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プロローグ
1.5章:とある少年
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とある自然豊かな田舎町にてーー
夢に、王様が出て来た。始めはただの夢だと思っていたが、どうも違う。何度も何度も、心に刻むかのように王様が語りかけてくるのだ。
「勇敢な戦士アルバートよ……勇者となり、魔王を倒すのだ……」
それは少年にとって冒険者ーー否、憧れている勇者になるべき人物になった証であり、自分は選ばれた特別な存在なのだ。そして勇者にはヒロインが必要である。絶対、というわけでもないが、オレが勇者に選ばれるとすれば絶対に連れて行きたいヒロインをもう決めていた。
「アリスーーッ! 今日こそ! オレと旅に出てくれ!」
王からのお告げを本物だと確信してからは、オレのヒロインであるアリスーー綺麗な茶色の髪と空を切り取った様な瞳を持つ美しい片耳のエルフであり、オレの幼馴染でもあるーーの元により一層通うようになった。だって、オレ一人でも旅には出られるけど、突然オレが居なくなったらアリスが悲しむからな!
「はい長老さん、いつものお薬です。ちゃんと飲んで下さいね? ……アル、何度も言ってるけど、私は争い事が嫌いだし、回復しか出来ない役立たずなの。だから諦めてって言ってるでしょう? 私、この村が好きだから離れるなんて考えたくもないわ」
はあ、と大きいため息を吐くアリス。この村は空気が澄んでいてエルフの里と気候が似ているらしい。オレを含めた村の奴らもエルフであるアリスに友好的だから離れたくない……というのがアリスの意見だけど……。
「アリス! そんな考えじゃダメだぞ! オレも強くなったし、アリスが居るだけで百人力だ! だからーー」
「痛ッ! ……腕、離して。しばらく来ないで」
つい熱くなって衝動的にアリスの腕を掴んだ。力加減が効かなかったのか、アリスは痛そうに身を縮めた。その瞳には恐怖も見える。そういえば……アリスは人間に片耳を取られたトラウマのせいで突然触られるの苦手なんだっけ。けど、苦手もトラウマも克服しないとだよな!
よし、世界の前にまず、オレがアリスを救おう!
夢に、王様が出て来た。始めはただの夢だと思っていたが、どうも違う。何度も何度も、心に刻むかのように王様が語りかけてくるのだ。
「勇敢な戦士アルバートよ……勇者となり、魔王を倒すのだ……」
それは少年にとって冒険者ーー否、憧れている勇者になるべき人物になった証であり、自分は選ばれた特別な存在なのだ。そして勇者にはヒロインが必要である。絶対、というわけでもないが、オレが勇者に選ばれるとすれば絶対に連れて行きたいヒロインをもう決めていた。
「アリスーーッ! 今日こそ! オレと旅に出てくれ!」
王からのお告げを本物だと確信してからは、オレのヒロインであるアリスーー綺麗な茶色の髪と空を切り取った様な瞳を持つ美しい片耳のエルフであり、オレの幼馴染でもあるーーの元により一層通うようになった。だって、オレ一人でも旅には出られるけど、突然オレが居なくなったらアリスが悲しむからな!
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「痛ッ! ……腕、離して。しばらく来ないで」
つい熱くなって衝動的にアリスの腕を掴んだ。力加減が効かなかったのか、アリスは痛そうに身を縮めた。その瞳には恐怖も見える。そういえば……アリスは人間に片耳を取られたトラウマのせいで突然触られるの苦手なんだっけ。けど、苦手もトラウマも克服しないとだよな!
よし、世界の前にまず、オレがアリスを救おう!
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