孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

4章 ルルとその仲間達

兄妹の再会①

「着いたぞ、ここがルルのいる孤児院だ」


父上の声でカイルは馬車から少しだけ顔をだして覗く。普通の教会のような建物で特に変わった所はない。


驚いたのはリリアーナの格好だ。以前からは考えられない簡易なドレスを着ている。父上も母上も平民のような格好をしている。カイルも簡易な平民服を着ているが何故か落ち着く。


従者が馬車を開けるとそこには信じられない人がいた。


「おばあ様！」リリアーナが抱きつく


「あらあら、いらっしゃい。」


キルアおばあ様が院長をやっているみたいで、おばあ様の後ろに幼子が３人顔をこちらに出して見ている。


「あら、可愛い坊や達ねー！」お母様が手を振る


すると嬉しそうに手を振り返す３人。３人は走りこちらに来てリリアーナに抱きつく。


「リリー！あちょぼー！」


「「あしょぶー！」」


リリアーナは嬉しそうに３人と手を繋ぐと庭へ走っていく。それを唖然と見つめるカイル。


「驚いたか？」


「あれは本物のリリアーナですか？」


カイルの返事に爆笑する父上。母上はおばあ様と何やら話していて暫くすると１人の少女が連れて来られる。


「あぁ…ルル！」


母上が少女を泣きながら抱きしめる。あの子が僕の妹か、可愛いな。


「お母さん？…何で泣いてるの？この前会いに来たでしょう？」


感動の再会…ではないらしい。バツの悪そうな母上は少女の言った事を無視する事にしたらしい。


「え、内緒で来てたの？」


「ルル！大きくなって！」


「おい！」


「あぁ…私のルル！」


「あくまでも感動の再会にする気だね！」


母上のしつこさに少女が負けた。父上も知らなかったのか驚いている。


「ミランダ！いつから来てたんだ？」


「……最初は隠れて見てたのよ。でも不審者として捕まってバレて…バレたんならいいかなって思いまして！」


「開き直りが凄いな！」笑う父上


「似た者夫婦だね…」苦笑いの少女


「で、君は私の兄かな？」いきなりこちらに話しかけてきた


「あぁ…カイルだ、はじめまして」


「以外と普通じゃない。ジョンさん！全然変人じゃないじゃん！」


「ジョンさん？」


「私にはジョンって名乗ったのこの人」


この妹はズバズバ言うな…。父上にそんな口調で話すなんてあり得ない。


とりあえず移動して応接室のような所で話すことになった。


「すごい、王族勢揃いだよ！」興奮する妹


「お前もだぞ？」


王族一同苦笑いだ。だがカイルは自由な妹に釘付けだ。そんなカイルを見て悪巧みが成功したとほくそ笑むジェラルド。


「お前も妹と話したらどうだ？」


「え…僕と友達になって下さい！」


その言葉に皆が爆笑する。


「え、別にいいけど…兄だよね？」


やっぱり変人だと確信するルルだった。