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1章 始まり
1.リゾートバイトをしに来たんですが…
しおりを挟む赤道の上、北太平洋に二つ浮かんでいる島がある。
ひとつの島は四角くて大きな島だが、
もうひとつはその島の半分ほどの大きさで歪んだヴァイオリンのような形をした島だった。
その島の東には都会のような町並み、西には商店街のような町があるが、島の真ん中は森で覆われており、
かつて様々な人種がこの島で生活していた跡が残っている
その島はヴァイオリンをギリシャ語で読み、「キノランド」と呼ばれていた
2022年7月1日 島の南にて…
「うーん…」
今日から初めてのアルバイト生活が始まる!というのに、日向は不安げな表情で階段を降りていた。
昨日、日本を出発し、アメリカに着いたあと、ヘリコプターに乗ってこの島まで来たというのに、
なんの歓迎もなく、特にこれといった情報もないまま、目の前にある階段を降りるはめになっていた。
「一体アルバイトというのはどこにあるんだ?」
日向のひとつ上の先輩、紫郎が日向の後ろを歩きながらも、眉間にシワを寄せて不機嫌そうに呟いた。
アルバイト先の住所も、どんな所なのかも知らないまま、突然屋上に降ろされたのだから不機嫌になるのも無理はない。
スマホを見ても、電波が繋がっていないようで、外部との連絡がとれない。
第一村人を発見しない限り、この状況を打破することはできない…
「この建物ってなんなんですかね?」
紫郎の気を紛らわすために、現在降りている階段が、ついている建物について、日向は話し始めた。
「そうだな…ヘリポートもある大きな建物ではあるが…」
と紫郎は階段のすぐ横にある扉のノブを回してみるが…
「中には入れさせてもらえないようだな…」
一つ上の階でも同じように扉が開くかどうか試していた紫郎は、
相変わらず中に入れるつもりのないカギのかかったドアをふてくされた顔で睨んだ。
「あっちの街もなんか人気がないですし…実は無人島……」
そこまでいいかけて、日向は自分で想像するのが怖くなり口を閉じた。
この島についてから10分ほどたつが、まだ1人も人と見ていない。
建物の反対側にある住宅街すらも人気がなく、気持ち悪いほどに静かなのである。
「失礼だが誰も住んでいないように見えるな…」
紫郎もその異様さに気づいたのか、人気のない住宅街を見てそう呟いた。
二人が辺りをみまわしていると
突然!!
「「パァンパァンッ」」
静かだった辺りに突然、爆発するような音が響き渡った。
「ひゃッ!!!???」
「!!」
日向は音に驚き、三ミリほどジャンプした。
紫郎は咄嗟に身をかがめ、
「日向!銃声だ!」
と日向の腕をつかんだ。
映画をよく見る紫郎にはこの音が何なのかすぐにわかった。
だが日向は銃声の先が気になっていた。
銃声の先には、なんと怪我をしている男が座り込んでいたのだ!
「先輩!あそこに人が!!」
日向は手前の家の壁にもたれかかる男を指差しながらそう言った。
「なに!? まさか助けに行くのか!?」
紫郎に止められ、日向は少し躊躇った。ここでじっとしていれば安全にいられるかもしれない。
だが、先ほどの音が本当に銃声なら、きっと彼が一番に見つかってしまうだろう。このままここで彼が無様に撃たれて死ぬのを見届けていてもいいのだろうか…
…
いや、よくない!
日向は彼を助ける決心をし、紫郎に対して持ってきた学生鞄を顔の前に持ってみせた
「これで行ってきます!先輩はここで待っていてください!」
「だ...大丈夫か…?」
学生鞄だけで防ごうとする日向にツッコミを入れたくなったが、既に日向は走って行ってしまっていた…
☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
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