上 下
25 / 102
2章 国王陛下とルル

閑話 リクの一日

しおりを挟む
まだ暗い朝方4時にリク3歳は起床する。そして朝のトイレを済ませて部屋に戻ると着替え始める。着替えが終わると読みかけだった絵本を読んでいる。


「相変わらすじジジイみたいな生活リズムだな…」


そんなリクを見て呟くケイシー。ケイシーはリクと同室で面倒を見ている10歳の男の子だ。


「ケイチーおはよ!」


「おう、おはよう。お前は準備万端だな」


ケイシーは二段ベッドから下りると顔を洗いに行き戻ると着替える。


「リク、もうすぐ飯の時間だから食堂行くぞ!」


「はーい!」


リクはケイシーと1階の食堂へ行く。椅子に座りじっと待っているリクと違い、ケイシーは友人の元に挨拶に行ってしまう。リクはある人物達の登場を待っていた。


「チロ兵士!頑張って下りるのであります!」


「あい!」


チロが苦手な階段を一歩また一歩と下りていく。そして最後まで下りると拍手喝采が起きる。リクも拍手する。


「あ、リクおはよう!」ルルが挨拶する


「りきゅおはよー!」チロも元気いっぱい挨拶する


「ルル、チロおはよー!」


「ここ座るよ!」


「いいよ!」喜ぶリク


リクはルルとチロを見ているのが好きだ。チロが鼻水を垂らしているとルルがそれを更に垂らして遊んでいる。チロも楽しそうだが先生に怒られている。



そこにジョンさんがやってくる。


「よう!ルルとおちび達!」


「おちびじゃにゃい!チロだもん!」


「ちびじゃにゃい!リクだもん!」


リクはこの食事の時が楽しくて仕方がない。ここに来た時は誰とも馴染めずずっと1人だったが、ルルとチロそして少し怖いアンリに声をかけられて少しずつ馴染んでいけた。


「ルルありがとー!」リクが言う


「どうしたのリク?」


「エヘヘ~!」


リクはそう言うとチロと一緒にご飯を取りに行った。後ろにはジョンさんも並んでいてお皿にいっぱい入れてチロに怒られてる。



朝ご飯が終わると皆は先生達と遊んでいるが、リクはずっと同じ絵本を読んでいる。この絵本はこの孤児院にきて馴染まないリクにルルがくれた大切な絵本だ。



絵本を読んでいると、チロの泣き声が聞こえてきた。最近チロはルルがいなくなると泣きながら探しているのだ。



「チロだいじょぶー?」


「すん…ねーねが…いない」


「ちぇんちぇいよんでくるね!」


リクは先生を呼びに行く。だがルルが戻ってくるまでチロは泣き止まなかった。お昼はケイシーもルル達もいないので1人で食べるお昼はいつも美味しくない。午後はお昼寝をして起きる頃にケイシーやルル達が勉強会から帰ってくる。


「ねーねー!」泣きながら飛びつくチロ


羨ましいと思うリクだが横にいるのはちょっと怖いアンリなので我慢する。するとアンリにデコピンされる。


「アンリいたいよー!」


「あんた今失礼な事考えたでしょ!」


おでこを擦りながら席に着きルル達とご飯を食べる。やっぱり皆で食べると美味しいな。名残惜しいが食事が終わるとお風呂だがその前に必ずトイレに行きたくなる。


「ケイシー!」


「おう、トイレだな!」


ケイシーに軽々抱えられトイレに行く。お風呂は周りが騒がしいのであまり好きじゃないリクは直ぐにあがるとケイシーを待たずに布団に入る。大事な絵本と一緒に…



そして4時に起きるリク。



「だからジジイかよ…」ケイシーは呆れるのだった。



しおりを挟む
感想 99

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...