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ロングヘア
しおりを挟む「え、、?」
今日は特別な日だった。
ここ二ヶ月、この日のために完璧に揃えてきた装備だった。
この鎧を纏っていれば無敵だと、思っていた。数分前までは。
別に可愛いと思われたい訳ではなかった。
あわよくば、の気持ちが、どうしてもどうしても、拭えなかった。
おめでとう
としか言えない自分は弱いだろうか。
前日に美容院で髪を整え、以前彼が似合うと言ってくれたシャツを着て。
今日は強いはずだったのだ。
無敵のはずだったのだ。
「今度、彼女に君のことを紹介したいんだ。俺の、1番の大親友だって。」
そう笑う彼は、やっぱり笑顔が素敵で。
「そしたら、会う頻度が減ってしまうね。寂しくなるなあ」
そう答えるのが精一杯だった。
トンビに油揚げを攫われた気分だ。
もともと油揚げは自分のものではないのに。
一瞬でHPがゼロになった。
もう回復はできない。戦えないと、そう思った。
というか、そもそも戦う気なんて自分にあったのだろうか。
地球がひっくり返っても、君がこちらに振り向いてくれることはないと、分かっていたのに。
君は黒髪のロングが好きだと言っていたね。
僕は、そうじゃないから。
だから君は振り向いてくれないのだろうか。
僕が、女の子だったら。
隣にいたのは君だったのだろうか。
自分が異性であったら報われる、なんて根拠のない事だって分かってはいるが、どうしてもそう思わざるおえなかった。
ここで告白したら、何か変わるだろうか。
言ってしまおう、もうどうなってもいい。
彼の隣はもう僕じゃないのだ。
今更軽蔑されようが、今後疎遠になろうが。
君が幸せそうに彼女と過ごしているのを見なくて済むのだから。
「本当におめでとう。幸せになってね。」
どんなに装備を整えても
黒髪ロングには勝てないのだ。
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