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第11話: どこにも行かせない!(魔王視点)
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陽太を探し続け、ようやく彼の姿を見つけた時、胸の奥で苛立ちが爆発した。
荒野の真ん中で、陽太が親しそうに他の人間と手を繋いでいる。
陽太以外この異界にいるはずのない人間。
だが、その存在に驚くよりも、陽太が他者と距離を縮めていることへの不快感が先に立っていた。
視線の先で陽太と会話をしていた魔族たちも、俺の気配に気づき振り返る。
俺は彼らを冷たい視線で睨みつけ、無言の圧力を放った。
その瞬間、魔族たちは怯えたように後ずさり、陽太に近づくことをやめた。
「陽太、余計な世話を焼く連中に手を出されては困るな」
俺の声に驚き、陽太と人間の男が同時にこちらを振り向いた。
陽太の顔には安堵と驚きが混ざり合っているが、隣の男の表情は険しく変わっている。
陽太が一歩俺に駆け寄ろうとするが、その手前でその男が陽太の肩に手を置いた。
その瞬間、胸の奥で抑えがたい苛立ちが再び燃え上がった。
「離れろ。他にいるはずのない人間が、何をしている?」
男は俺の言葉に一瞬驚愕したようだが、すぐに険しい表情で睨み返してくる。
「俺は陽太を助けるために来たんだ。君には関係ないだろう」
その言葉を聞いた瞬間、理性がふっと薄れた。
「関係ないだと?陽太は俺が守るべき存在だ。お前に手を出させるつもりはない」
言葉を重ねるごとに、俺の中で陽太に対する強い執着が湧き上がるのがわかる。
彼をただの「異界からの存在」として見ることができなくなっている自分に気づいた。
「ダルクさん…」
陽太が俺の名前を小さく呼んだ。
その声が耳に届いた瞬間、頭の中が一瞬冷静さを取り戻し、すぐに彼を連れ戻すことだけに頭を切り替える。
「陽太、ここに留まる必要はない。城に戻るぞ」
俺は陽太の手を引き、強引にでも自分の元へ引き寄せた。
直樹はそれに抗議しようとしたが、俺は冷たく睨み返し、反論を封じた。
城に戻ると、すぐに陽太の部屋に結界を張り巡らせ、どんな脅威も彼に近づけないようにした。
異次元アイテムボックスも回収し、今後は誰の手にも渡らないよう厳重に管理することを決める。
陽太はそんな俺の様子に呆然とした顔をしていたが、何も言わずに見守っている。だが、彼の視線が気になる。
まるで俺の行動の意図を探ろうとするようなその眼差しに、俺は言いようのない不安を感じた。
このままでは…本当に彼は俺の元から去ってしまうのではないか…?
陽太の気持ちが、さっき会ったあの男に向かってしまうかもしれないという考えが胸に痛みをもたらした。
今まで考えもしなかった恐怖が、内側からじわじわと迫ってくる。
思わず、口から言葉がこぼれた。
「陽太、お前は…俺にとって…特別な存在だ」
その言葉に、陽太が驚いたように目を見開く。
俺は、自分が今まで決して口にしてこなかった本心を、彼に伝えるべきだと感じていた。
「お前がいないと…俺は…」
言葉が詰まり、息が苦しくなる。
俺のような存在が、人間である彼にこのような感情を抱くことが許されるのかと考えるが、今はその思いを止めることなどできなかった。
「俺は…お前を誰にも渡したくない。誰よりも…俺が、お前を守りたい」
陽太は俺の言葉に動揺しながらも、じっとこちらを見つめている。
荒野の真ん中で、陽太が親しそうに他の人間と手を繋いでいる。
陽太以外この異界にいるはずのない人間。
だが、その存在に驚くよりも、陽太が他者と距離を縮めていることへの不快感が先に立っていた。
視線の先で陽太と会話をしていた魔族たちも、俺の気配に気づき振り返る。
俺は彼らを冷たい視線で睨みつけ、無言の圧力を放った。
その瞬間、魔族たちは怯えたように後ずさり、陽太に近づくことをやめた。
「陽太、余計な世話を焼く連中に手を出されては困るな」
俺の声に驚き、陽太と人間の男が同時にこちらを振り向いた。
陽太の顔には安堵と驚きが混ざり合っているが、隣の男の表情は険しく変わっている。
陽太が一歩俺に駆け寄ろうとするが、その手前でその男が陽太の肩に手を置いた。
その瞬間、胸の奥で抑えがたい苛立ちが再び燃え上がった。
「離れろ。他にいるはずのない人間が、何をしている?」
男は俺の言葉に一瞬驚愕したようだが、すぐに険しい表情で睨み返してくる。
「俺は陽太を助けるために来たんだ。君には関係ないだろう」
その言葉を聞いた瞬間、理性がふっと薄れた。
「関係ないだと?陽太は俺が守るべき存在だ。お前に手を出させるつもりはない」
言葉を重ねるごとに、俺の中で陽太に対する強い執着が湧き上がるのがわかる。
彼をただの「異界からの存在」として見ることができなくなっている自分に気づいた。
「ダルクさん…」
陽太が俺の名前を小さく呼んだ。
その声が耳に届いた瞬間、頭の中が一瞬冷静さを取り戻し、すぐに彼を連れ戻すことだけに頭を切り替える。
「陽太、ここに留まる必要はない。城に戻るぞ」
俺は陽太の手を引き、強引にでも自分の元へ引き寄せた。
直樹はそれに抗議しようとしたが、俺は冷たく睨み返し、反論を封じた。
城に戻ると、すぐに陽太の部屋に結界を張り巡らせ、どんな脅威も彼に近づけないようにした。
異次元アイテムボックスも回収し、今後は誰の手にも渡らないよう厳重に管理することを決める。
陽太はそんな俺の様子に呆然とした顔をしていたが、何も言わずに見守っている。だが、彼の視線が気になる。
まるで俺の行動の意図を探ろうとするようなその眼差しに、俺は言いようのない不安を感じた。
このままでは…本当に彼は俺の元から去ってしまうのではないか…?
陽太の気持ちが、さっき会ったあの男に向かってしまうかもしれないという考えが胸に痛みをもたらした。
今まで考えもしなかった恐怖が、内側からじわじわと迫ってくる。
思わず、口から言葉がこぼれた。
「陽太、お前は…俺にとって…特別な存在だ」
その言葉に、陽太が驚いたように目を見開く。
俺は、自分が今まで決して口にしてこなかった本心を、彼に伝えるべきだと感じていた。
「お前がいないと…俺は…」
言葉が詰まり、息が苦しくなる。
俺のような存在が、人間である彼にこのような感情を抱くことが許されるのかと考えるが、今はその思いを止めることなどできなかった。
「俺は…お前を誰にも渡したくない。誰よりも…俺が、お前を守りたい」
陽太は俺の言葉に動揺しながらも、じっとこちらを見つめている。
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