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1.イントロダクション的なもの
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浮遊感にはっとなって覚醒した。
次に――俺、昨日買ったアニメ「エクスカリナー」のグッズの剣、抱いたまま寝てしまった気がするけど、あれって結構鋭く尖っていたよな、このままベッドから床に落ちたら、下手すると刺さるんじゃないか――と、ここまで考えたときには、もう落下済み。
予想以上の痛撃に、飛び上がった。腹に刺さった? 死ぬかも?
で、痛みに顔をしかめていたが、徐々に目を開けると何だか様子がおかしい。両目をぱっちり開いてぐるりを見渡すと、そこは中古アパートの狭い部屋ではなく、屋外だった。
一面、ピンクのお花畑。俺がいるのはそのあぜ道……と表現していいのかな? 要するに花畑の間を碁盤目状に走る通路の一角だ。下はしっとり湿った土である。俺は腰を上げ、土を払った。
見上げると天気は晴れだが、青空には白い雲がいくつか浮いている。花の香りはぱっと見ほど漂っては来ない。
いや、そんなことよりも、ここはどこで、どうしてこうなったんだろう。自分の他に人はいないかと探すが、目の届く範囲には見当たらない。
ふと気付くと、手には「エクスカリナー」に出て来る剣・エクスカリナー――の模造刀を持っていた。刃渡り三十センチほどのおもちゃで、鞘はどこかに行ってしまったようだ。これが腹に刺さった気がして、痛みも感じていたのだけれども……刃には血も何も付いていない。痛みを覚えた脇腹の辺りをパジャマの上からまさぐったが、何ともなかった。
これはもしや……いやいや、ないな。そんなことが起きるはずがない。
夢だ。夢が続いているに違いない。
右手に持った剣で左の手のひらをちくちくつついてみる。痛い。
だけど、夢の中で痛みを感じることもあると聞くから、当てにならない。
一方、これまで見てきた夢で、今ほど現実味を感じたことはなかったと断言できる。何かがおかしい。異常な事態が起きていると認識すべきだな。
とりあえず……履き物が欲しい。寝ていたときの格好のまんまだ。だからパジャマ姿に裸足。エクスカリナーの剣があるのは、持って寝ていたからだろうか。もしそんな法則があると分かっていたら、スマホを掴んで寝たものを。いやいや、スマホを持ち込めたとしても、この世界で使えるかどうか怪しいもんだけどさ。
……あれ? 何か、俺の思考ってもうすでにここを異世界だと認識してきているような。夢の中なのか、異世界に飛ばされたのか、判断を下すために見て回ろうと思っていたところなのに。
そういえば、目がよく見えている! 眼鏡ユーザーの俺だが、睡眠時は当然、眼鏡を外している。だから今は掛けていない。にもかかわらず、視力が戻っているようだ。
前に測った裸眼視力、覚えちゃいないが0.1未満だったのは確かだ。それが何故か、くっきりぱっちり見えている。この感じだと、1.5は確実にあるだろう。
これこそ異世界に来た、あるいは転生した証拠?
つづく
次に――俺、昨日買ったアニメ「エクスカリナー」のグッズの剣、抱いたまま寝てしまった気がするけど、あれって結構鋭く尖っていたよな、このままベッドから床に落ちたら、下手すると刺さるんじゃないか――と、ここまで考えたときには、もう落下済み。
予想以上の痛撃に、飛び上がった。腹に刺さった? 死ぬかも?
で、痛みに顔をしかめていたが、徐々に目を開けると何だか様子がおかしい。両目をぱっちり開いてぐるりを見渡すと、そこは中古アパートの狭い部屋ではなく、屋外だった。
一面、ピンクのお花畑。俺がいるのはそのあぜ道……と表現していいのかな? 要するに花畑の間を碁盤目状に走る通路の一角だ。下はしっとり湿った土である。俺は腰を上げ、土を払った。
見上げると天気は晴れだが、青空には白い雲がいくつか浮いている。花の香りはぱっと見ほど漂っては来ない。
いや、そんなことよりも、ここはどこで、どうしてこうなったんだろう。自分の他に人はいないかと探すが、目の届く範囲には見当たらない。
ふと気付くと、手には「エクスカリナー」に出て来る剣・エクスカリナー――の模造刀を持っていた。刃渡り三十センチほどのおもちゃで、鞘はどこかに行ってしまったようだ。これが腹に刺さった気がして、痛みも感じていたのだけれども……刃には血も何も付いていない。痛みを覚えた脇腹の辺りをパジャマの上からまさぐったが、何ともなかった。
これはもしや……いやいや、ないな。そんなことが起きるはずがない。
夢だ。夢が続いているに違いない。
右手に持った剣で左の手のひらをちくちくつついてみる。痛い。
だけど、夢の中で痛みを感じることもあると聞くから、当てにならない。
一方、これまで見てきた夢で、今ほど現実味を感じたことはなかったと断言できる。何かがおかしい。異常な事態が起きていると認識すべきだな。
とりあえず……履き物が欲しい。寝ていたときの格好のまんまだ。だからパジャマ姿に裸足。エクスカリナーの剣があるのは、持って寝ていたからだろうか。もしそんな法則があると分かっていたら、スマホを掴んで寝たものを。いやいや、スマホを持ち込めたとしても、この世界で使えるかどうか怪しいもんだけどさ。
……あれ? 何か、俺の思考ってもうすでにここを異世界だと認識してきているような。夢の中なのか、異世界に飛ばされたのか、判断を下すために見て回ろうと思っていたところなのに。
そういえば、目がよく見えている! 眼鏡ユーザーの俺だが、睡眠時は当然、眼鏡を外している。だから今は掛けていない。にもかかわらず、視力が戻っているようだ。
前に測った裸眼視力、覚えちゃいないが0.1未満だったのは確かだ。それが何故か、くっきりぱっちり見えている。この感じだと、1.5は確実にあるだろう。
これこそ異世界に来た、あるいは転生した証拠?
つづく
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