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5章 旅立つ日はいつ?

おちび達の成長②

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「チロ坊っちゃん、執事のセバスチャンです」


白髪の上品なお爺さんが笑顔で三人を迎え入れる。


「あー!チロちってるー!おかちくれたひと!」


「「おかちー!」」目の色が変わるおちび達


セバスチャンは元気なチロとそれを微笑ましく見つめる夫妻を見て、感極まる。少し前のこの屋敷の中は暗くて、エチカ様はベッドから起き上がれない位弱っていた。


この天使が戻ってきた事で、屋敷の雰囲気は一気に変わった。皆に笑顔が戻り、エチカ様も回復されて昔以上に逞しくなられた。旦那様もとても幸せそうです。


「ふんふんふ~ん」


鼻歌交じりに行進するおちび達。


「さぁ広間で寛ぎましょう!」


セバスチャンが笑顔でドアを開ける。三人は行進しながら入っていく。


「「きゃーー!ひろいでしゅ!」」


リクとエドワードは駆け回る。チロはそんな二人を見て嬉しそうにエチカにしがみつく。


「よかったわね、チロ!」


「うん!」


セバスチャンとメイド達がお菓子や飲み物を運んでくると、おちび達は小躍りして喜ぶ。


エチカとランバートは愛おしそうにチロを見る。チロは出会った時から随分成長した。初めは怯えて、直ぐに泣き出してしまっていた我が子は次第にお友達が出来たり、王宮に冒険に行ったり、訓練(?)で鍛えられたりして身長も少し伸びて体重も増えた。


リクとエドワードという親友が出来たチロは逞しくなっている。性格的にも見た目もエチカに似ているチロは、最近ではエチカにベッタリだ。


「かーしゃん、どうじょ!」


エチカにクッキーを渡すチロは、口の周りがチョコレートで髭になっている。リクとエドワードも髭になっている。エチカは笑いながら三人の口を拭いてあげる。



「とーしゃんもどうじょ!」


「ありがとう、チロ」嬉しそうに受けとるランバート


たらふくお菓子を食べたおちび達は、そこで食後の運動を始める。スクワットを始めたおちび達は、直ぐに足がプルプルしてきて倒れた。


「しゅくわっとはあしにきましゅね~」


しみじみ言うチロに吹き出す夫妻。


「本当に可愛いわね~」


「そうだな、このまま家に居てくれれば……」


だが、夫妻にはトラウマがある。信頼していたメイドに我が子を奪われ、酷い目に遭わされたのだ。今は徹底的に調べあげた上で採用しているが、もしチロが戻ってきた時にまた同じ目に遭ったらと考えてしまう。


二人で考え込んでいたら、フラフラとチロが近付いてくる。


「どーちたの?」


「チロは今幸せ?」エチカがチロに聞く


「うん!とーしゃんとかーしゃんがいりゅもん!チロちあわせー!」


満面の笑みで答えるチロに、感情が込み上げてくる夫妻。二人はチロを抱きしめる。


「かんどーでしゅね!」


エドワードがそう言うと、その場に幸せの笑いが起こった。


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