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10章 アレクシアと愉快な仲間2
番外編 黒歴史の真相〜魔国お泊まり〜①
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これはアリアナのおねしょ事件の真相です。
「良いか?絶対に寝る前に飲み物を飲むなよ?魔国でおねしょはしたくないだろ?」
正座させられ、育て親である竜族族長のゼストから忠告を受けているのは、若き日のアリアナだ。人族でありながら膨大な魔力を秘めている我が子を恐れた父親によって崖から落とされたが、運良くこのゼストに助けられたのだ。
「失礼でしゅね!!あたちはおねちょなんてしましぇんよ!!」
プンスカと怒ってゼストに猛抗議するアリアナだが、その横ではオウメとミルキルズがまったりお茶を飲んでいた。
「おねしょした布団を爺様の部屋に置いただろう!?」
「あのおねちょはミル爺でしゅよ!!」
「ああ!?それはそれで心配な事だぞ!?」
お互い引かない言い合いが続いていたが、急に庭先が光出して空間が歪む。そして歪んだ所から見覚えのある少年達と爺が姿を現した。
「ガハハ!何だ、アリアナ!また怒られてるのか!?」
正座するアリアナを見て豪快に笑いながらこちらに向かって来るのは偉大なる初代魔国国王のデイルズだ。その後ろからやって来たのはアリアナによって覚醒(?)したオネェ少年ランゴンザレスと、デイルズの孫でアリアナ大好きの魔国魔王太子デズモンドだ。
今日はアリアナが魔国にお泊まりに行く日なので、デイルズ達が迎えに来たのだ。
「またって何でしゅか!!」
ガタイが良いデイルズに八つ当たりしているちんちくりんのアリアナだが、そんな不機嫌なアリアナの頭を優しく撫でるのはデズモンドだ。
「アリアナ、早く準備して魔国へ行こう」
「そうよ!おねしょなんていつもの事でしょ!」
「!!ランしゃん!!何で知ってるんでしゅか?盗み聞きでしゅかーー!!」
ランゴンザレスに食ってかかるアリアナだが、彼は庭に布団が干してあったので何となく言ったのだが当たっていたのだった。
「まあ、落ち着くんじゃ。アリアナ、荷物を持っておいで」
ミルキルズが正座したままのアリアナを抱っこして立たせてあげ、部屋に促した。
「ふん!野郎ども行くじょ!!」
アリアナは嬉しそうなデズモンドと呆れるランゴンザレスを引き連れてよちよちと自分の部屋に向かった。そして暫くすると美少年に挟まれた宇宙人⋯じゃなくアリアナが戻って来た。荷物が入っているであろう派手な柄の風呂敷を背中に背負い、まるで泥棒のような娘の姿にゼストは呆れている。
「お前は⋯何で鞄を使わないんだ!まるで泥棒小僧だぞ!」
「小僧じゃないでしゅ!小娘でしゅ!!」
「そこはどうでも良い!!」
また父娘の言い合いが始まる前に、オウメがサッと手作りの大福を渡してくれた。
「皆んなで仲良く食べてくださいね」
「オウメ、ありあとーー!!」
アリアナはオウメに嬉しそうに抱きついた。そんな光景を羨ましそうにデズモンドが見ている。
そしてミルキルズも保護者として同行するので準備していた。魔国では人族であるアリアナと魔国王族の付き合いを快く思っていない者達もいるので、初代竜族族長であるミルキルズが一緒にいる事で直接的な被害を防いでいるのだ。
「じゃあ、行ってきましゅ!」
見送るゼストとオウメに手を振り、デイルズが出した光の歪みに入って行ったのだった。そして一瞬で魔国王宮の中庭に到着したが、そこにはデイルズの息子であり、現魔国国王陛下デルタスが側近数人と立っていた。
「ミルキルズ様、それにアリアナ。ようこそお越し下さいました。息子も心待ちにしていたんだよ?」
アリアナと嬉しそうに手を繋ぐ息子デズモンドを見て微笑むデルタス。
「こんちは!今日はよろちくお願いしましゅ!!」
「おお、デルタス!こちらこそ宜しく頼むのう!」
ミルキルズの威風堂々とした姿に魔国の者は緊張を隠せない。現魔国国王であるデルタスですら緊張で落ち着かないくらいだ。
「全く、何じゃその風呂敷は?また何か盗むつもりか!?」
そこへ気配なくアリアナの前に現れたのは、ランゴンザレスの祖父であり魔国の大賢者であるポーポトスだ。
「失礼な!まだ盗んでないでしゅよ!」
「まだとは何じゃ!盗む気満々じゃないか!!」
「痛いでしゅ!!頭が割れまちたーー!!」
ポーポトスに拳骨されたアリアナが蹲り叫び始めた。それを見ていたデルタスと側近達は一気に青ざめた。曾孫を溺愛する世界最強の竜族ミルキルズの顔色が気になるが、恐怖で見られないでいた。
「ミル爺!頭が割れまちた!なおちて!!」
「アリアナ、大丈夫じゃ!まだ割れておらんわい!!」
だがアリアナとミルキルズの会話を聞いて安堵するデルタスと側近達だが、今度は痛がるアリアナを見ていたデズモンドが騒ぎ出した。
「ポーポトスのジジイ!!よくもアリアナを⋯これ以上馬鹿になったらどうするんだ!!」
そう言いながらデズモンドはアリアナの頭を摩ってあげているが、アリアナは素直に喜べない。
「これ以上馬鹿になったらってなんでしゅか!!失礼な王子でしゅね!?全くどういう教育をしてるんでしゅか!!」
「ああ⋯すまない」
アリアナは怒りのままにデズモンドをデコピンして、父親である魔国国王デルタスに詰め寄る。側近達はアリアナの暴挙を見て眉を顰めるが、当の本人は嬉しそうにおでこを触っているし、祖父で初代魔国国王であるデイルズは嬉しそうに二人を見ているので何も言えない。
そして一同は魔王宮の中に入って行った。
次回に続きます!
「良いか?絶対に寝る前に飲み物を飲むなよ?魔国でおねしょはしたくないだろ?」
正座させられ、育て親である竜族族長のゼストから忠告を受けているのは、若き日のアリアナだ。人族でありながら膨大な魔力を秘めている我が子を恐れた父親によって崖から落とされたが、運良くこのゼストに助けられたのだ。
「失礼でしゅね!!あたちはおねちょなんてしましぇんよ!!」
プンスカと怒ってゼストに猛抗議するアリアナだが、その横ではオウメとミルキルズがまったりお茶を飲んでいた。
「おねしょした布団を爺様の部屋に置いただろう!?」
「あのおねちょはミル爺でしゅよ!!」
「ああ!?それはそれで心配な事だぞ!?」
お互い引かない言い合いが続いていたが、急に庭先が光出して空間が歪む。そして歪んだ所から見覚えのある少年達と爺が姿を現した。
「ガハハ!何だ、アリアナ!また怒られてるのか!?」
正座するアリアナを見て豪快に笑いながらこちらに向かって来るのは偉大なる初代魔国国王のデイルズだ。その後ろからやって来たのはアリアナによって覚醒(?)したオネェ少年ランゴンザレスと、デイルズの孫でアリアナ大好きの魔国魔王太子デズモンドだ。
今日はアリアナが魔国にお泊まりに行く日なので、デイルズ達が迎えに来たのだ。
「またって何でしゅか!!」
ガタイが良いデイルズに八つ当たりしているちんちくりんのアリアナだが、そんな不機嫌なアリアナの頭を優しく撫でるのはデズモンドだ。
「アリアナ、早く準備して魔国へ行こう」
「そうよ!おねしょなんていつもの事でしょ!」
「!!ランしゃん!!何で知ってるんでしゅか?盗み聞きでしゅかーー!!」
ランゴンザレスに食ってかかるアリアナだが、彼は庭に布団が干してあったので何となく言ったのだが当たっていたのだった。
「まあ、落ち着くんじゃ。アリアナ、荷物を持っておいで」
ミルキルズが正座したままのアリアナを抱っこして立たせてあげ、部屋に促した。
「ふん!野郎ども行くじょ!!」
アリアナは嬉しそうなデズモンドと呆れるランゴンザレスを引き連れてよちよちと自分の部屋に向かった。そして暫くすると美少年に挟まれた宇宙人⋯じゃなくアリアナが戻って来た。荷物が入っているであろう派手な柄の風呂敷を背中に背負い、まるで泥棒のような娘の姿にゼストは呆れている。
「お前は⋯何で鞄を使わないんだ!まるで泥棒小僧だぞ!」
「小僧じゃないでしゅ!小娘でしゅ!!」
「そこはどうでも良い!!」
また父娘の言い合いが始まる前に、オウメがサッと手作りの大福を渡してくれた。
「皆んなで仲良く食べてくださいね」
「オウメ、ありあとーー!!」
アリアナはオウメに嬉しそうに抱きついた。そんな光景を羨ましそうにデズモンドが見ている。
そしてミルキルズも保護者として同行するので準備していた。魔国では人族であるアリアナと魔国王族の付き合いを快く思っていない者達もいるので、初代竜族族長であるミルキルズが一緒にいる事で直接的な被害を防いでいるのだ。
「じゃあ、行ってきましゅ!」
見送るゼストとオウメに手を振り、デイルズが出した光の歪みに入って行ったのだった。そして一瞬で魔国王宮の中庭に到着したが、そこにはデイルズの息子であり、現魔国国王陛下デルタスが側近数人と立っていた。
「ミルキルズ様、それにアリアナ。ようこそお越し下さいました。息子も心待ちにしていたんだよ?」
アリアナと嬉しそうに手を繋ぐ息子デズモンドを見て微笑むデルタス。
「こんちは!今日はよろちくお願いしましゅ!!」
「おお、デルタス!こちらこそ宜しく頼むのう!」
ミルキルズの威風堂々とした姿に魔国の者は緊張を隠せない。現魔国国王であるデルタスですら緊張で落ち着かないくらいだ。
「全く、何じゃその風呂敷は?また何か盗むつもりか!?」
そこへ気配なくアリアナの前に現れたのは、ランゴンザレスの祖父であり魔国の大賢者であるポーポトスだ。
「失礼な!まだ盗んでないでしゅよ!」
「まだとは何じゃ!盗む気満々じゃないか!!」
「痛いでしゅ!!頭が割れまちたーー!!」
ポーポトスに拳骨されたアリアナが蹲り叫び始めた。それを見ていたデルタスと側近達は一気に青ざめた。曾孫を溺愛する世界最強の竜族ミルキルズの顔色が気になるが、恐怖で見られないでいた。
「ミル爺!頭が割れまちた!なおちて!!」
「アリアナ、大丈夫じゃ!まだ割れておらんわい!!」
だがアリアナとミルキルズの会話を聞いて安堵するデルタスと側近達だが、今度は痛がるアリアナを見ていたデズモンドが騒ぎ出した。
「ポーポトスのジジイ!!よくもアリアナを⋯これ以上馬鹿になったらどうするんだ!!」
そう言いながらデズモンドはアリアナの頭を摩ってあげているが、アリアナは素直に喜べない。
「これ以上馬鹿になったらってなんでしゅか!!失礼な王子でしゅね!?全くどういう教育をしてるんでしゅか!!」
「ああ⋯すまない」
アリアナは怒りのままにデズモンドをデコピンして、父親である魔国国王デルタスに詰め寄る。側近達はアリアナの暴挙を見て眉を顰めるが、当の本人は嬉しそうにおでこを触っているし、祖父で初代魔国国王であるデイルズは嬉しそうに二人を見ているので何も言えない。
そして一同は魔王宮の中に入って行った。
次回に続きます!
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