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8章 アレクシアと竜の谷の人々
閑話 ウリド奮闘記②
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次の日、ウリドはいつものように畑仕事をする為に家を出た。
昨日は散々な目に遭ったが、その代わりに本来なら話す事さえできないはずの偉大なミルキルズ初代族長や現族長のゼストと交流し、自分の育てたオレンを食してくれている事に感動した。
「悪い事ばかりじゃなかったな」
そう自分に言い聞かせて畑仕事に取り掛かり始めたが、暫くして嫌な気配を感じ周りを警戒する。
(まさか⋯昨日の今日だぞ!?)
ウリドの家は里の外れにあり、一本道を歩いて来る人物は確認できる。こちらに近づいて来る小さな集団に息を呑んだウリドは畑の入り口に移動すると仁王立ちして威圧をかける。
『ねぇ~オレンたべりぇりゅにょ~?』
『おいちいよね~』
『ぼきゅもたべゆ!』
「ふふふ、あたちたちのやぼーをじちゅげ⋯実現しゅる為に!
悪い顔をして笑うアリアナだが噛み噛みだ。
『『『やぼーーー!』』』多分意味を分かってはいないだろう。
昨日の小さな悪魔が今度は三頭の子竜を引き連れてこちらに向かって来る。赤い子竜はプニで青い子竜の双子はデデとピピだろう。この子達の親はゼスト様の側近で偉大なる戦士達だ。
「お前達!何しに来た!?」
屈強な竜族の中での更に屈強で大柄なウリドの仁王立ちした姿に子竜達は驚いてアリアナの後ろに隠れてしまった。
「あっ!ウリボー!お願いがあってきまちた!」親しく話しかけるアリアナ。
「ウリドだ!」仁王立ちして睨みを効かせるウリド。
「どっちでも良いでしゅよ!そんな怒りん坊にゃウルドにお願いがありましゅ!」ウリドの睨みを無視して話し続けるアリアナ。
「ウ•リ•ドだ!お願いだと!?却下だ!」
ウリドが有無を言わさずに却下した。するとアリアナはヘナヘナと崩れ落ちて動かなくなってしまう。
『アリアニャーー!どうちたにょ!?ぽんぽんいたいにょ?』ピピがポロポロ泣き始めた。
『アリアニャをいじめたわにぇ!?』ウリドに食ってかかるプニ。
デデはファイティングポーズをとり今にもウリドに襲いかかりそうな勢いだが見ていて可愛いだけだ。ウリドは慌ててアリアナに駆け寄って行く。
「おい、大丈夫か?腹が痛いのか?」
「うぅ⋯わたちはただ自分でもオレンを育てたくて⋯おちえ⋯教えてもらおうとしただけでしゅ⋯」
悲しそうに言うアリアナをお人好しのウリドは無下にはできずに頭を抱えた。
(こんなおちび達に畑仕事は無理だぞ!?それにこの子を信じて良いのか!?)
考えていたウリドだが、ふと視線を感じて顔を上げるとアリアナと子竜達が期待感をもったキラキラした瞳でこちらを見ていた。
「はぁ⋯条件がある」考えるのを諦めたウリドが子供達を集めた。
「言ってみたまえ」
「⋯急に偉そうだな。畑はここの横にお前達でも出来る小さい畑を作ってやる。俺が教える通りに安全に作業する事。いいな?」
『『『ハーーーイ!!!』』』嬉しそうにパタパタ飛び回る子竜達。
「ふむ、了解ちた!」
嬉しそうな子供達を見て自然と笑顔になるウリド。
ウリドは自分の畑のすぐ横を急いで耕し、縦横二メートルくらいの小さな畑を急いで作った。
「おおっ!小さいでしゅね⋯でもここからどんどんと大きくしていきましゅよ!!」
『プニはおみじゅをあげる~!』赤い子竜のおませな女の子プニが手を上げる。
『ぼきゅもやる~!』青い子竜の双子の弟ピピが半泣きで手を上げた。
『おりぇは⋯⋯??』青い子竜の双子の兄デデは首を傾げていた。
皆はウリド指導のもと、オレンの種を一生懸命植えて水をあげると今度は畑の周りを囲う柵を作り始めた。夕方までかかったが不恰好ながら何とか出来上がった。そして入り口の看板には『オレンのはたけ』と拙い字で書かれていた。
ウリドは遅くなってしまった子供達を送りながらいろんな話をした。
「ジジイには早く結婚ちてほしいんでしゅよ⋯いい歳でしゅから」
「お前、本当に三歳児か?」
ため息を吐きながら話す三歳児を見てウリドは呆れるが、内容が内容だけに苦笑いしか出来ない。
「あら?アリアナちゃんじゃない!」
アリアナに手を振りながら前から歩いて来る人物を見て硬直してしまうウリド。そこにいたのはミルキルズ初代族長の腹心であり英雄でもあるロウゴイヤの孫にして里で一番の美女ロウリヤだった。皆が憧れ恋焦がれる人物だが、ゼスト様の婚約者候補筆頭で英雄の家系である生粋のお嬢様なので高嶺の花なのだ。燃え上がるような美しい赤髪を靡かせて笑顔でこちらに歩いて来る絶世の美女を見て動けないウリド。
「⋯惚れまちたね」
アリアナが呟くと子竜達も頷く。
「ロウリヤしゃん、こんちはでしゅ!」アリアナが手を振り返す。
「いや、もう夕方よ?心配だから送って⋯⋯ってこの方は?」
ウリドに気付いたロウリヤ。
「ああ、やぼーの師匠でしゅ!」
「また何か始めたのね!」アリアナの言葉に目を輝かせるロウリヤ。
「はっ!あ⋯俺は⋯ウリボでしゅ⋯はっ!」噛み噛みになってしまい恥ずかしそうに顔を真っ赤にするウリド。
「ウ•リ•ドでしゅよね?」呆れるアリアナ。
そんなウリドを見て笑うロウリヤと子竜達だが、この微笑ましい光景を物陰から憎しみの目で見つめる者達がいたのだった。
昨日は散々な目に遭ったが、その代わりに本来なら話す事さえできないはずの偉大なミルキルズ初代族長や現族長のゼストと交流し、自分の育てたオレンを食してくれている事に感動した。
「悪い事ばかりじゃなかったな」
そう自分に言い聞かせて畑仕事に取り掛かり始めたが、暫くして嫌な気配を感じ周りを警戒する。
(まさか⋯昨日の今日だぞ!?)
ウリドの家は里の外れにあり、一本道を歩いて来る人物は確認できる。こちらに近づいて来る小さな集団に息を呑んだウリドは畑の入り口に移動すると仁王立ちして威圧をかける。
『ねぇ~オレンたべりぇりゅにょ~?』
『おいちいよね~』
『ぼきゅもたべゆ!』
「ふふふ、あたちたちのやぼーをじちゅげ⋯実現しゅる為に!
悪い顔をして笑うアリアナだが噛み噛みだ。
『『『やぼーーー!』』』多分意味を分かってはいないだろう。
昨日の小さな悪魔が今度は三頭の子竜を引き連れてこちらに向かって来る。赤い子竜はプニで青い子竜の双子はデデとピピだろう。この子達の親はゼスト様の側近で偉大なる戦士達だ。
「お前達!何しに来た!?」
屈強な竜族の中での更に屈強で大柄なウリドの仁王立ちした姿に子竜達は驚いてアリアナの後ろに隠れてしまった。
「あっ!ウリボー!お願いがあってきまちた!」親しく話しかけるアリアナ。
「ウリドだ!」仁王立ちして睨みを効かせるウリド。
「どっちでも良いでしゅよ!そんな怒りん坊にゃウルドにお願いがありましゅ!」ウリドの睨みを無視して話し続けるアリアナ。
「ウ•リ•ドだ!お願いだと!?却下だ!」
ウリドが有無を言わさずに却下した。するとアリアナはヘナヘナと崩れ落ちて動かなくなってしまう。
『アリアニャーー!どうちたにょ!?ぽんぽんいたいにょ?』ピピがポロポロ泣き始めた。
『アリアニャをいじめたわにぇ!?』ウリドに食ってかかるプニ。
デデはファイティングポーズをとり今にもウリドに襲いかかりそうな勢いだが見ていて可愛いだけだ。ウリドは慌ててアリアナに駆け寄って行く。
「おい、大丈夫か?腹が痛いのか?」
「うぅ⋯わたちはただ自分でもオレンを育てたくて⋯おちえ⋯教えてもらおうとしただけでしゅ⋯」
悲しそうに言うアリアナをお人好しのウリドは無下にはできずに頭を抱えた。
(こんなおちび達に畑仕事は無理だぞ!?それにこの子を信じて良いのか!?)
考えていたウリドだが、ふと視線を感じて顔を上げるとアリアナと子竜達が期待感をもったキラキラした瞳でこちらを見ていた。
「はぁ⋯条件がある」考えるのを諦めたウリドが子供達を集めた。
「言ってみたまえ」
「⋯急に偉そうだな。畑はここの横にお前達でも出来る小さい畑を作ってやる。俺が教える通りに安全に作業する事。いいな?」
『『『ハーーーイ!!!』』』嬉しそうにパタパタ飛び回る子竜達。
「ふむ、了解ちた!」
嬉しそうな子供達を見て自然と笑顔になるウリド。
ウリドは自分の畑のすぐ横を急いで耕し、縦横二メートルくらいの小さな畑を急いで作った。
「おおっ!小さいでしゅね⋯でもここからどんどんと大きくしていきましゅよ!!」
『プニはおみじゅをあげる~!』赤い子竜のおませな女の子プニが手を上げる。
『ぼきゅもやる~!』青い子竜の双子の弟ピピが半泣きで手を上げた。
『おりぇは⋯⋯??』青い子竜の双子の兄デデは首を傾げていた。
皆はウリド指導のもと、オレンの種を一生懸命植えて水をあげると今度は畑の周りを囲う柵を作り始めた。夕方までかかったが不恰好ながら何とか出来上がった。そして入り口の看板には『オレンのはたけ』と拙い字で書かれていた。
ウリドは遅くなってしまった子供達を送りながらいろんな話をした。
「ジジイには早く結婚ちてほしいんでしゅよ⋯いい歳でしゅから」
「お前、本当に三歳児か?」
ため息を吐きながら話す三歳児を見てウリドは呆れるが、内容が内容だけに苦笑いしか出来ない。
「あら?アリアナちゃんじゃない!」
アリアナに手を振りながら前から歩いて来る人物を見て硬直してしまうウリド。そこにいたのはミルキルズ初代族長の腹心であり英雄でもあるロウゴイヤの孫にして里で一番の美女ロウリヤだった。皆が憧れ恋焦がれる人物だが、ゼスト様の婚約者候補筆頭で英雄の家系である生粋のお嬢様なので高嶺の花なのだ。燃え上がるような美しい赤髪を靡かせて笑顔でこちらに歩いて来る絶世の美女を見て動けないウリド。
「⋯惚れまちたね」
アリアナが呟くと子竜達も頷く。
「ロウリヤしゃん、こんちはでしゅ!」アリアナが手を振り返す。
「いや、もう夕方よ?心配だから送って⋯⋯ってこの方は?」
ウリドに気付いたロウリヤ。
「ああ、やぼーの師匠でしゅ!」
「また何か始めたのね!」アリアナの言葉に目を輝かせるロウリヤ。
「はっ!あ⋯俺は⋯ウリボでしゅ⋯はっ!」噛み噛みになってしまい恥ずかしそうに顔を真っ赤にするウリド。
「ウ•リ•ドでしゅよね?」呆れるアリアナ。
そんなウリドを見て笑うロウリヤと子竜達だが、この微笑ましい光景を物陰から憎しみの目で見つめる者達がいたのだった。
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