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ユリア、旅をする!!

おちび達大集合で大混乱です!!②

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ユリアが消えてからずっと泣き続けるルイーザはまた魔力暴走をしてしまい、魔神マーリンが何とか抑えていた。

「ユリアまではいかないけど⋯本当に凄まじい魔力だね」

ルイーザの凄まじい魔力に苦笑いするマーリンと、驚く一同。

魔族の里にはサンドスが残ると手を挙げた。彼は自身で一から村を開拓した経験があり、ほぼ全壊してしまった魔族の里を復活させようと意気込んでいた。その他にはマルとシイカ、それに数十人のルウズビュード国の兵士がこの場に留まり復興の手助けをする事になった。

オルトスはと言うと、ルーシアス達の話し合いに参加する為に一人で大国タールシアンに向かった。彼の力があればタールシアンなど恐れるに足らないからだ。

魔族の長であるルーシアスは今、恋人であるナターシャと敵国タールシアン王国へ話し合いに行っているので里をこのままに出来ないのだ。魔族の小さな幼子や老人も襲撃で怪我をしたが、幸いな事に死者は出なかった。

アネモネやシリウスの回復魔法で怪我は治ったが、精神的にも肉体的にも疲れ果てていて動けない。そんな光景を見て全員撤退とは言えずに、サンドスが手を挙げたのだった。

「まずは家じゃな!マル!シイカ!木を切って家を作るぞ!」

「わかった!」

「あい!」

サンドスの後を追い、マルとシイカも大木を魔法で簡単に切り浮かして里に運ぶ。それを見て口をあんぐり開けっぱなしの兵士達。そんな彼等は魔族を甲斐甲斐しく世話をしていた。皆が休める簡易的な休憩所を作ったり、炊き出しをしたりと大忙しだが、魔族の人々が泣いて喜ぶ姿を見て胸が締め付けられていた。

今までその見た目だけで迫害されて追いやられた彼等は、自分達にこんなにも優しくしてくれるルウズビュード国の者達に涙ながらに感謝したのだった。

そしてほんの四時間くらいで元の家よりも立派な家が完成していた。サンドスのスピードと体力は凄まじく、マルとシイカの魔法も繊細な作業を簡単に行ってしまう。魔族の人々も口をあんぐり開けっぱなしであった。

魔族の子供達は立派な家に大喜びで小躍りしていた。老人達は泣いて感謝を述べ、若者達はこの技術を学びたいとサンドスに頭を下げたのだった。



一方でオーランド達はルウズビュード国に戻って、心配していたフローリアに事情を話した。泣き崩れてしまったナタリーを見て不安になるカイルやルウ、ピアも何かを感じ取ったのか大人しい。また、猫になり今は精霊化してしまったジョジュアも話を聞いてしまい心配で泣いていた。

フローリアは魔神マーリンの腕の中でぐったりと眠っているルイーザを見て驚く。

「ユリアが消えてからまた魔力暴走をしてな。今は抑え込んでいるが、また暴走するか分からない」

この暴走が続くと命に関わると聞かされたフローリアは泣き崩れた。

「どうしたらいいの!ああ、ルイーザ!」

「一つ方法がある。これは一か八かだ」

金髪の少年が提案するが、彼の正体を聞かされているフローリア達は平伏そうとする。

「そのままで構わない。寧ろ普通でいてくれ」

苦笑いしながらそう言う金髪の少年ラズゴーン。

「ルイーザをユリアの元へ連れて行く。それしか方法が無いがセラムの怒りを考えると一か八かだな」

「そんな!!」

「たあ!!(行くわよ!!)」

反対するフローリアを遮り、ルイーザが手を挙げた。フラフラのはずなのにそんな事を気にする事なく母親の腕から浮かび上がりラズゴーンの元へ飛んで行く。

「君は本当にユリアが大好きなんだね」

「たあ!たああ!!(当たり前よ!ユリア大好き!!)」

創造神ラズゴーンの頭の上に乗る罰当たり極まり無いルイーザに周りは苦笑いだ。

「俺も反対したいけど、ルイーザは聞かないだろうしねぇ~」

「たあ!(行くわよ!!)」

魔神マーリンを無視して早くとラズゴーンの頭をペシペシ叩いて催促するルイーザ。

フローリアは反対したがルイーザが最後まで言う事を聞く事はなく、ラズゴーンが全力で守ると約束したので渋々だがやっと許可を出した。そんな光景をただ黙ってナタリーの横で見ていたカイルだが、その瞳には並々ならぬ闘志が宿っていた。

「絶対にこの子を守ってくださいませ!!」

「ああ、約束しよう」

ラズゴーンに抱っこされたルイーザを見ながら切実に頭を下げてお願いするフローリア。そしてラズゴーンの転移魔法の陣が現れた時だった。

「かあしゃま⋯行ってくりゅ!!」

ナタリーがカイルの言葉に振り向いた時にはもう愛しの息子はそこにいなかった。全速力で走るカイルを見てルウやピアも同時に動き出して光出した魔法陣に飛び込んで行ったのだった。




そして今現在、ルイーザ率いるおちび達がユリアを囲んでいた。

そんな光景を見て怒りを露わにしたのは邪神セラムであった。彼が睨み付ける先にいたのは金髪の少年だった。

「約束が違いますが?この幼子達を殺しても良いと言う事ですか?」

彼からどす黒い怒りが滲み出てきた。それに警戒するシロやチェスターはおちび達を守るように立つ。アネモネやオーウェンはセラムを説得しようと声を掛けようとした時だった。

「キャーー!!可愛いーー!!天使だわ!!って赤ちゃんが浮いてる?」

徳丸夢が嬉しそうにおちび達に駆け寄るのを、セラムが唖然と見ていた。

「お名前は?」

「かいりゅでしゅ!」

「ルウ」

「ピアだよーー!!」

「たあ!(ルイーザ!)」

順番に挨拶する可愛い幼子達を見て悶える夢。

「ユメは子供が好きなんですか?」

「あ、はい!将来保育士になりたかったから!」

「ほいくし?」

首を傾げるセラムだが、夢はおちび達に夢中だった。

「保育士っていうのは⋯あれ見て!可愛い~!何かの踊りかな?」

「おいおい、また変な儀式を始めたぞ!!」

夢の目の前でユリア達が手を繋ぎながら丸くなりグルグル回っていた。それを見たチェスターがいつものように警戒をしたのだった。








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