66 / 137
8章 アレクシアと竜の谷の人々
竜族の力
しおりを挟む
ルシアードとデズモンドは何が起こったのか分からないまま中庭に吹っ飛んでいた。ただ見えたのは、ミルキルズが軽く人差し指を二人の前に出して弾く仕草をしただけだった。
「何じゃ!お前達はこんなもんか!?そんなんじゃあ、アレクシアを任せられんぞ!?」
ミルキルズは縁側にゆったりと座りながら二人を煽っている。起き上がったルシアードは己に付いた土埃を払いながらも、全身から魔力を溢れさせてそれを愛剣に集中させ、デズモンドも同じく全身から魔力を自身に溢れさせてミルキルズを睨み付けていた。
「おお!!中々の魔力じゃな!」
その騒ぎに急いで駆けつけたランゴンザレスと大賢者ポーポトスは事態が飲み込めずにミルキルズの横で呆れているゼストに説明を求める。
「これは何の騒ぎよ!!」
「はぁ⋯騒ぎはあの子だけで十分なのにのぅ⋯」
「すまない⋯こうなった爺様を止めるのは俺にも難しい。」
「まさかあの子と誰が一緒に寝るかでこの騒ぎじゃないわよね!?」
鋭いランゴンザレスの言葉に、スッと視線を逸らすゼスト。
「もう!ミルキルズ様!!いい加減にして下さいよ!こんな事ぐらいで騒がないで⋯」
ランゴンザレスは話終わる前に二人と同じように吹っ飛んでいた。すぐに起き上がり信じられない思いでミルキルズを見た。だが、そこには怒りに満ちたドス黒いオーラを隠さずに放つミルキルズがいた。
「こんな事ぐらいじゃと?アレクシアはわしの大事なひ孫じゃぞ!奇跡が起こってまた⋯また帰って来てくれたんじゃ!!」
ドス黒いオーラに包まれたミルキルズを見たポーポトスは急いでどこかに消えていく。ゼストはミルキルズの変化に驚きつつも攻撃態勢のルシアード達とミルキルズの間に入り説得を試みる。
「爺様!落ち着いて下さい!!」
「何じゃ!?孫よ!お前もわしの邪魔をするのか!?」
狂気に満ちたミルキルズは孫であるゼストも吹き飛ばそうとしたが、彼は間一髪で防御壁を出して回避する。その隙にルシアードが攻撃を仕掛け、炎を纏った剣でミルキルズの首元を狙うが彼の全力をもってしても弾き返されてしまう。デズモンドも負けじと究極光魔法『ホーリースター』を放とうとするが、ランゴンザレスとゼストに止められる。
「それは流石に駄目ですよ!!」
「おい!竜の谷を破壊するつもりか!?」
デズモンドの事はランゴンザレスが必死で抑えているが限界がある。ルシアードはそんな外野を気にする事なくミルキルズに攻撃を仕掛けるが、ミルキルズの防御壁を破ることすら出来ない。いくらルシアードが最強でも、竜族の生きる伝説であり更に若返ったミルキルズには到底勝てるわけがないのだ。
これ以上戦ったら被害が甚大になる恐れがあるので、ゼストはミルキルズを抑える為に力を解放する事にした。
次の瞬間には天が割れ黄金の光が辺りを照らし、ミルキルズに引けを取らない莫大な魔力を纏ったゼストがいた。だが、恐ろしいのはミルキルズが全力を出していない事だ。しかしゼストは死ぬ覚悟でミルキルズを抑えるしかない理由があった。
(爺様⋯邪竜化してきている。)
そう、今まで我慢してきたアリアナ(アレクシア)への思いから邪竜化しそうになっていた。目の前で年老いていき、目の前で亡くなっていった愛しいひ孫アリアナ。その後、孫であるゼストや他の竜族が悲しんでいる間も気丈に振る舞っていたミルキルズだが、酷い悲しみと何もしてあげられなかった自分への怒りで少しずつ身体がドス黒い感情に蝕まれていった。
だが自らを弱らせる事によって邪竜化する前に死ぬはずだった。だが奇跡が起こったのだ!愛しのひ孫が帰って来たのだ!嬉しさでいっぱいだったが、自分が若返り力も戻った今、ドス黒いオーラを抑える事が出来ずにアレクシアを独占したい感情に歯止めが効かなくなっていた。
睨み合う孫ゼストと祖父ミルキルズ。
「何やってんでしゅかーーーー!!!」
そこへポーポトスに抱えられたアレクシアが怒りの形相でやって来た。
「いいジジイ達が何やってんでしゅか!!おちび達が怖がってましゅよ!!」
恐ろしい力を感じ、オウメに抱えられて震えていたロウやトトを思い出すアレクシア。プニやピピデデ兄弟もガタガタ震えていて白玉達が一生懸命に慰めていた。
ミルキルズはそんなアレクシアを見ると、今まで放っていたドス黒いオーラが少しずつ消えていく。それを見たゼストも力を抑え始めたが、まだ警戒していた。
「ミル爺!!何で⋯何で邪竜になろうとしてるんでしゅか!!」
「アレクシアよ⋯すまないのぅ⋯わしは自分の弱さに負けたんじゃ⋯あの時のお前が頭から離れんのじゃ⋯もうあんな光景は見たくない」
そう言いながら崩れ落ちるミルキルズを見たアレクシアは溢れ出す涙を拭うことなく思いっきり抱きしめる。
「ごめんなしゃいミル爺!!先に死んじゃって⋯ミル爺やジジイ⋯オウメやみんなを置いて死んじゃって⋯うわぁーーーん!」
「うぅ⋯アレクシア⋯もう先にいなくならんでくれ⋯」
ミルキルズも涙を流しながらアレクシアを強く抱き締める。それを見ていたゼストやポーポトスも辛い記憶が蘇り涙を流している。デズモンドも下を向き涙を必死で堪えていた。ランゴンザレスもアリアナがいなくなる辛さを知っているので心が痛い。
そんな光景を見ていたルシアードも愛娘アレクシアがいなくなるなんて考えたくないが、ミルキルズ達を見ていると現実感が湧き心が騒つく。こんな気持ちは初めてなので戸惑うが、今は考えるのをやめてこの状況を見守る事にした。
この大騒ぎにロウゴイヤ率いる竜族最強戦士達がすぐに駆けつけたが、禍々しい魔力は既に収まっていて泣きながら抱き合うアレクシアとミルキルズと、それを見守る者達がいたのだった。
それからゼストがロウゴイヤ達に事情を説明してこの場は一応は収まった。ロウゴイヤやウリドはミルキルズの気持ちが痛い程に分かるので敢えて何も言わなかった。そして泣き疲れて眠ってしまったアレクシアを愛おしそうに抱き抱えると、敷いた布団に寝かせてあげるミルキルズは何処となくスッキリした顔をしていた。スヤスヤ眠るアレクシアを優しく見つめ、頭を撫でて出て行こうとしたミルキルズだがいきなりアレクシアに袖を掴まれて驚く。
「ミル爺⋯いっちょに⋯ねま⋯しゅよ」
寝ぼけているのか、またスヤスヤ眠り始めたアレクシアだがミルキルズを離そうとしない為、結局一緒に寝る事になった。ゼストが不服そうなルシアードとデズモンドを宥めていたが、二人も今回は何も言わなかった。
気になって見に来たウロボロスは、嬉しそうにアレクシアと眠るミルキルズから邪悪なオーラが消えているのを感じてホッとしていた。
「良かった。お前を殺めたく無かったから⋯」
そう言って二人の間に潜り眠り始めたウロボロスだったが、次の朝には何故かアレクシアの枕になっていたのだった。
「何じゃ!お前達はこんなもんか!?そんなんじゃあ、アレクシアを任せられんぞ!?」
ミルキルズは縁側にゆったりと座りながら二人を煽っている。起き上がったルシアードは己に付いた土埃を払いながらも、全身から魔力を溢れさせてそれを愛剣に集中させ、デズモンドも同じく全身から魔力を自身に溢れさせてミルキルズを睨み付けていた。
「おお!!中々の魔力じゃな!」
その騒ぎに急いで駆けつけたランゴンザレスと大賢者ポーポトスは事態が飲み込めずにミルキルズの横で呆れているゼストに説明を求める。
「これは何の騒ぎよ!!」
「はぁ⋯騒ぎはあの子だけで十分なのにのぅ⋯」
「すまない⋯こうなった爺様を止めるのは俺にも難しい。」
「まさかあの子と誰が一緒に寝るかでこの騒ぎじゃないわよね!?」
鋭いランゴンザレスの言葉に、スッと視線を逸らすゼスト。
「もう!ミルキルズ様!!いい加減にして下さいよ!こんな事ぐらいで騒がないで⋯」
ランゴンザレスは話終わる前に二人と同じように吹っ飛んでいた。すぐに起き上がり信じられない思いでミルキルズを見た。だが、そこには怒りに満ちたドス黒いオーラを隠さずに放つミルキルズがいた。
「こんな事ぐらいじゃと?アレクシアはわしの大事なひ孫じゃぞ!奇跡が起こってまた⋯また帰って来てくれたんじゃ!!」
ドス黒いオーラに包まれたミルキルズを見たポーポトスは急いでどこかに消えていく。ゼストはミルキルズの変化に驚きつつも攻撃態勢のルシアード達とミルキルズの間に入り説得を試みる。
「爺様!落ち着いて下さい!!」
「何じゃ!?孫よ!お前もわしの邪魔をするのか!?」
狂気に満ちたミルキルズは孫であるゼストも吹き飛ばそうとしたが、彼は間一髪で防御壁を出して回避する。その隙にルシアードが攻撃を仕掛け、炎を纏った剣でミルキルズの首元を狙うが彼の全力をもってしても弾き返されてしまう。デズモンドも負けじと究極光魔法『ホーリースター』を放とうとするが、ランゴンザレスとゼストに止められる。
「それは流石に駄目ですよ!!」
「おい!竜の谷を破壊するつもりか!?」
デズモンドの事はランゴンザレスが必死で抑えているが限界がある。ルシアードはそんな外野を気にする事なくミルキルズに攻撃を仕掛けるが、ミルキルズの防御壁を破ることすら出来ない。いくらルシアードが最強でも、竜族の生きる伝説であり更に若返ったミルキルズには到底勝てるわけがないのだ。
これ以上戦ったら被害が甚大になる恐れがあるので、ゼストはミルキルズを抑える為に力を解放する事にした。
次の瞬間には天が割れ黄金の光が辺りを照らし、ミルキルズに引けを取らない莫大な魔力を纏ったゼストがいた。だが、恐ろしいのはミルキルズが全力を出していない事だ。しかしゼストは死ぬ覚悟でミルキルズを抑えるしかない理由があった。
(爺様⋯邪竜化してきている。)
そう、今まで我慢してきたアリアナ(アレクシア)への思いから邪竜化しそうになっていた。目の前で年老いていき、目の前で亡くなっていった愛しいひ孫アリアナ。その後、孫であるゼストや他の竜族が悲しんでいる間も気丈に振る舞っていたミルキルズだが、酷い悲しみと何もしてあげられなかった自分への怒りで少しずつ身体がドス黒い感情に蝕まれていった。
だが自らを弱らせる事によって邪竜化する前に死ぬはずだった。だが奇跡が起こったのだ!愛しのひ孫が帰って来たのだ!嬉しさでいっぱいだったが、自分が若返り力も戻った今、ドス黒いオーラを抑える事が出来ずにアレクシアを独占したい感情に歯止めが効かなくなっていた。
睨み合う孫ゼストと祖父ミルキルズ。
「何やってんでしゅかーーーー!!!」
そこへポーポトスに抱えられたアレクシアが怒りの形相でやって来た。
「いいジジイ達が何やってんでしゅか!!おちび達が怖がってましゅよ!!」
恐ろしい力を感じ、オウメに抱えられて震えていたロウやトトを思い出すアレクシア。プニやピピデデ兄弟もガタガタ震えていて白玉達が一生懸命に慰めていた。
ミルキルズはそんなアレクシアを見ると、今まで放っていたドス黒いオーラが少しずつ消えていく。それを見たゼストも力を抑え始めたが、まだ警戒していた。
「ミル爺!!何で⋯何で邪竜になろうとしてるんでしゅか!!」
「アレクシアよ⋯すまないのぅ⋯わしは自分の弱さに負けたんじゃ⋯あの時のお前が頭から離れんのじゃ⋯もうあんな光景は見たくない」
そう言いながら崩れ落ちるミルキルズを見たアレクシアは溢れ出す涙を拭うことなく思いっきり抱きしめる。
「ごめんなしゃいミル爺!!先に死んじゃって⋯ミル爺やジジイ⋯オウメやみんなを置いて死んじゃって⋯うわぁーーーん!」
「うぅ⋯アレクシア⋯もう先にいなくならんでくれ⋯」
ミルキルズも涙を流しながらアレクシアを強く抱き締める。それを見ていたゼストやポーポトスも辛い記憶が蘇り涙を流している。デズモンドも下を向き涙を必死で堪えていた。ランゴンザレスもアリアナがいなくなる辛さを知っているので心が痛い。
そんな光景を見ていたルシアードも愛娘アレクシアがいなくなるなんて考えたくないが、ミルキルズ達を見ていると現実感が湧き心が騒つく。こんな気持ちは初めてなので戸惑うが、今は考えるのをやめてこの状況を見守る事にした。
この大騒ぎにロウゴイヤ率いる竜族最強戦士達がすぐに駆けつけたが、禍々しい魔力は既に収まっていて泣きながら抱き合うアレクシアとミルキルズと、それを見守る者達がいたのだった。
それからゼストがロウゴイヤ達に事情を説明してこの場は一応は収まった。ロウゴイヤやウリドはミルキルズの気持ちが痛い程に分かるので敢えて何も言わなかった。そして泣き疲れて眠ってしまったアレクシアを愛おしそうに抱き抱えると、敷いた布団に寝かせてあげるミルキルズは何処となくスッキリした顔をしていた。スヤスヤ眠るアレクシアを優しく見つめ、頭を撫でて出て行こうとしたミルキルズだがいきなりアレクシアに袖を掴まれて驚く。
「ミル爺⋯いっちょに⋯ねま⋯しゅよ」
寝ぼけているのか、またスヤスヤ眠り始めたアレクシアだがミルキルズを離そうとしない為、結局一緒に寝る事になった。ゼストが不服そうなルシアードとデズモンドを宥めていたが、二人も今回は何も言わなかった。
気になって見に来たウロボロスは、嬉しそうにアレクシアと眠るミルキルズから邪悪なオーラが消えているのを感じてホッとしていた。
「良かった。お前を殺めたく無かったから⋯」
そう言って二人の間に潜り眠り始めたウロボロスだったが、次の朝には何故かアレクシアの枕になっていたのだった。
138
お気に入りに追加
6,796
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。