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街の祭りでお揃いのアクセサリーを作る
しおりを挟む「お祭りってさ、なんでこんなにワクワクするんだろうね」
僕は街の広場に足を踏み入れながら、思わず口に出していた。
色とりどりの旗や提灯が風に揺れ、屋台の甘い匂いやスパイシーな香りが辺りを漂っている。
まるで全てが特別な時間を演出しているみたいだ。
カイは僕の隣でふっと笑う。
「お前が楽しそうだからじゃないか?」
「うっ、それ言われるとなんか照れる……」
僕は顔を逸らしながら、目の前に広がる祭りの賑やかさに意識を集中させた。
通りを歩いていると、ひときわ目を引く屋台があった。
木製の棚にはキラキラと輝くアクセサリーがずらりと並び、屋台のおばあさんが優しい笑顔で呼び込みをしている。
「おや、仲のいいお二人さん。お揃いのアクセサリーなんてどうだい?」
「お揃い?」
僕はその言葉に驚いてカイをちらっと見たけど、カイは全然気にした様子もなく、普通にアクセサリーを手に取って眺めている。
「悪くないな。お揃いってのも」
え、これ普通に流していいやつ?僕、顔熱くなってるんだけど。
「ライナ、どれがいいと思う?」
そう言ってカイが見せてきたのは、星形の小さなペンダントだった。
青い宝石が中央に埋め込まれていて、どこか幻想的な輝きを放っている。
「綺麗……でも、これお揃いにするの?」
「何か問題あるか?」
「問題っていうか、ちょっと恥ずかしいっていうか……」
僕がモジモジしていると、おばあさんが笑いながら口を挟んできた。
「大事な人とお揃いを持つと、もっと絆が深まるって言われてるんだよ。この星のペンダントなら、二人の心をいつも繋いでくれるだろうね」
「絆……」
その言葉に、少しだけ心が動いた気がした。
「せっかくだから、自分たちで作ってみたらどうだい?」
おばあさんがテーブルの裏から材料をいろいろと取り出してきた。金属のリングや、小さな宝石、チェーン、刻印用の工具たち。
「作れるの?」
僕が目を丸くすると、カイが自信満々にうなずいた。
「俺がいるから心配するな」
「それ心配になるフラグじゃない?」
「言うな」
こうして、僕たちはペンダント作りに挑戦することになった。
カイは意外と器用に金属を曲げたり、宝石をはめ込んだりしていて、あっという間に綺麗な形に仕上げていた。
僕のほうはというと……チェーンを絡ませたり、宝石を落としたりで四苦八苦。
「ライナ、手元に集中しろよ」
「してるよ!これが僕の限界なんだって!」
僕の必死さにカイはクスっと笑いながら手を貸してくれた。
その大きな手が僕の手を包み込むように動いて、まるでリズムを取るように作業を進めていく。
「ほら、こうすると綺麗に仕上がる」
「……なんか、すごく安心する」
「だろ?」
出来上がったお揃いのペンダントは、僕たちの手の中でキラキラと光を反射していた。
「なかなかいい感じじゃないか」
カイが満足そうに自分のペンダントを眺める。
「うん。これ、自分で作ったんだって思うと愛着湧くね」
僕も胸にそのペンダントをかけてみた。
ほんのりとひんやりした感触が心地よい。
「じゃあ、これからこれをつけて冒険だな」
「え?」
カイの唐突な言葉に、僕は驚いて顔を上げた。
「このペンダントをつけていれば、どこにいてもお前を感じられる気がする。それって、冒険にはもってこいだろ」
「カイ……それ、ちょっと恥ずかしいよ」
「そうか?」
カイは全然気にする様子もなく、僕の頭を軽く撫でた。
でも、その不器用だけど真っ直ぐな言葉に、胸が温かくなるのを感じた。
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