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1話目
5.独房
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私は一人、薄汚くて埃まみれの部屋に入れられた。
ガチャんと鍵を閉められて、私が一体何をしたというのだろうと、悲しくなった。
私をここまで連れてきた警備員は、心底気持ち悪そうに私を怖がっていて、走り去るように消えて行った。
まだお昼ではあったけど、あまりの衝撃と絶望で疲れていたので、ベッドに入るとあっという間に眠気が来た。
「ソーフィア!」
そして、私を早々に眠りから呼び戻したのは、私が今一番聞きたくない声だった。
「どうやって中に入ったの? 」
「警備員さんから鍵を貸してもらったんだよ」
私をこんな目に追い込んだこの子は、警備員すらを魅了するのか。
「いくら化物みたいになったからってソフィアが一人ではかわいそうだから会いにいくんだーって私言ったの。
そしたらみんな私のことすごく優しい子だねって言ってた。
もちろんダンもだよ」
ミアは妬ましいほど、天使のような顔で笑う。
私もこんな風に愛らしく振る舞うことができたら、みんなから愛してもらうことができていたのだろうか。
「ミア、どうしてこんなことをしたの? 」
ミアはわざとらしく、首を傾げる。
「なんのことかわからないよ、ソフィア。
私ね、明日はダンと一緒にケーキを食べにいくの。
怖い目にあったから、気分転換をしようって」
ミアは口角を上げて、私に近づいてくる。
「でもそれってデートだから、ソフィアに悪いよって言ったんだけどね、どうしても私と一緒に居たいんだって」
彼はもう私のことはどうでもいいのだろうか。
いつからミアと繋がっていて、いつから気が移りはじめていたのろうか。
思うことは多かったけど、私は怒る力も泣く力もなくして、ただ無表情でミアを眺めていた。
ミアは少しむっとしたようにした後、自分の耳の髪の毛をかき上げる。
「ねえ、見て」
その耳に飾られたピアスを見て、私は目を見開いた。
「ミア、返して!!! 私の部屋から盗んだんでしょう」
ダンからもらったピアスだった。
初めてのデートで買ってもらった宝物だったのに。
「嫌だよー! ダンに聞いたら私が持ってて良いって言うんだもん。
それに、もうすぐそれもきっと私のものになるよ」
ミアが指差す先には、婚約指輪があった。
これをもらった時、どんなに嬉しかっただろうか。
家族に早々に売られ生きてきたけどダンと婚約したことで、これから家族ができてようやく一人じゃなくなると思った。
「それより、ソフィア。
私ここに来たのはおしゃべりなんてするためじゃないの」
ミアは私のベッドに腰をかけて手を伸ばす。
まだ私から何かを奪うつもりだろうか。
そう思っていると案の定、
「魔力貸してくれない? 」
ミアは堂々と要求をしてきた。
「ミア、あなた正気?
こんなひどいことをされて、私が魔力を貸すと思ってる?」
私はもう話たくもなくて、早くミアを追い出したかった。
でもミアは立ち上がる様子がない。
「思ってるよ」
ミアは私の髪を撫でる。
「だって、ソフィアが貸してくれなきゃ、ソフィアのせいで国の人みんな死んじゃうよ? 」
当たり前でしょう、と言うような表情でミアはため息をつく。
「ソフィアはひどい人なんだね」
自分のことを棚に上げて、天使の笑顔を被ったとんでもない悪魔がいると思った。
私は目の前が真っ暗になった。
「それから、ソフィアの身の回りのことは私が手伝いすることになったの。
ご飯も洋服も外出も、私が上手に言って止めようと思えば私が止めることができるんだよ。
職長にかわいそうだから私がお世話をしますって言ったら、感動して何も疑わなかったんだ。
だからソフィア、ご飯食べれなくなっちゃったら化物みたいな顔のまま餓死しちゃうよ」
無邪気にミアは笑う。
ガチャんと鍵を閉められて、私が一体何をしたというのだろうと、悲しくなった。
私をここまで連れてきた警備員は、心底気持ち悪そうに私を怖がっていて、走り去るように消えて行った。
まだお昼ではあったけど、あまりの衝撃と絶望で疲れていたので、ベッドに入るとあっという間に眠気が来た。
「ソーフィア!」
そして、私を早々に眠りから呼び戻したのは、私が今一番聞きたくない声だった。
「どうやって中に入ったの? 」
「警備員さんから鍵を貸してもらったんだよ」
私をこんな目に追い込んだこの子は、警備員すらを魅了するのか。
「いくら化物みたいになったからってソフィアが一人ではかわいそうだから会いにいくんだーって私言ったの。
そしたらみんな私のことすごく優しい子だねって言ってた。
もちろんダンもだよ」
ミアは妬ましいほど、天使のような顔で笑う。
私もこんな風に愛らしく振る舞うことができたら、みんなから愛してもらうことができていたのだろうか。
「ミア、どうしてこんなことをしたの? 」
ミアはわざとらしく、首を傾げる。
「なんのことかわからないよ、ソフィア。
私ね、明日はダンと一緒にケーキを食べにいくの。
怖い目にあったから、気分転換をしようって」
ミアは口角を上げて、私に近づいてくる。
「でもそれってデートだから、ソフィアに悪いよって言ったんだけどね、どうしても私と一緒に居たいんだって」
彼はもう私のことはどうでもいいのだろうか。
いつからミアと繋がっていて、いつから気が移りはじめていたのろうか。
思うことは多かったけど、私は怒る力も泣く力もなくして、ただ無表情でミアを眺めていた。
ミアは少しむっとしたようにした後、自分の耳の髪の毛をかき上げる。
「ねえ、見て」
その耳に飾られたピアスを見て、私は目を見開いた。
「ミア、返して!!! 私の部屋から盗んだんでしょう」
ダンからもらったピアスだった。
初めてのデートで買ってもらった宝物だったのに。
「嫌だよー! ダンに聞いたら私が持ってて良いって言うんだもん。
それに、もうすぐそれもきっと私のものになるよ」
ミアが指差す先には、婚約指輪があった。
これをもらった時、どんなに嬉しかっただろうか。
家族に早々に売られ生きてきたけどダンと婚約したことで、これから家族ができてようやく一人じゃなくなると思った。
「それより、ソフィア。
私ここに来たのはおしゃべりなんてするためじゃないの」
ミアは私のベッドに腰をかけて手を伸ばす。
まだ私から何かを奪うつもりだろうか。
そう思っていると案の定、
「魔力貸してくれない? 」
ミアは堂々と要求をしてきた。
「ミア、あなた正気?
こんなひどいことをされて、私が魔力を貸すと思ってる?」
私はもう話たくもなくて、早くミアを追い出したかった。
でもミアは立ち上がる様子がない。
「思ってるよ」
ミアは私の髪を撫でる。
「だって、ソフィアが貸してくれなきゃ、ソフィアのせいで国の人みんな死んじゃうよ? 」
当たり前でしょう、と言うような表情でミアはため息をつく。
「ソフィアはひどい人なんだね」
自分のことを棚に上げて、天使の笑顔を被ったとんでもない悪魔がいると思った。
私は目の前が真っ暗になった。
「それから、ソフィアの身の回りのことは私が手伝いすることになったの。
ご飯も洋服も外出も、私が上手に言って止めようと思えば私が止めることができるんだよ。
職長にかわいそうだから私がお世話をしますって言ったら、感動して何も疑わなかったんだ。
だからソフィア、ご飯食べれなくなっちゃったら化物みたいな顔のまま餓死しちゃうよ」
無邪気にミアは笑う。
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