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ユリア、旅をする!!

あの子もやって来た!

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ユリア率いるおチビ軍団の謎の(?)儀式を見て警戒するチェスターだが、夢は可愛い~と悶えていた。

「おい!それを今すぐ止めろ!!」

チェスターがおチビ達を引き離そうとするが、何故か強力な防御壁のようなものに弾き返された。嬉しそうに妖精コウもおチビ達の周りを飛び回っていた。

「⋯!!ほら見ろ!!もう何か始まったぞ!!」

おチビ達を指差しながら、周りに警告するチェスターだがユリアの凄さを知ってる皆は苦笑いするだけだ。だが、邪神セラムと時の精霊王ミリーは驚きを隠せない。

「あの子達は一体何なんですか?」

「⋯⋯ただの幼子ではないみたいですね」

「いやいや!ただのちんちくりん共だ!!」

そんな二人に対してチェスターが鼻で笑った。

「もー!あにちうるしゃい!!」

ユリアが腰に手を当ててプンスカ起こっている。

「あにちーー!!」

カイルは嬉しそうにチェスターの足にしがみつく。

「⋯あにち」

ルウは少し恥ずかしそうに小さく手を振る。

「うわー!!ここどこーー?」

ピアは今すぐにでも走り出しそうだったので、チェスターが小脇に抱えた。彼は粗暴な感じだが意外と面倒見が良いのだ。

「た!たああ!!(よ!足臭オヤジ!!)」

「誰が足臭だ!お前は本当に可愛くない!!」

睨み合うチェスターと浮遊するルイーザだが、周りはもうそんな二人を無視してバーベキューの続きを始めた。

「あの男、赤子と会話してますよ?」

ミリーが口いっぱい肉を頬張りながら、二人のバトルを興味深く見ていた。

「あんな赤子に何をムキになっているんですかね?」

小馬鹿にしたようにチェスター達を見て笑っているセラム。

「こんなちんちくりん共を殺そうとしていた奴に言われたくねぇよ!!」

「たあ!!たああーー!!(そうよ!!かかってこいやーー!!)」

「⋯⋯」

チェスターの言い分やルイーザの迫力に黙ってしまうセラム。そんなセラムを見て驚きを隠せないのが創造神ラズゴーンであった。

(こんな短時間で闇の力が弱まっている⋯まさか)

そんな考え込んでいたラズゴーンのはこちらへよちよちとやって来たユリアにじっと見つめられる。

「どうしたんだい?」

「背中にジョチュアがちゅいてまちゅよ?」

そう、先程から皆は気付いていたが敢えて触れなかった。まだ創造神ラズゴーンには近寄りづらく、あまり気にしないのはおチビ達や妖精コウとシロ、そしてチェスターぐらいだ。

森の番人ドライアドや世界樹であるユグドラシルは何を考えているのかよく分からない。自然と自由の象徴であるユグドラシルは神とはまた違うのだ。

「ああ、この子かい?何故か張り付いて離れないから連れて来たよ」

苦笑いしながらラズゴーンは、背中に張り付いている羽根の生えた紅い子猫を魔法で浮かせてユリアの元へ届けた。

『うぅ⋯大丈夫か!!』

泣きながらユリアを心配するジョジュア。

貴族の馬鹿息子だったジョジュアはユリアに子猫にされ、その後に何故かまたユリアによって精霊化してしまい“炎の子猫ジョジュア”になった。

「ジョチュアー!可愛いねぇ~」

泣いているジョジュアを膝に乗せて頭を撫でるユリア。そんなユリアの横にはカイル、ルウ、ピアが座り美味しそうに肉を頬張っていた。

「可愛いー!これも食べてねー?」

夢は嬉しそうにおチビ達の面倒を見ている。自分だけ食べられないのであからさまに不機嫌になったルイーザは、何と自分の亜空間から哺乳瓶を出して気怠げに飲み始めた。

「おいおい、こいつ亜空間まで使えるのか!?」

驚くチェスター達と苦笑いのラズゴーン。

「それにしても赤子に見えないわね⋯」

「ああ。酒を煽るオヤジみたいだな⋯」

ルイーザを見て嘆くアネモネとオーウェン。

「ユリア、お前も早く食べろ」

「はーーい!!」

シロがユリアを甲斐甲斐しく世話をしている横で、邪神セラムと創造神ラズゴーンが話し合いをしていた。

「この子達を帰して下さい。こんなに大人数の子達を旅に連れて行けません。邪魔です」

「じゃまじゃないもん!!」

「⋯たびにいく」

「たびーー!!たびってなに?」

ラズゴーンが口を開く前に、セラムに猛抗議するカイル、ルウ、ピア。

「この子達も連れて行ってくれ。ほら、ユメも喜んでいるぞ?」

意地悪い顔をしたラズゴーンの方が邪神に見える。セラムが夢をチラッと見るが、彼女は嬉しそうにやさぐれているルイーザを抱っこしていた。

「⋯⋯。私はこの子達に何かあっても責任は持ちませんよ?」

「ああ、そこは大丈夫だろう。何せこのメンバーだ。私も見守っているからね」

そう言われたセラムは深々と溜息を吐き、横で肉を頬張るミリーをジッと見た。

「ミリー、この子達の面倒を見なさい」

「⋯⋯え?え⋯えー」

ミリーは口の周りをタレだらけにしてわちゃわちゃしているユリア達を見て頭を抱えるのであった。





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