転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

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8章 アレクシアと竜の谷の人々

うん、まずは祝おう!!

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騒いでいるところで、アランカルト達を拘束したリリノイスが報告の為に戻ってきた。

「⋯トト!!」

思わず元気そうな愛息子の名前を呼ぶリリノイス。

『あ!父ちゃん!!』

トトはリリノイスに向けて嬉しそうに手を振るが、仲良くなったアレクシアから離れようとしなかった。トトは今まで孤独だった。父親であるリリノイスはゼストが眠りについてしまった後、後任として族長代理になった。だが気難しい性格が災いしてゼストの様に上手くいかずに、次第に離れていく者や反発する者も増えていった。そんな中で生まれたトトはリリノイスの子であるが故に友と呼べる者がいなかった。

しかし今は違う。今まで接点すらなかった次期“側近候補”になっているくらい優秀なプニや双子のピピとデデ、それに最強戦士ウリドの子ロウと仲良くなれた。しかも会いたかった白玉達とも再会を果たした。それもこれも中心には絶対にアレクシアがいた。

トトは嬉しさが込みあげ過ぎて、ずっとアレクシアの周りを意味もなく飛んでいた。そんな嬉しそうな息子を見たリリノイスが徐にアレクシアに近付いて何かを言おうとした時だった。

「⋯⋯え?ミルキルズ様?と⋯オウメ?」

二人の魔力を感じるが、目の前にいるのは見たこともない金髪の美少年と銀髪の美少女だ。だが確かにこの二人から凄まじいくらいのあの魔力を感じる。

「おお!リリノイスかぁ!相変わらず難しい顔をしておるのぉ!」

そう言って理解が追いついていないリリノイスの背中をバシバシと叩くミルキルズ。

「どういう顔でしゅか!」

すぐにツッコむアレクシア。

パニックになる前にリリノイスに事情を説明しているゼストを他所に、ミルキルズやロウゴイヤなどが皆に声をかけて宴会の準備を始めた。オウメを中心に女性陣、ランゴンザレスが宴会料理を作っている中、男性陣は火を起こしながらテーブルや椅子を並べるなどをの準備をしていた。そんな忙しい中で皆の目を盗み動くのは悪ガキ集団だ。

「皆集まって下しゃい!」

アレクシアが声をかけると集まって来た悪ガキ予備軍。

『あい!!ぼちゅ!』

すぐに飛んできたのはウリドとロウリヤの子であるロウだ。

『はーーい!!』

既に嬉しそうなリリノイスの息子トト。

『何するんだ?』

アレクシアの頭に乗り興味津々のウロボロス。

「楽しそうじゃのう!」

ワクワクしっぱなしのミルキルズ。

その横で恥ずかしそうに立つプニとやる気満々のデデに感涙するピピ。

「オレン食べたいのか?なら俺が畑を買い占めてやる」

デズモンドが平然ととんでもない事を言う。

「む。俺はこの里ごと買い取ってやる」

デズモンドに対抗して平然ととんでもなくおバカな事を言うルシアード。

「⋯そこの馬鹿ちん二人!黙らないと即追放しましゅよ!?」

睨み合うデズモンドとルシアードを叱りつけるアレクシア。するとアレクシアは足元にちょこんと座っていた悪子犬五匹に追放と書かれた旗を渡すと、旗を咥えた五匹が嬉しそうにデズモンドとルシアードの元に駆け寄っていく。

そんな五匹を魔法で浮かせて遠ざけながら、アレクシアに謝る魔国最強の国王陛下と人族最強の皇帝陛下。そんな二人を見て爆笑するミルキルズと呆れ果てている魔国の大賢者ポーポトス。

「アリアナ⋯いやアレクシアは変わってないね」

プニがアレクシアに話しかける。

「⋯そうでしゅか?でもプニ達は変わりまちたね。何で生き急いだんでしゅか?」

アレクシアの核心を突いた問いに黙ってしまうプニ達。

「そう言うな。お前が死んだ時のショックで壊れかけた心を守る為にピピが最初に急激な成長を始めた。それからデデ、プニの順で成長した。こんな事は今までなかったから理由は分からないが、多分自己防衛みたいなものだろう」

リリノイスとの話し合いが終わったゼストがやってきてアレクシアに説明する。

「シアのせいでしゅね⋯」

それを聞いて落ち込むアレクシア。

「アリ⋯アレクシアのせいじゃないよ!私たちがあなたの死を受け入れられなくて⋯でもいい事もあるのよ!強くなったの!兄上達にも勝ったし、最近は父上も倒したの!!」

嬉しそうに報告してくるプニ。

「え!父上って⋯どんだけ強いんでしゅか!!」

「俺だって父上に勝ったぞ!」デデも負けじと報告する。

「僕も⋯えへ」照れながら報告するピピ。

プニの父親も双子の父親もゼストの側近なので最強の戦士のはずだが、驚いて開いた口が塞がらないアレクシア。

『ぼきゅもちゅよくなりゅ!!』

ロウが力強く宣言するが可愛いだけだ。

「おいおい⋯頼むから程々にしてくれ!」

今から頭が痛いウリドはチラリと嫁と舅を確認する。ロウリヤは料理を手伝おうとするが、何故かランゴンザレスに必死に止められていた。

「ロウリヤさん~?坊やが呼んでるわよ~?」

顔を引き攣らせて包丁を握ろうとするロウリヤを止めているランゴンザレスは横にいるオウメに目配せする。

「ええ、ロウリヤ様。ロウ坊っちゃまが呼んでいますよ。母恋しいのでしょう、行ってあげて下さいな」

『え~?ぼきゅよんでにゃいよ~!』

空気がまだ読めないロウがパタパタと飛んでやって来た。

「お黙り!あんた⋯ママの料理を食べたいの?」

ロウの耳元でコソコソと話すランゴンザレス。

『⋯⋯。かあちゃんーー!!だっこちてーーー!!』

ロウは必死にロウリヤにしがみ付いたのだった。



その頃ロウゴイヤ率いる脳筋集団に取り囲まれたルシアードは何故かその中心にいるミルキルズと睨み合っていた。







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