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5章 旅立つ日はいつ?

そろそろ寝ましょうね?

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「こらー!風邪引くでしょ!」


お風呂上がって走り回るおちび達を、メイドとエチカ2人が追いかける。小さいがゆえに小回りが効いてちょこまかと動き回る。



そんな光景をまたまた唖然と見ていたカイデルが、徐に立ち上がると意を決しておちび達に向かっていく。


おちび達は思わぬ人物の登場に立ち止まる。その瞬間を逃がさないメイドとエチカは1人また1人と捕まえていく。


「お義父様、ナイスです!」


「…何も出来なかったが、良かったよ」


捕まえられたおちび達は、服を着るのに悪戦苦闘している。


「うーん…むじゅかちいでしゅ!」


「チロ~ここぼたんとめてよ~」


「かーしゃんたしゅけてー」


ボタンの掛け違いで中々着れないので、カイデルとランバートが手伝ってあげる。無事に着替え終わると、歯を磨きお布団に入ります。


「まだにぇむくにゃいー!」


「「ブー!」」


おちび達のブーイングを無視して、抱き抱えると布団に強制的にいれてしまう。最初は暴れていたが、疲れていたのか直ぐに寝息が聞こえてくる。


エチカ達は可愛い寝顔を堪能して部屋を出る。広間に戻ると、カイデルとビビアンに改めてチロの事情を説明する。


「そうか…辛い思いをしたんだな」


カイデルは涙を堪えたが、ビビアンは号泣する。エチカもランバートも自分の息子に起こった悲劇を思うと、今でも胸が張り裂けそうになる。


「その女は生きてるの?」ビビアンが厳しい顔で聞く


「辛うじてですがね…そう簡単には死なせませんよ」


ランバートが恐ろし程の冷酷な顔で言う。それにエチカも頷く。暫く4人で話していると、メイドが駆け込んできた。


「奥様、チロ坊っちゃんが泣いていて…泣き止みません」


「今日もなのね」エチカが辛そうに呟く


チロの夜泣きは良くなってきたものの、未だに続いている。昔の記憶がチロを苦しめているのだ。チロは夜になると真っ暗の中で放置されていたので暗闇が苦手だ。



エチカ達はおちび達がいる部屋に向かう、途中から子供の泣き声が聞こえてくるので、エチカは急いでドアを開ける。


「チロ!」


ベッドで、リクとエドワードが不安そうにチロを慰めている。


「かーしゃんーーうわーーん!」


チロはベッドから降りると、エチカに抱きつく。


「チロ、もう怖くないわよ!母さんと一緒に寝よう!リクちゃんもエドワードちゃんも良いかしら?」


「「うん!」」


チロはエチカに抱っこされながらうとうと眠り出す。その光景を痛々しく見つめていたカイデルとビビアン。


孫の心の傷は深いのだとこの出来事で、身に沁みて理解した。



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