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8章 アレクシアと竜の谷の人々
反アリアナ派との一色触発②
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「ウロボロしゅ!駄目でしゅよ!」
泡を吹いて苦しむ男性と怒り心頭のウロボロスの間に割り込んで必死に止めるアレクシア。
『彼奴はお前に死ねって言ったんだぞ!?』
「シアは死にまちぇん!!こんな長く生きてるだけの偏屈の言う事なんかまるっと無視しましゅ!だってシアは人族最強で圧倒的美少女でしゅから!!ドヤッ!!」
止められて納得がいかないウロボロスに、恥ずかし気も無くドヤ顔で宣言するアレクシアだが、静まり返ってしまう室内と室外。そんな自由なアレクシアを見てリリノイスは呆れて頭を抱えていた。
「美少女じゃと…まだまだちんちくりんが何を言っているんじゃ!?」
アレクシアにツッコミを入れたのは反対派の代表でロウゴイヤに負けず劣らずの屈強な老人だった。
ロウゴイヤとは良い意味で長年ライバルでありミルキルズの側近でもあるアランルドだ。アランカルトの祖父であり、最強戦士として名を馳せた偉大なる竜族の一人だ。琥珀色の瞳に、綺麗な青色の髪は短く切り揃えていて白髪が所々に混じっている。
「ちんちくりんって何でしゅか!相変わらず失礼な爺でしゅね!」
プッ⋯睨み合う豆粒と大木。
「聞こえていましゅよ!豆ちゅぶって失礼でしゅな!言った人は今しゅぐに白状しなしゃい!」
「そうじゃ!大木とは何じゃ!!」
「⋯大木は別に良いでしゅよ!でも豆ちゅぶはあんまりでしゅ!!」
「まぁ…あれじゃ、強く生きるんじゃぞ?」
先程までの睨み合いはどうしたのかプンスカと怒るアレクシアを宥め慰めるアランルド。
「何故そんな人族に構うのですか!?昔からそうでしたよね?口では悪く言いますが、私達が排除しようとすると必ず止めましたよね?はじめはミルキルズ様やゼスト様の報復などから私達を守る為だと思っていましたが、本当はこの人族を心配していたんですね!?実の子より可愛いですか!」
そんな光景を見ていたウロボロスに痛い目に遭わされた反対派の男性が今度はアランルドに怒りをぶつけ始めた。
「昔からこの人族を口では悪く言いますが、決して傷つけたりしませんでした!父上は本当にアランカルトを助ける気があるんですか!?その為の話し合いですよね!?」
この男性はアランルドの息子でアランカルトの父親でもあった。竜族戦士の一人でもある。
「わしはアランカルトを許すつもりはない。彼奴はやり過ぎた!竜族の幼子達を傷つけ、弱ったミルキルズ様やオウメまで人質にした大馬鹿者じゃ!!」
今度は反対派同士で揉めだした。ミルキルズやゼスト、そしてリリノイスやロウゴイヤ達も何も言わずにただ成り行きを見守っている。
「偉大なるミルキルズ様や宝である子供達を人質にして祖父であり一族の長であるわしを彼奴は脅したんじゃぞ!?お前もその計画を知っていたんじゃろ?」
アランルドにキツく問われたアランカルトの父親と、その横でアランカルトの母親がそれぞれ顔面蒼白で顔を背けた。
「わ…私は!この神聖な竜族の里に弱くて穢らわしい人族がいるのに耐えられなかったんです!我らは崇められる神なのですよ!」
自分に酔いしれながらベラベラと話すアランカルトの父親に、皆からの冷たい視線が突き刺さる。この父親に育てられたアランカルトが不憫だとすら思ってしまう。
ルシアードは小馬鹿にしたように彼を鼻で笑い、デズモンドやポーポトスは怒り心頭のウロボロスを抑えている。だがランゴンザレスは反対派に興味すら無いのか、アレクシアの五匹の従魔達を順番にブラッシングしている。無駄にピンク色なので目立ってはいるが⋯。
そんな中でミルキルズやゼスト、そしてロウゴイヤは幼い頃のアリアナの血が滲む様な努力を実際に見てきていたので、アランカルトの父親の自分勝手な考え方に怒りが募っていた。
「竜族が神でしゅと!あんたが崇めるミル爺はいつも悪さをしてオウメにボコボコにされてましゅし、ジジイは顔中に落書きされても気付かないでしゅし、ゴイ爺は…家を半壊されまちた!そんなおっちょこちょいな神は嫌でしゅよ!!」
“その原因は全部お前だろう!!”
「む。アレクシアの言う通りだな」
アレクシアの言葉に室内外の皆が心の中で突っ込む中でも、父親であるルシアードは良く言ったとばかりにアレクシアを褒める。
「まぁ、アランルドよ。アランカルトは流石に今回はやり過ぎじゃ!分かっておるな?」
静かに怒りを滲ませるミルキルズの姿を見て竜族達が息を飲む。
「ええ。ミルキルズ様、アランカルトの罪は我が一族の罪です。わしらも罪を償います。申し訳ございませんでした」
アランルドは椅子から立ち上がると床に座り、皆に土下座をして謝る。ロウゴイヤと並んで最強の戦士として名高いアランルドの土下座に一同は驚きを隠せないでいた。
「父上!?あれはアランカルトが単独でやった事です!何故私達が…ウガァ!?」
「この下しゅ野郎ーー!」
アランカルトの父親がまた喚き散らす前にアレクシアが思いっきり彼の足を踏んづける。それに次いで五匹の子犬従魔達が父親に飛びかかりオシッコを始めた。だがマイペースのあんこだけアランカルトの母親の元にちょこちょことやって来てオシッコを始める。
「きゃあぁ!!ちょっと何この犬!?」
母親があんこを蹴飛ばそうとしたが、そこに豆粒…アレクシアがやって来て、また足を思いっきり踏んづけた。痛みに悶絶するアランカルトの両親に向かいアレクシアが衝撃的な事を言い出した。
「あんた達は親失格でしゅ!だからアランカルトはシアが引き取りましゅ!!」
「「「「はぁ!?」」」」
室内にいる者、室外から見守っていた者、そして従魔である子犬達ですら驚いてコロコロと転がってしまう。
豆粒と凶悪犯…面白くなってきたわね!!
「やっぱり犯人はランしゃんだったんでしゅね!豆ちゅぶの恨みは怖いでしゅよ!」
アレクシアに見つかりバツが悪そうなランゴンザレスであった。
泡を吹いて苦しむ男性と怒り心頭のウロボロスの間に割り込んで必死に止めるアレクシア。
『彼奴はお前に死ねって言ったんだぞ!?』
「シアは死にまちぇん!!こんな長く生きてるだけの偏屈の言う事なんかまるっと無視しましゅ!だってシアは人族最強で圧倒的美少女でしゅから!!ドヤッ!!」
止められて納得がいかないウロボロスに、恥ずかし気も無くドヤ顔で宣言するアレクシアだが、静まり返ってしまう室内と室外。そんな自由なアレクシアを見てリリノイスは呆れて頭を抱えていた。
「美少女じゃと…まだまだちんちくりんが何を言っているんじゃ!?」
アレクシアにツッコミを入れたのは反対派の代表でロウゴイヤに負けず劣らずの屈強な老人だった。
ロウゴイヤとは良い意味で長年ライバルでありミルキルズの側近でもあるアランルドだ。アランカルトの祖父であり、最強戦士として名を馳せた偉大なる竜族の一人だ。琥珀色の瞳に、綺麗な青色の髪は短く切り揃えていて白髪が所々に混じっている。
「ちんちくりんって何でしゅか!相変わらず失礼な爺でしゅね!」
プッ⋯睨み合う豆粒と大木。
「聞こえていましゅよ!豆ちゅぶって失礼でしゅな!言った人は今しゅぐに白状しなしゃい!」
「そうじゃ!大木とは何じゃ!!」
「⋯大木は別に良いでしゅよ!でも豆ちゅぶはあんまりでしゅ!!」
「まぁ…あれじゃ、強く生きるんじゃぞ?」
先程までの睨み合いはどうしたのかプンスカと怒るアレクシアを宥め慰めるアランルド。
「何故そんな人族に構うのですか!?昔からそうでしたよね?口では悪く言いますが、私達が排除しようとすると必ず止めましたよね?はじめはミルキルズ様やゼスト様の報復などから私達を守る為だと思っていましたが、本当はこの人族を心配していたんですね!?実の子より可愛いですか!」
そんな光景を見ていたウロボロスに痛い目に遭わされた反対派の男性が今度はアランルドに怒りをぶつけ始めた。
「昔からこの人族を口では悪く言いますが、決して傷つけたりしませんでした!父上は本当にアランカルトを助ける気があるんですか!?その為の話し合いですよね!?」
この男性はアランルドの息子でアランカルトの父親でもあった。竜族戦士の一人でもある。
「わしはアランカルトを許すつもりはない。彼奴はやり過ぎた!竜族の幼子達を傷つけ、弱ったミルキルズ様やオウメまで人質にした大馬鹿者じゃ!!」
今度は反対派同士で揉めだした。ミルキルズやゼスト、そしてリリノイスやロウゴイヤ達も何も言わずにただ成り行きを見守っている。
「偉大なるミルキルズ様や宝である子供達を人質にして祖父であり一族の長であるわしを彼奴は脅したんじゃぞ!?お前もその計画を知っていたんじゃろ?」
アランルドにキツく問われたアランカルトの父親と、その横でアランカルトの母親がそれぞれ顔面蒼白で顔を背けた。
「わ…私は!この神聖な竜族の里に弱くて穢らわしい人族がいるのに耐えられなかったんです!我らは崇められる神なのですよ!」
自分に酔いしれながらベラベラと話すアランカルトの父親に、皆からの冷たい視線が突き刺さる。この父親に育てられたアランカルトが不憫だとすら思ってしまう。
ルシアードは小馬鹿にしたように彼を鼻で笑い、デズモンドやポーポトスは怒り心頭のウロボロスを抑えている。だがランゴンザレスは反対派に興味すら無いのか、アレクシアの五匹の従魔達を順番にブラッシングしている。無駄にピンク色なので目立ってはいるが⋯。
そんな中でミルキルズやゼスト、そしてロウゴイヤは幼い頃のアリアナの血が滲む様な努力を実際に見てきていたので、アランカルトの父親の自分勝手な考え方に怒りが募っていた。
「竜族が神でしゅと!あんたが崇めるミル爺はいつも悪さをしてオウメにボコボコにされてましゅし、ジジイは顔中に落書きされても気付かないでしゅし、ゴイ爺は…家を半壊されまちた!そんなおっちょこちょいな神は嫌でしゅよ!!」
“その原因は全部お前だろう!!”
「む。アレクシアの言う通りだな」
アレクシアの言葉に室内外の皆が心の中で突っ込む中でも、父親であるルシアードは良く言ったとばかりにアレクシアを褒める。
「まぁ、アランルドよ。アランカルトは流石に今回はやり過ぎじゃ!分かっておるな?」
静かに怒りを滲ませるミルキルズの姿を見て竜族達が息を飲む。
「ええ。ミルキルズ様、アランカルトの罪は我が一族の罪です。わしらも罪を償います。申し訳ございませんでした」
アランルドは椅子から立ち上がると床に座り、皆に土下座をして謝る。ロウゴイヤと並んで最強の戦士として名高いアランルドの土下座に一同は驚きを隠せないでいた。
「父上!?あれはアランカルトが単独でやった事です!何故私達が…ウガァ!?」
「この下しゅ野郎ーー!」
アランカルトの父親がまた喚き散らす前にアレクシアが思いっきり彼の足を踏んづける。それに次いで五匹の子犬従魔達が父親に飛びかかりオシッコを始めた。だがマイペースのあんこだけアランカルトの母親の元にちょこちょことやって来てオシッコを始める。
「きゃあぁ!!ちょっと何この犬!?」
母親があんこを蹴飛ばそうとしたが、そこに豆粒…アレクシアがやって来て、また足を思いっきり踏んづけた。痛みに悶絶するアランカルトの両親に向かいアレクシアが衝撃的な事を言い出した。
「あんた達は親失格でしゅ!だからアランカルトはシアが引き取りましゅ!!」
「「「「はぁ!?」」」」
室内にいる者、室外から見守っていた者、そして従魔である子犬達ですら驚いてコロコロと転がってしまう。
豆粒と凶悪犯…面白くなってきたわね!!
「やっぱり犯人はランしゃんだったんでしゅね!豆ちゅぶの恨みは怖いでしゅよ!」
アレクシアに見つかりバツが悪そうなランゴンザレスであった。
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