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1章 国王陛下ですよね?

奥さん何者ですか?

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「改めましてランバートの妻でエチカと申します。貴女がルルちゃんね?」

「あ、はい。あの⋯もう立って下さい!」

エチカさんは何故かまだ平伏したまま自己紹介をしている。

「あらごめんなさい、オホホ!」

「いえ⋯ねぇチロ、この人に挨拶して?」

チロは元気良く頷くと、エチカさんの側まで行き恥ずかしそうに挨拶する。

「チロはチロっていいましゅ!しゃんしゃいです!」

「⋯そう⋯グスッ⋯チロくん、挨拶出来ておりこうさんね」

「どーちたの?どこかいたいのー?」

急に泣き出してしまったエチカさんをチロが慰める。チロはお得意(?)の変顔をしてエチカさんを笑わせる事に成功した。その光景を微笑ましく見ていたランバートに促されて豪華な広間に向かった。

私とチロが一緒に座り、テーブルを挟んでランバートとエチカさんが座った。チロは見たことの無い広くて豪華な部屋に興奮してキョロキョロしている。

「ランバート先生⋯チロに本当の事を話すんですよね?」

「そのつもりだが、どう話していいか迷っていてね」

「なら私が話していいですか?」

ランバート達が困惑しているのを他所に、ルルはチロに話を始めた。

「ねぇチロ、チロのお母さん覚えてる?」

「うん、チロにいたいことちた!きらい!」

チロがプンスカ怒る。
そんなチロを見て泣きそうになるエチカを抱きしめるランバート。彼も辛そうな顔をしている。

「実はね?チロに痛いことしたお母さんはチロの本当のお母さんじゃなかったの」

「チロのおかーしゃんじゃないの?」

「そう。チロの本当のお母さんはね、チロをずっと探していたの」

「⋯チロのほんとうのおかーしゃんは⋯やちゃちい?」

「うん。優しくてチロが大好きなんだって!」

その光景を見てまた泣き出してしまうエチカとランバート。

「チロは会いたい?」

チロは少しの沈黙の後に頷くとルルに抱きついた。

「チロ、今ね?目の前にいるのよ」

チロは少し驚いた顔でランバートやエチカを見た。公爵夫妻は必死に笑顔になろうとするが、涙が止まらない。

「チロのお母さんとお父さんだよ。また挨拶して?」

チロは恐る恐るだが夫妻に近付いていく。

「チロのおかーしゃんとおとーしゃんなの?」

「そうよ⋯お母さんよ!」

「父さんだ!」

夫妻はチロを思いっきり抱きしめた。チロはまだ困惑しているが嫌がってはいない。その光景を嬉しい反面、寂しい気持ちで見ているルル。
暫くして落ち着くと気まずい沈黙が続く。チロはエチカが抱っこしている。

「あの⋯チロは何か好きな遊びはあるの?」

エチカが笑顔でチロに聞いた。

「チロはねー?兵士ごっこが好きー!」

「チロは兵士が好きなの?」

それを聞いて何故か目が輝き出すエチカ。

「うん!」

エチカはいきなり立ち上がると、大事なチロをランバートに託してそそくさと部屋を出ていった。

「どうしたんですか?エチカさん」

「今から見る事になると思うが、驚かないでくれるかい?」

ランバートは何故か苦笑いしている。
するとドアが勢い良く開き、現れたのは軍服姿のエチカだった。しかも普通の軍服ではなく多分最も位が高い紅い軍服。

「レッドデビルだ⋯」

【赤い悪魔】と戦場で恐れられている軍の総司令官。勉強会で習った人物が目の前にいるので驚くルル。しかも女性(エチカ)だった事にも更に驚いた。

「ルルちゃん、よく知ってるわね!私は軍総司令官のエチカ・オールドウィンよ!」

装飾された綺麗な剣を天に掲げ自分に酔うエチカに開いた口が塞がらないルルと、そんな妻を見て苦笑いするランバート。
急に人格が変わったエチカをチロはキラキラした目で見ている。ルルは何となくだがランバートを見た。

「それでも私は妻を愛している」

「何も言ってませんが?」

またまた強烈なキャラの登場にルルは笑うしかなかった。







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