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6章 それぞれの旅立ちとこれから

おちび達の兵士ごっこ

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「じーじがタイチョーね!」
そう言いながらヨシュアがヨルドに抱きつく。

「おっ!わしが隊長か!よし!」孫に言われて張り切るヨルド。
「ジョンしゃんがてきでしゅよ、じーじ」
ヨシュアはコソコソと言っているつもりらしいが、ここにいる全員に筒抜けである。

「⋯何でいつも俺が敵なんだよ」
苦笑いしながら呟くジョンさんことジェラルド国王陛下を励ますルルだが、ルルこそがジョンさんを敵とおちび達に刷り込んだ張本人だ。

「よし!一列に並べ!」ヨルドが大声を出しておちび達を集めた。
「「「あい!!」」」
よちよちと一列に並んだヨシュア、リク、エドワードのおちび三人組。

ルルやアンリは公爵家の素敵な庭でエチカと共にお紅茶を飲みながらおちび達の兵士ごっこを見守っている。

「よし、おちび達!狙いはあそこにいる悪い組織のボスジョンだ!」
「「「おーー!!」」」勢い良く返事をするおちび達。

「悪の組織って⋯一応この国の王なんだが」
ジェラルドの一言に紅茶を噴き出し大爆笑するエチカとアンリ。そんな外野をよそにヨルドはおちび達を集めて作戦会議をしている。

「分かったか!この作戦で行くぞ!!」
「「「アイアイサーーー!!」」」
おちび達はヨルドに向かい元気に敬礼すると、勢い良くジェラルドの周りを三人がバラバラになり走り始めた。

「おいっ!ちょかまかと!こら!」
自分の周りを走り回るおちび達に振り回されるジェラルド。
「きゃはは!こっちでしゅよ!」ヨシュアがお尻を叩いて挑発する。

「あれが兵士のする事か!」呆れるルル。
「あら、可愛い!頑張って兄上を捻り潰して!」エチカは手を振っておちび達を応援している。
「ブッ!捻り潰すって!ああ見えて国王だから!」爆笑しながらもエチカにツッコむアンリも酷い言いようだ。

「お前らなぁ!」
ジェラルドが見学しているエチカ達に抗議しようとするが、おちび達が纏わりついて動けないでいた。側で見ていたランバードがジェラルドを助けようとした時だった。
「おい!隙だらけだぞ、息子よ!」
いきなりジェラルドの目の前に現れたヨルドがジェラルドを掴み背負い投げをしようとした。
「ふん!気付いていないとでも?」
ギリギリの所でヨルドの背負い投げを踏ん張って阻止したジェラルド。何故か先王と現王の火花が散る親子の対決になってしまった。二人の周りに何故か風が吹き荒れている。睨み合うジェラルドとヨルド。

「って!何でだよ!」ルルが大声でツッコむ。
「あら?おちびちゃん達は?」
先程までジェラルドの周りを駆け回っていたおちび達がいない。ルル達が辺りを見回すと⋯

「あーーれーーー!」
「たちゅけてーーー!」
「へりゅぷみーー!」
三人はどこからか吹き荒れるこの風でコロコロと転がっていた。

エチカやランバード、そしてルルは急いで三人を救出(?)した。アンリはというと、睨み合うジェラルドとヨルドの間に入り息を思いっきり吸うと勢い良く叫ぶ。

「いや、面白くないからーー!?親子対決とかどうでも良いからーー!?風とか意味わからないんですけどーー!」
響き渡るアンリの大声ツッコミ。近くにいたメイドはアンリのあまりの不敬に持っていたカップを落とし、庭師は脚立からずり落ちた。

静まり返る庭。アンリはスッキリしたとばかりに席に戻り紅茶を啜る。目が点になりキョトンとしていたジェラルドとヨルドはお互いに目を合わせると何故か大笑いをし始めた。

「面白い娘じゃな!昔のエチカを思い出すわい!!」
「ああ、アンリはずっとあのままだな⋯⋯大丈夫か?」
急に将来のアンリを想像して不安に駆られるジェラルド。

そんな二人の元にキラキラした目でやって来たおちび達の髪の毛が、先程の風で逆立っているのを見てつい噴き出してしまうのだった。

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