80 / 100
ユリア、新しいお友達に出会う
閑話 ユリアの日常②
しおりを挟む
『おい、出てこい!』
シロは後方を睨み付け威嚇する。クロじいもおちび達をそっと後ろに隠している。すると茂みから小さな黒い犬がトコトコと出て来た。
「あーー!くりょいワンワンでしゅよー!」
ユリアはちょこんと顔を覗かせて、黒い犬を見て喜んでいる。だが黒い犬はふらりと倒れてしまう。それに驚いたおちび達は急いで黒い犬に近付いていく。
シロは倒れた黒い犬をじっと見つめる。良く見ると黒いのはただ汚れているだけで全体的に傷だらけで、足枷がついていてとても痛々しい姿だった。
『酷いのう…この匂いは人間の匂いじゃな。人間に捕まって虐げられていたんじゃな』
クロじいはそう言って顔を曇らせた。
「うぅ…かわいしょうでしゅ!」ユリアは涙を浮かべている。
『痛そうでしゅ…』赤い蜘蛛も悲しそうだ。
天狼の子供達は悲しそうに泣いている。ユリアが流した涙がぽたぽたと黒い犬に落ちていく。すると黒い犬が淡く優しい光に包まれていく。眩しい光に皆が目を開けられないくらいだ。
暫くすると光が徐々に収まっていき、そこには純白の綺麗な毛並みの犬が尻尾を振り座っていた。犬は嬉しそうにユリアの顔をペロペロ舐めている。
「あわわでしゅ!くりょいワンワン?」
『あいあとー!』そう言ってペコリと頭を下げる犬。
『お前は月狼族か?』
シロの言葉にこくんと頷く犬。月狼族は狼獣人の少数民族で魔力も強く希少なので世界絶滅危惧種族として守られている筈なのだ。
『とーちゃとかあちゃがウルにがちたの……うぅ…あいちゃい…』
ポロポロと涙を流すウルという月狼族の子供。どうやら少数民族で希少な月狼族を狙った人間に捕まってしまったらしい。
「わりゅいやちゅをたおちまちゅよ!」
ぷんすか怒るユリアやおちび魔物達のやる気に満ちた姿に苦笑いするしかないシロやクロじい。
『クロじい、人の匂いは近いぞ?』
『じゃが、ユリア達を連れて行く訳にはいかんのう』
二人が燃えているおちび達を見て悩んでいると、森の奥から見知った顔が続々と現れ始めた。
『話は盗み聞きしたぞ!ユリアと遊ぼうと思って来たら、そんな事があったんだな!留守番してやるから早く助けに行ってやれよ!』
草木を掻き分けてネオが堂々とやって来た。ユリアは喜んでもふもふに飛び込むが、他のおちび魔物はぶるぶる震えている。あの伝説の天虎が目の前にいるのだ、仕方がない。
『ネオか、お前も人に虐げられたからな』
シロの言葉に頷くネオ。
『ああ、そいつらに地獄を見せてやれ!』
「みしぇてやれーー!」ユリアも怒っているが可愛いだけだ。
『私も行きます。もしこれが娘だったらと思うと我慢なりません!』
そこへ巨大な蜘蛛がやって来た。
『父上でしゅーー!』
赤い蜘蛛が父親であるエンペラースパイダーに飛び込む。あまりに大きい蜘蛛に驚く天狼の子供達。
『我も連れて行って下さい』
次にやって来たのは天狼の長だ。
『『『あーー!おしゃだーー!』』』
尻尾を振り、嬉しそうに長に戯れる天狼の子供達。
この最強過ぎるメンバーで人間に捕らえられている月狼族を救いに向かう。そんなメンバーをネオと留守番のユリアやおちび魔物達、そしてウルは一生懸命手を振り声援を送っていた。
さぁ蹂躙の時間です。
シロは後方を睨み付け威嚇する。クロじいもおちび達をそっと後ろに隠している。すると茂みから小さな黒い犬がトコトコと出て来た。
「あーー!くりょいワンワンでしゅよー!」
ユリアはちょこんと顔を覗かせて、黒い犬を見て喜んでいる。だが黒い犬はふらりと倒れてしまう。それに驚いたおちび達は急いで黒い犬に近付いていく。
シロは倒れた黒い犬をじっと見つめる。良く見ると黒いのはただ汚れているだけで全体的に傷だらけで、足枷がついていてとても痛々しい姿だった。
『酷いのう…この匂いは人間の匂いじゃな。人間に捕まって虐げられていたんじゃな』
クロじいはそう言って顔を曇らせた。
「うぅ…かわいしょうでしゅ!」ユリアは涙を浮かべている。
『痛そうでしゅ…』赤い蜘蛛も悲しそうだ。
天狼の子供達は悲しそうに泣いている。ユリアが流した涙がぽたぽたと黒い犬に落ちていく。すると黒い犬が淡く優しい光に包まれていく。眩しい光に皆が目を開けられないくらいだ。
暫くすると光が徐々に収まっていき、そこには純白の綺麗な毛並みの犬が尻尾を振り座っていた。犬は嬉しそうにユリアの顔をペロペロ舐めている。
「あわわでしゅ!くりょいワンワン?」
『あいあとー!』そう言ってペコリと頭を下げる犬。
『お前は月狼族か?』
シロの言葉にこくんと頷く犬。月狼族は狼獣人の少数民族で魔力も強く希少なので世界絶滅危惧種族として守られている筈なのだ。
『とーちゃとかあちゃがウルにがちたの……うぅ…あいちゃい…』
ポロポロと涙を流すウルという月狼族の子供。どうやら少数民族で希少な月狼族を狙った人間に捕まってしまったらしい。
「わりゅいやちゅをたおちまちゅよ!」
ぷんすか怒るユリアやおちび魔物達のやる気に満ちた姿に苦笑いするしかないシロやクロじい。
『クロじい、人の匂いは近いぞ?』
『じゃが、ユリア達を連れて行く訳にはいかんのう』
二人が燃えているおちび達を見て悩んでいると、森の奥から見知った顔が続々と現れ始めた。
『話は盗み聞きしたぞ!ユリアと遊ぼうと思って来たら、そんな事があったんだな!留守番してやるから早く助けに行ってやれよ!』
草木を掻き分けてネオが堂々とやって来た。ユリアは喜んでもふもふに飛び込むが、他のおちび魔物はぶるぶる震えている。あの伝説の天虎が目の前にいるのだ、仕方がない。
『ネオか、お前も人に虐げられたからな』
シロの言葉に頷くネオ。
『ああ、そいつらに地獄を見せてやれ!』
「みしぇてやれーー!」ユリアも怒っているが可愛いだけだ。
『私も行きます。もしこれが娘だったらと思うと我慢なりません!』
そこへ巨大な蜘蛛がやって来た。
『父上でしゅーー!』
赤い蜘蛛が父親であるエンペラースパイダーに飛び込む。あまりに大きい蜘蛛に驚く天狼の子供達。
『我も連れて行って下さい』
次にやって来たのは天狼の長だ。
『『『あーー!おしゃだーー!』』』
尻尾を振り、嬉しそうに長に戯れる天狼の子供達。
この最強過ぎるメンバーで人間に捕らえられている月狼族を救いに向かう。そんなメンバーをネオと留守番のユリアやおちび魔物達、そしてウルは一生懸命手を振り声援を送っていた。
さぁ蹂躙の時間です。
36
お気に入りに追加
10,196
あなたにおすすめの小説
孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下
akechi
ファンタジー
ルル8歳
赤子の時にはもう孤児院にいた。
孤児院の院長はじめ皆がいい人ばかりなので寂しくなかった。それにいつも孤児院にやってくる男性がいる。何故か私を溺愛していて少々うざい。
それに貴方…国王陛下ですよね?
*コメディ寄りです。
不定期更新です!
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!
akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。
そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。
※コメディ寄りです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。