転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

文字の大きさ
上 下
45 / 156
8章 アレクシアと竜の谷の人々

衝撃の事実が発覚!

しおりを挟む
「おい、お前⋯空気を読め!今だけで良いから!」

ゼストは空気の読めない愛娘を懸命に諭す。

「本当にお前は昔から癪に触りますね。人族の分際で最強種である私達竜族の集落を我が物顔で歩き、族長やミルキルズ様に可愛がられているのを良い事に好き勝手して里の秩序を乱し続けた!」

「うっ!それについてはシアは何も言えましぇん!」

「いや、否定しろよ。⋯⋯出来ないか」

アランカルトの言い分に何も言い返せないアレクシアに呆れてついツッコんでしまったデズモンドだが、少し考えて妙に納得してしまった。

「アランカルトはお前を否定し続けた反対派の一人だ。本当に覚えてないのか?」

そう言いゼストがアランカルトを睨む。

「う~ん⋯反対派はたくさんいまちたから誰が誰だか~?」

首を傾げながらそう言い放ったアレクシアに殺気を向ける竜族の男達。流石に冷静を装っていたアランカルトの顔色が変わり、一人の竜族の男に何か目で合図する。その男は頷いて集落の中に消えていった。

「リリノイスは同じ反対派だと思っていたんです。昔から誰よりもアリアナに冷たく辛辣でしたからね。ですが攻撃的ではなかった。今考えればわざと反対派になりアリアナを殺そうとしていた我々の行動を見張っていたんですよね?」

「いやいや、リリィしゃんに限ってそれはないでしゅよ!」

見事に完全否定するアレクシア。

「お前が否定するなよ」

アランカルトの意見を真っ向から否定するアレクシアに苦笑いするゼスト。リリノイスもそんなアレクシアを見て呆れて溜め息を吐いている。

「まぁ、今更どうでも良いです。結局我々を監視する為にわざと自分の側近に置いておいたみたいですが、我々はもうこの集落自体には興味はありませんから」

「ああ、確か世界と言っていたな」

「ええ、ゼスト様。弱いくせに我が物顔で国を築き暮らしている人族全てを滅ぼして終えば良いと考えました。もっと早く行動に移せば良かったと後悔しているくらいです」

「気の弱いお前がここまで出来るとはな。いつも誰かの後ろで囁き操っていた卑怯なアランカルト、自分では何一つ行動できないお前にしては早いくらいじゃないか?」

ゼストの挑発に顔色が変わり、正面から睨み付けるアランカルト。そのタイミングで先程の男が縄で結んだ何かを引き摺りながらやって来た。それを見たアレクシアは表情を一変して、殺気を放つ。

「お前達は絶対に許しましぇん!」

引き摺ってきたのは酷く傷付いた幼い竜だった。先程言っていたアランカルトが傷付けた子供だろう。

『うぅ⋯いちゃいよ⋯』

足が血塗れで痛々しいこの子竜を人質に、原初の竜の召喚の仕方を聞き出そうとしているのだろう。

「本当にどうしようもない奴だ」

ゼストも激しい怒りで殺気を解き放ち、目の前にいた数人の竜族の男達がガタガタと震えて崩れ落ちた。

「ああ、動かないで下さいね?この可哀想な幼い子の首が飛びますよ?さぁ、答えて下さい」

そう言うアランカルトの横で子竜を繋いでいる縄を持っている男はニタニタと下劣な笑みを浮かべている。

「俺は何も知らない。そもそも原初の竜の話は竜族に伝わる御伽話だと思っていたし、その玉も今初めて見た」

「そんな言葉を信じろと?この子に早く死んでほしいんですか?」

「待ちなしゃいな!⋯これが目に入らぬかーーー!」

ゼストの答えに焦るアランカルトは子竜を掴むとまた傷つけようとする。すると、アレクシアが亜空間からあるモノを取り出しながら叫ぶ。

『いでで!だから頭を掴むな!』

アレクシアが頭を鷲掴みにして取り出したのはウロボロスであった。亜空間で気持ち良く眠っていたのに急に起こされたウロボロスはいまいち状況が理解できていない。

「アレクシア、それはウロボロスだろう?」

暫くの沈黙が続いたが、いち早く我に返ったルシアードが愛娘に正論をぶちかます。だが、アレクシアの口から放たれたのは衝撃的な言葉であった。

「ずっと隠してまちたが⋯実はウロボロスが原初の竜なんでしゅ!ドヤ!」

そう言ってドヤ顔でふんぞり返るアレクシアと状況が理解できずに固まる一同。

「あれ?反応が薄いでしゅね。結構衝撃の事実だと思ったんでしゅが⋯」

『お前⋯どうするんだ、この状況?』

アレクシアとウロボロスは皆の反応が薄いのが予想外だったのでコソコソと話していると、いち早く我に返ったゼストが怒りの表情でアレクシアに詰め寄ってきた。

「おい!この状況で冗談は止めろ!監禁されている者たちの命がかかっているんだぞ!?」

「冗談じゃありましぇんよ!ウロボロスが原初の竜なんでしゅ!シアが⋯昔の私がウロボロスを助けたんでしゅから!」

睨み合うアレクシアとゼストだが、またまた衝撃の事実を知る事となった。

「なっ!?何を言っているんだ?ウロボロスはお前がどこからか連れてきた⋯連れてきたな。爺様も⋯いや、もしかして爺様も関わっているのか?」

ゼストの言葉にアレクシアはハッとしてゆっくりと目を逸らしながら口笛を吹くが残念ながら鳴っていない。

「ああ、分かりやすいな。爺様も関わっているんだな。はぁ⋯ウロボロス、本当なのか?」

頭を抱えながらもウロボロスに真意を問うゼスト。

『⋯⋯その話をする前にやっておく事がある』

ウロボロスは唖然とするアランカルト達の元へパタパタと飛んでいく。すると次の瞬間、アランカルト達が急に苦しみ出して口から泡を吹き次々と倒れていった。そして傷付いて倒れていた幼い竜が淡く光出したと思った瞬間にはもう傷が完全に消えていた。

『ありぇ~?いちゃくにゃい!』

そう言って嬉しそうに尻尾をフリフリしている幼い竜の首に固く結ばれていた縄を解いてあげるアレクシアとウロボロス。そこの空間だけ見ればほんわかしているが、他の者は皆理解が全然追いついていなかった。









しおりを挟む
感想 1,261

あなたにおすすめの小説

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

【外部URL作品を用意しました】二度目の公爵夫人が復讐を画策する隣で、夫である公爵は妻に名前を呼んでほしくて頑張っています

朱音ゆうひ
恋愛
※書籍化に伴い、31日の0時に非公開設定にさせていただきます。 作者の作品一覧にこの作品の外部URL版を追加しましたので、もしよければ今後は外部URL版でお楽しみくださいませ…! 政略結婚で第一皇子派のランヴェール公爵家に嫁いだディリートは、不仲な夫アシルの政敵である皇甥イゼキウスと親しくなった。イゼキウスは玉座を狙っており、ディリートは彼を支援した。 だが、政敵をことごとく排除して即位したイゼキウスはディリートを裏切り、悪女として断罪した。 処刑されたディリートは、母の形見の力により過去に戻り、復讐を誓う。 再び公爵家に嫁ぐディリート。しかし夫が一度目の人生と違い、どんどん変な人になっていく。妻はシリアスにざまぁをしたいのに夫がラブコメに引っ張っていく!? ※4月5日発売予定の書籍化作品です。 こちらの作品は発売に伴い非公開にするのですが、外部URL作品を用意いたしました。 お手数ですが、作品一覧からご確認くださいませ。 作品を楽しんでくださり、本当にありがとうございます。 ※31日の0時に非公開にさせていただきます。お気に入りや感想、エールなど、本当にありがとうございます!

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!

甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・

お姉様に恋した、私の婚約者。5日間部屋に篭っていたら500年が経過していました。

ごろごろみかん。
恋愛
「……すまない。彼女が、私の【運命】なんだ」 ──フェリシアの婚約者の【運命】は、彼女ではなかった。 「あなたも知っている通り、彼女は病弱だ。彼女に王妃は務まらない。だから、フェリシア。あなたが、彼女を支えてあげて欲しいんだ。あなたは王妃として、あなたの姉……第二妃となる彼女を、助けてあげて欲しい」 婚約者にそう言われたフェリシアは── (え、絶対嫌なんですけど……?) その瞬間、前世の記憶を思い出した。 彼女は五日間、部屋に籠った。 そして、出した答えは、【婚約解消】。 やってられるか!と勘当覚悟で父に相談しに部屋を出た彼女は、愕然とする。 なぜなら、前世の記憶を取り戻した影響で魔力が暴走し、部屋の外では【五日間】ではなく【五百年】の時が経過していたからである。 フェリシアの第二の人生が始まる。 ☆新連載始めました!今作はできる限り感想返信頑張りますので、良ければください(私のモチベが上がります)よろしくお願いします!

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

間違えられた番様は、消えました。

夕立悠理
恋愛
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。 運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。 「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」 ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。 ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。 「エルマ、私の愛しい番」 けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。 いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。 名前を失くしたロイゼは、消えることにした。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。