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9章 アレクシアとアウラード大帝国の闇
魔国からやって来た変人①
しおりを挟むアレクシアとポーポトスが真剣に話しているのが面白くないアウラード大帝国皇帝のルシアードと魔国国王のデズモンド。
「む。アレクシア、こっちに来い」
ルシアードは近くにあったクッキーで愛娘を釣る。それを見ていたデズモンドは鼻で笑う。
「アレクシア、こっちだ」
デズモンドは金貨を出して愛するアレクシアを釣る。それを見ていた周りはそんな二人にドン引きだ。
「もう!うるさいでしゅね!!シアは今忙しいんでしゅよ!」
怒り心頭でやって来たアレクシアはルシアードからクッキーを奪い口に入れて、デズモンドから金貨を奪いポケットにしまおうとしたが、ロインが笑顔でこちらを見ていたので静かに返したのだった。
「何なのこの女性は?」
拘束されているステラを見て驚くプリシラ。
「シアのお客さんでしゅよ」
「お客様なら何故拘束させられているのよ!」
「じゃないと暴れるんでしゅよ。この皇宮がなくなっていいんでしゅか?」
恐ろしい発言をするアレクシアに驚き、そして何も見なかった事にした意外にも空気が読めるプリシラ。
「そういえば、お前魔長官に連れて来てもらったんだろう?長官はどこだ?」
デズモンドがステラに聞くが首を傾げるだけの残念な魔王妃。
「何でしゅとーー!魔国魔法省長官でしゅか!?」
何故か嫌な顔をするアレクシア。
「ああ、お主は彼奴とは⋯」
アレクシアを見て苦笑いするポーポトス。
「父上!早く捕まえないといけましぇん!デズモンド!出番でしゅよ!」
いつになくテキパキと指示を出し始めたアレクシアに、嫌な予感を感じずにはいられないロインやシェイン。アレクシアは隣の部屋から何故そこにあるのか分からないが虫取り用の網を持ち、頭には小鳥ウロボロス、足元には五匹の子犬従魔達を連れて準備万端だ。
「ジジイとミル爺はいざとなったら彼奴を食べちゃって下しゃい!!丸呑みでしゅよ!」
「おいおい!何言ってんだ!?」
「えー!わしが腹下すじゃろう!!」
それを聞いたゼストは娘の暴走を止めようとしていて、ミルキルズは自身のお腹の心配をした。そんな光景を見て笑いが止まらないランゴンザレスと連れて来た元凶でもあるステラ。
『おい、魔法省長官ってユウラの事か?』
ウロボロスが嫌そうにアレクシアに聞いてくる。
「そうでしゅよ!皆んなが彼奴の毒牙にかかる前に捕獲しないとでしゅよ!」
ルシアードとデズモンド、そしてランゴンザレスとポーポトスと共に部屋を出たアレクシアはユウラのある気配を感じ取りそちらに急いでいた。
「ああ!やっぱり後宮の方でしゅーー!!」
怒り心頭のアレクシアは浮遊魔法を使い、大人達を置いて猛スピードで後宮に向かう。その後ろから五匹もふわふわと浮いて主の後を懸命に追う。ウロボロスも小鳥の姿でパタパタと飛んで行く。
「ああ~麗しのお嬢さん方!!今夜私と⋯」
「言わせないでしゅよーーー!!」
頬を染める女官達に言い寄る黒いマントを羽織った美丈夫に向かって、アレクシアは躊躇なく持っていた網を振り落とした。
「確保でしゅーー!!」
「んん?何だいお嬢ちゃん?もう少し成長したらまたおいで~?」
網を被ったままなのに色気を振り撒く美丈夫。
「ううっ!鳥肌が~!!このしゅっとこどっこいがーー!!」
アレクシアがポカポカと美丈夫を殴り、ウロボロスが頭を突つき、白玉達が威嚇している。女官達はびっくりしてその場から急いで去って行った。
真っ赤に燃える様な綺麗な短髪に金色の瞳の色気漂う美丈夫をアレクシア達がボコボコにしていると、追って来たルシアードとデズモンドもこの男を怒りのままに殺そうとするが、それは流石に止めるランゴンザレスとポーポトス。
「デズモンド様~!流石に長官を殺すのは駄目よ~。気持ちはかなり分かるけど!」
「此奴は相変わらずじゃな!」
ランゴンザレスがアレクシア達を引き剥がして、男性が被っている網を取る。ポーポトスはその男性を正座させて説教を始めた。
「む。こいつはなんだ?」
ゴミを見るように男性を見ているルシアード。
「ああ。魔国魔法省長官のユウラだ。上から下までクズだが、魔術だけは飛び抜けている」
クズを見るようにユウラを見ながら吐き捨てるように言うデズモンド。
ユウラは幼い頃から魔力が飛び抜けていて天才だった。史上最年少で魔国魔法省長官になったが、女性問題で恨まれ何回も殺されかけたりとかなりの問題人物であった。魔王族達も最初は庇っていたが、反省しないユウラに頭を悩ませていた。
「これはこれはデズモンド国王!それにランゴンザレス様も!」
「おい!ラン様と呼べ!」
説教されているのに呑気に手を振るユウラに頭を抱えるポーポトス。
「アウラード大帝国は美人が多いですね~!」
「この国の女性はシアが守りましゅ!!色魔族退散ーー!!」
ランゴンザレスから網を奪い取るとユウラに猛然と向かって行くアレクシア。
「先程から私に敵意を向けているこの可憐なお嬢ちゃんから懐かしい魔力を感じますね~!そういえば数日前に魔国に帰った時に父と母が妙な事を言っていたんですよ。まさか⋯」
急に真剣な顔になったユウラがポーポトスの顔を見る。
「ステラ魔王妃に何も⋯聞いてるわけないのう」
興奮状態の愛娘を捕まえると、優しく抱っこしたルシアードが今一番疑問に思っている事を口にした。
「む。何で虫取り網なんだ?」
「む。アレクシア、こっちに来い」
ルシアードは近くにあったクッキーで愛娘を釣る。それを見ていたデズモンドは鼻で笑う。
「アレクシア、こっちだ」
デズモンドは金貨を出して愛するアレクシアを釣る。それを見ていた周りはそんな二人にドン引きだ。
「もう!うるさいでしゅね!!シアは今忙しいんでしゅよ!」
怒り心頭でやって来たアレクシアはルシアードからクッキーを奪い口に入れて、デズモンドから金貨を奪いポケットにしまおうとしたが、ロインが笑顔でこちらを見ていたので静かに返したのだった。
「何なのこの女性は?」
拘束されているステラを見て驚くプリシラ。
「シアのお客さんでしゅよ」
「お客様なら何故拘束させられているのよ!」
「じゃないと暴れるんでしゅよ。この皇宮がなくなっていいんでしゅか?」
恐ろしい発言をするアレクシアに驚き、そして何も見なかった事にした意外にも空気が読めるプリシラ。
「そういえば、お前魔長官に連れて来てもらったんだろう?長官はどこだ?」
デズモンドがステラに聞くが首を傾げるだけの残念な魔王妃。
「何でしゅとーー!魔国魔法省長官でしゅか!?」
何故か嫌な顔をするアレクシア。
「ああ、お主は彼奴とは⋯」
アレクシアを見て苦笑いするポーポトス。
「父上!早く捕まえないといけましぇん!デズモンド!出番でしゅよ!」
いつになくテキパキと指示を出し始めたアレクシアに、嫌な予感を感じずにはいられないロインやシェイン。アレクシアは隣の部屋から何故そこにあるのか分からないが虫取り用の網を持ち、頭には小鳥ウロボロス、足元には五匹の子犬従魔達を連れて準備万端だ。
「ジジイとミル爺はいざとなったら彼奴を食べちゃって下しゃい!!丸呑みでしゅよ!」
「おいおい!何言ってんだ!?」
「えー!わしが腹下すじゃろう!!」
それを聞いたゼストは娘の暴走を止めようとしていて、ミルキルズは自身のお腹の心配をした。そんな光景を見て笑いが止まらないランゴンザレスと連れて来た元凶でもあるステラ。
『おい、魔法省長官ってユウラの事か?』
ウロボロスが嫌そうにアレクシアに聞いてくる。
「そうでしゅよ!皆んなが彼奴の毒牙にかかる前に捕獲しないとでしゅよ!」
ルシアードとデズモンド、そしてランゴンザレスとポーポトスと共に部屋を出たアレクシアはユウラのある気配を感じ取りそちらに急いでいた。
「ああ!やっぱり後宮の方でしゅーー!!」
怒り心頭のアレクシアは浮遊魔法を使い、大人達を置いて猛スピードで後宮に向かう。その後ろから五匹もふわふわと浮いて主の後を懸命に追う。ウロボロスも小鳥の姿でパタパタと飛んで行く。
「ああ~麗しのお嬢さん方!!今夜私と⋯」
「言わせないでしゅよーーー!!」
頬を染める女官達に言い寄る黒いマントを羽織った美丈夫に向かって、アレクシアは躊躇なく持っていた網を振り落とした。
「確保でしゅーー!!」
「んん?何だいお嬢ちゃん?もう少し成長したらまたおいで~?」
網を被ったままなのに色気を振り撒く美丈夫。
「ううっ!鳥肌が~!!このしゅっとこどっこいがーー!!」
アレクシアがポカポカと美丈夫を殴り、ウロボロスが頭を突つき、白玉達が威嚇している。女官達はびっくりしてその場から急いで去って行った。
真っ赤に燃える様な綺麗な短髪に金色の瞳の色気漂う美丈夫をアレクシア達がボコボコにしていると、追って来たルシアードとデズモンドもこの男を怒りのままに殺そうとするが、それは流石に止めるランゴンザレスとポーポトス。
「デズモンド様~!流石に長官を殺すのは駄目よ~。気持ちはかなり分かるけど!」
「此奴は相変わらずじゃな!」
ランゴンザレスがアレクシア達を引き剥がして、男性が被っている網を取る。ポーポトスはその男性を正座させて説教を始めた。
「む。こいつはなんだ?」
ゴミを見るように男性を見ているルシアード。
「ああ。魔国魔法省長官のユウラだ。上から下までクズだが、魔術だけは飛び抜けている」
クズを見るようにユウラを見ながら吐き捨てるように言うデズモンド。
ユウラは幼い頃から魔力が飛び抜けていて天才だった。史上最年少で魔国魔法省長官になったが、女性問題で恨まれ何回も殺されかけたりとかなりの問題人物であった。魔王族達も最初は庇っていたが、反省しないユウラに頭を悩ませていた。
「これはこれはデズモンド国王!それにランゴンザレス様も!」
「おい!ラン様と呼べ!」
説教されているのに呑気に手を振るユウラに頭を抱えるポーポトス。
「アウラード大帝国は美人が多いですね~!」
「この国の女性はシアが守りましゅ!!色魔族退散ーー!!」
ランゴンザレスから網を奪い取るとユウラに猛然と向かって行くアレクシア。
「先程から私に敵意を向けているこの可憐なお嬢ちゃんから懐かしい魔力を感じますね~!そういえば数日前に魔国に帰った時に父と母が妙な事を言っていたんですよ。まさか⋯」
急に真剣な顔になったユウラがポーポトスの顔を見る。
「ステラ魔王妃に何も⋯聞いてるわけないのう」
興奮状態の愛娘を捕まえると、優しく抱っこしたルシアードが今一番疑問に思っている事を口にした。
「む。何で虫取り網なんだ?」
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