転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

文字の大きさ
上 下
130 / 153
10章 アレクシアと愉快な仲間2

夕食の前は大賑わいで大騒ぎです!!

しおりを挟む
「あなた⋯何をやっているの?」

気配もなくいきなり現れたエルフの女王エルメニアは目の前にいる幼子に呆れた視線を向けていた。エルメニアの少し後ろにいるナナーサも苦笑いだ。

「何ってゴロゴロしてましゅ!ずっと動きっぱなしでシアはゴロゴロ不足だったんでしゅよ!!」

そう言いながらこの部屋の主であるアレクシアは、床に敷かれた最高級の肌触りの良い絨毯を堪能しながら言葉通りにゴロゴロと転がっていた。アレクシアに続いて白玉、黒蜜、みたらし、きなこ、あんこがゴロゴロと嬉しそうに転がっていて、何となくちんちくりんロードが出来ていた。

『まぁ良いんじゃないか?子供⋯(?)らしくて微笑ましいだろ。それに暇だからと言って悪戯をしなくなっただけ成長したぞ?』

ちんちくりんロードを微笑ましく眺めながら、ウロボロスはやって来たエルメニア達に話しかけた。

「この子の部屋を見にきたけど⋯心配して損したわね」

エルメニアが部屋を見回してそう嘆くのは無理はないのだ。皇帝であるルシアードの部屋よりも広く、豪華絢爛な絵画や家具、そして一部屋分はありそうなクローゼットには数百着のドレスや宝石、靴などが綺麗に並べられている。反対側の部屋には幼子には大き過ぎる浴場とトイレがあった。

アレクシアの宮はアレクシアの要望通りに質素で使いやすい、着やすい、履きやすいを重視した部屋になっているが、皇宮にあるアレクシア専用のこの部屋は、あの重度のアレクシア大好き病を患っているルシアードが全面に細かく指示して作らせた部屋であった。

「皇帝の部屋よりも広いなんてあり得ないでしゅよ!あの馬鹿ちん父上めー!でももう宝石は返しましぇんーー!ウオーーでしゅ!」

アレクシアが両腕を上げながら無駄に叫ぶ。

『あのねー!自分の部屋をちっちゃくちてーここをひろくちたのーー!!』

『後でロインに怒られてまちたーー!!ププッ!』

白玉と黒蜜がエルメニア達の元へやって来てコソコソ話すが、全然コソコソしていない。

「あの皇帝⋯この子に甘過ぎるわ!」

「ええ、やはりあの皇帝よりロインという男と話した方がいいでしょう」

エルメニアとナナーサの話し合いを聞いたアレクシアがゴロゴロをやめて猛反論を始めた。

「何でしゅか!?ロイン伯父上と必要以上に話さないで下しゃいな!!昔の事とか、あと⋯昔の事とか!!」

『同じ事をニ回も言ってるぞ?』

冷静にツッコむウロボロスだが、アレクシアはそんな場合ではない。

「あら、何か不都合な事があるのかしら?」

「不都合だらけでしゅよ!ロイン伯父上にバレたら勉強という名の説教が延々と続きましゅ⋯!」

不敵な笑みを浮かべるエルメニアを黙らせようと策を巡らしていたアレクシアだったが、今度は気配がダダ漏れの軍団が勢い良くドアから堂々と入って来たのだ。

「おいエルメニア!お主だけずるいぞ!!」

プンスカと怒っているのは初代竜族族長であるミルキルズだ。

「ほお~?随分と豪華な部屋じゃのう?」

魔国の偉大なる大賢者であるポーポトスは愛弟子であるアレクシアの部屋を見て驚いていた。

「おお!凄い部屋じゃ!アレクシアはどこじゃー?」

「ここにいましゅよ!!」

森の主で神獣であるガイアがキョロキョロと愛しい幼子を探すが見つからず名前を呼んだのだが、下の方にちゃんといたアレクシアはプンスカと怒っている。

「むぅ⋯魔国にあるお主の部屋をこれ以上にせんとな!!デズモンドとあとで相談じゃ!!」

初代魔国国王であり現国王でアレクシアの婚約者であるデズモンドの祖父デイルズが考え込んでいた。

ルシアード以上に末期のアレクシア大好き病を患うデズモンドは、夕食まで時間があるのでランゴンザレスと共に魔国に戻っているのだ。エレノア(トリシア)をランゴンザレスが極秘で魔国に移送させたので、その手続きをルシアードと行ったあと自国で各方面に報告をするなどの仕事があるのだ。

魔国では今でもエレノア(トリシア)を恨む者は多いので、改めて魔裁判や尋問などを行う予定でいる。アレクシアも被害者として裁判に出席する為に魔国に再度足を運ぶつもりだ。

「もう!今度は爺達の登場でしゅか!!さっき別れたばかりでしゅよ!!シアは夕飯までゴロゴロするのに忙しいのでお帰りくだしゃい!!」

アレクシアは爺達にそれだけ言うと、改めて寝転がりゴロゴロを始めた。すると五匹の子犬従魔も尻尾を振りながら嬉しそうにあとに続いてまたちんちくりんロードが出来ていた。それを見て腹を抱えて笑うのはミルキルズとデイルズであった。

ゼストはロインに呼ばれて(連れ去られ)戻って来ないらしいが、皆は関わりたくないので知らないふりをしていた。アレクシアも何となく強制勉強をさせられていると察してはいるがロインに意見をすれば自分に返ってくると感じているので放置した。



暫くして、廊下をふらふらと歩く金髪の美青年がいた。見た目は派手な和服を着ているが、周りにいる女官達からは熱い眼差しを向けられていた。

「くそ⋯あのジジイ共⋯自分達だけ逃げやがって⋯」

アレクシアが部屋に入った後、ロインは爺達に注意をしようとしたのだが、ゼスト以外には逃げられた後であった。ロインにゼストが肩を叩かれた瞬間には、既に爺達は部屋に急いで入り究極クラスの防御魔法をかけていたのだ。なのでロインは諦め、その怒りを全てゼストにぶつけるのだった。

数時間後に解放されたゼストは怒りを露わに気配が集中するアレクシアの部屋に向かっていたのだ。

「ジジイ共⋯腹黒ジジイ共め⋯」

ゼストはブツブツ言いながら思いっきりドアを開けた。

「こらぁ!ジジイ共⋯⋯ジジイ⋯??ジジイ?⋯⋯」

初めは勢い良く怒りをぶつけたのだが、目の前の異様過ぎる光景にゼストは次第に声が震えていく。

エルメニアは顔を真っ赤にしながら懸命に笑いを堪えているが、ナナーサは腹が捩れるほどある所を指差しながら笑っていた。アレクシア大好きな五匹の子犬従魔やウロボロスも笑い転げていた。

「こんな姿をお主達を知っている奴らには見せられんわい⋯」

ポーポトスは頭を抱えながら呆れ果てていた。

「おー!なかなか気持ちいいのう~!!」ミルキルズは上機嫌だ。

「ガハハハ!ゴロゴロもたまにはいいのうー!!」デイルズは笑っている。

「オホホホーー!!」ガイアはおかしくなっている。

「もう!ゴロゴロの邪魔でしゅよ!!」

アレクシアは猛スピードで逃げるが、すぐに追いついてくる爺達にうんざり気味だ。そう、この爺達はアレクシアを真似てゴロゴロしているのだ。なので今はちんちくりんロードではなく、ジジイロードになっていた。

ミルキルズに憧れるアランカルトも、あまりの衝撃的な光景に開いた口が塞がらないでいた。

「どういう状況!?」

この光景を見たゼストは怒りを忘れて恐怖を覚えるのであった。




*やっと更新しましたー。











しおりを挟む
感想 1,257

あなたにおすすめの小説

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載中しております。

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi
ファンタジー
ルル8歳 赤子の時にはもう孤児院にいた。 孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。 それに貴方…国王陛下ですよね? *コメディ寄りです。 不定期更新です!

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。