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1章 国王陛下ですよね?

チロの1日

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今日は勉強会に新しい先生が着任する日だ。皆は朝からその話で持ちきりだった。

「ルル~またあのブタみたいな奴が来たらどうする?」

「いや、さすがにそれはないよ(絶対)」

「でもさぁ~ジョンさんって一体何者だろう?あのブタってあれでも貴族だったんでしょ?あれから何もないよねー」

そりゃそうだろ⋯ジョンさんに逆らえる者はこの国にはいないだろう。

「ねーね!チロもお勉強するのー!」

口の周りがトマトソースの赤ひげになっているチロを見て、ルルが笑いながら拭いてあげる。チロは今日から勉強会に参加できる事が嬉しくて仕方がないらしい。最近は毎日のようにルルが勉強会でいなくなると大泣きしてしまい、先生達を困らせていた。そんな話を聞いたジョンさんが院長を説得してくれて今に至るのだ。

「チロ大人しくできる?」

「チロいいこにちてるよー!」

嬉しそうなチロの口の周りにまたトマトソースのひげができている。

「わざとか?わざとなのか!」

「あんた達って本当の姉弟みたいね」

そんなチロとルルを見て苦笑いするアンリ。

「ねーねはチロのねーねだよ?」

可愛く首を捻りながらそう言うチロを見たルルは嬉しそうに笑った。


3人は朝食を食べ終えると、ルルとアンリは勉強道具を持ち、チロはお絵描きセットを持って教室に向かう。

「チロ兵士!静かにしているのであります!」

「あい!」

教室に到着すると、チロはルルの机と自分の机をくっつけて隣でルンルンしながらお絵描きを始めていた。そんなチロを揶揄いながら準備をしていると、教室に男の人が入って来た。見た感じは20代後半位の金髪碧眼の美青年で女の子達がキャーキャー騒いでいる。そんな騒ぎの中、ルルは男性の髪の毛に注目した。そう、金髪なのだ。王族は勿論の事、この国の上位貴族には金髪が多い。

この孤児院ではルルとチロが金髪だった。なので周りは私達を貴族の隠し子じゃないかと噂している。この金髪のせいで街に繰り出した時に、何回か誘拐されかけた事があったがその度に大勢の兵士が現れ何事も無く終わるのだった。

「はじめまして、私は計算担当のランバートだ。よろしく」

ランバートは愛想が良くて穏やかなので、いつも毒舌のアンリですら頬を染めている。授業もとても分かりやすく、質問にも快く答えてくれて1日で大人気の先生になった。だがルルはランバート先生に少し違和感を覚えた。何故か気が付くとチラチラとチロを見ているのだ。

ランバートは泣きそうな顔でチロを見ていた。何故そんな顔でチロを見るのだろう?
チロはそんな視線に気付く事なく楽しそうに絵を描いている。そして鼻水が垂れ流しである。

「⋯チロ、鼻ちーんするよ」

「あい!」

ルルは気になったのであとでジョンさんに事情を聞くことにした。多分チロに関係ある人だろう。それが不安になりチロを見ると、また鼻水垂れ流しである。

「わざとか?わざとなのか!」


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