつけた。静まり返る教室で、生徒は勿論教師すら何も言えずに下を向いている。
「うるさい。俺が誰を入れようとお前に関係ないだろ?彼女だったんだ、じゃあもういいや。バイバイ」
そう言うと、華野崎はもう二度と夕梨花を見る事はなかった。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
強面騎士は、可憐な婚約者の暗躍に気付かない
楽歩
恋愛
強面で無骨な騎士団長スヴェイン。その隣にいるのは、10歳年下で可憐な婚約者レティシア。
一見お似合いの二人だが、その愛情の温度はレティシアの方が驚くほど――いや、かなり高い!
スヴェインを一途に思い、全力で愛するレティシア。彼女の行動はときに大胆、そして過剰!?
スヴェインはまだ知らない。愛する婚約者を守るため、影で暗躍するレティシアのもう一つの顔を――。
彼女の秘策と献身に気づかないまま、鈍感なスヴェインはただ彼女との幸せな日々を謳歌する。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))6万字ほどの中編です。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる