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30.志貴斗のメンバーリスト
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「あの、お言葉を返すようで恐縮ですが、社長、曹選手はもう一試合、日本でやっています。チャレンジマッチ的な大会で、地上波はなかったようですが」
「何。誰と?」
「ユアン・フィルポッツという英国のヘビー級王者だった選手と。勝った方にはロード本戦のレギュラーになれる権利が与えられるとして行われ、かなり泥臭い試合になりましたが」
「ちょっと待て。おまえさんはその試合、見たのか」
「はい。このリストが送られてきたあと、ざっとチェックしたので」
「なるほど、優秀だな。続けてくれ」
「かなり泥臭い試合になりましたが、最終三ラウンドに曹がTKO勝ちを収めました。動画が公式サイトにありますので、見ますか」
「うむ」
その返事を予測していたらしく、渉外部長は小脇に抱えていたタブレットを持ち直すと、話を続けながら慣れた手つきで起動から動画再生の手前まで済ませた。
「僭越ながら私の見るところ、非常にプロレス向きな気がしました」
「キャラを立てやすいってことか」
「はい。――どうぞ、社長」
白三角のボタンマークを、道山の太い指が押す。再生が始まった。両選手がコールされる場面からだ。まだ日本では馴染みのない選手であるが、一試合こなしている分、曹の方が声援は大きい。英国王者というフィルポッツは、宋に見劣りしない長身の黒人選手で、肉体の分厚さでは勝っている。
「こんなでかい奴同士を登竜門的大会で組むとは、ロードはまだまだ儲かってるんだな。お、始まったか。――おほっ」
いい物を見たときや喜びを表すときの声が、道山の口から漏れ出た。
「こいつはいい。まるで風力発電だ」
序盤から曹はバックハンドブローを多発した。フェイントも何もない、ただただ振り回すだけの人間ゴマと化している。ほとんど、いや全てブロックされるかよけられている。
「ちょっと空振りが多すぎるな。だが、西洋人に突っ込むのを躊躇させるだけのパワーとスピードがあるのは魅力的だ。あとはスタミナとテクニック」
道山が呟いた矢先、フィルポッツの方が動いた。ローキックを出して様子を見る。ただ、長い足をしている割に届かない。連続のバックブローの威力を恐れているのがありありと窺えた。
らちがあかないと見たか、低空タックルに行くフィルポッツ。余裕のバックステップでかわす曹。
「意外と俊敏だな。でも、くるくる回ってるときに今のタックルに来られたら、やばいだろ」
「はい。事実、ラウンド終了間際にタックルで倒されてしまいます」
渉外部長の言葉の通り、残り三十秒ほどになったとき、バックブローのタイミングを読まれ、軸足をタックルで刈られた曹。マットに横倒しになったが、ガードを固めてしのぎきる。二ラウンド目も似たような展開が半ばまで続き、残り二分になる頃には両者ともに疲労がにじみ出ていた。曹は回転をやめ、両膝にそれぞれの手をついて休む。フィルポッツもこれ幸いと、ファイティングポーズは保っているが明らかに休憩していた。
ブーイングが飛び交い始めレフェリーがファイトを促すこと三度、ようやくフィルポッツがタックルに行ったが、これも曹は巧みに切った。ただ、相手の身体にのしかかっても攻撃には行けないようだ。そのまま二ラウンドが終了。
「スタミナないな」
「最終ラウンドで残っているスタミナをふりしぼりますけどね。やけのやんぱちみたいな感じでした」
第三ラウンドに突入しても、曹はバックブローによる奇襲をやめない。もはや繰り出されることが分かっているバックブローなぞ、奇襲とは呼べないし、当たるはずもない。フィルポッツの方は徐々にタイミングを合わせるのがうまくなっていた。タックルをタイミングよく決め、長身の曹を完全には倒しきれないが、いずれうまく行くだろうと予感させる展開だ。
「これで本当に曹が勝ったのか?」
道山が疑問を呈したそのとき、試合の流れは大きく変化した。十何度目かのタックルに来たフィルポッツの頭部に、曹の右膝がヒット。ダウンこそ免れたが、フィルポッツは曹に上からのしかかられる。
ここでレフェリーがタイムストップを掛け、フィルポッツの額を覗き込んだかと思うと両者を分け、ドクターを呼ぶ。白のマットに赤い血が広がっているのが分かる。
リングに上がってきたドクターはフィルポッツの額の傷を見るや、即座に首を横に振った。レフェリーがゴングを要請し、曹のTKO勝ちが宣せられる。
「何か呆気ねえな。膝を当てられるんだったら、もっと早くからやりゃいいのによ」
不満を吐露する社長に、渉外部長は動画を少し進めた。
「勝利者インタビューがあります。通訳もいますが、日本語でほぼ答えてます」
「どれどれ……」
リング上でマイクを向けられ、インタビューに答える曹はまだあどけないと言ってもいい童顔だった。試合中の険しい表情、青白い肌とは打って変わって人なつっこい笑みを浮かべている。勝利を祝福するコメントを述べてから、インタビュアーが本題に入る。
「英国王者との対戦でしたがどうでしたか」
「強かった」
「えー、初回からバックハンドブローを連発して、体力を消耗したのでは?」
「はい、疲れました」
「奇襲攻撃に使う技だと思うんですが、初回から使ったのは習った技を試したかったんでしょうか」
「うーん、ちょっと違う。試したかったのもある。けど、作戦ね」
「どんな作戦ですか」
「フィルポッツ選手、私よりもキャリアがあって実績もあって、多分今の私よりも強い。まともにやったら勝てないと思った。だから第一ラウンドから、えー、バカノヒトツオボエみたいに同じ技出して、相手を油断させる作戦ね」
「フィルポッツ選手はしっかり対処していたように見えましたが」
「攻撃が同じになったでしょ。タックルばかり。私、それを待っていた。第一ラウンドから膝蹴り出しても、多分当たらなかったと思うよ」
ここで道山は再生を止めさせた。
「こいつはとんだ策略家だったって訳か。アマチュアだがある意味面白い。いかにも中国の選手だ」
「どういう意味ですか」
メモを取っていた新妻が問うと、道山は天井を睨みながら答える。
「昔、中国の上の方の人物が、何か言葉を残していなかったか。“敵の力が強大なときは借りてきた猫のように大人しくして力を蓄えてから一気に天下を取る”みたいな」
「さあ……不勉強で相済みません」
「なに、俺もうろ覚えどころか、ほとんど消えかけていた記憶だ。にしても、この曹っての、プロレスラーとして鍛えた方がよさそうだよな。ロードさんもこんな戦い方で白星を積み重ねられても扱いに困るんじゃないか」
「同感です」
渉外部長は最初に述べた自身の意見が認められた思いからか、にんまりしていた。
「それじゃ、日本人のメンバーを聞こうか」
「あ、はい。まずは志貴斗内部で認定する日本ヘビー級王者、中川恭一選手」
「おっ、ちゃんと約束通り、王者クラスを寄越してくれたか。だが、聞かねえ名だな」
「えっと、ロード本戦出場は一度で、秒殺の惨敗。その後のチャレンジマッチでも一敗一分けと結果が出せていません。強豪外国人との差が大きいと見なされていますね」
「そうなのか。じゃあ、俺とは釣り合わねえな。他には?」
このあと、渉外部長が日本ヘビー級の元王者、ライトヘビー級現王者、ミドル級一位の選手を順に挙げていったが、どれも道山の眼鏡にはかなわなかった。
「それなりに強いんだろうけどよ、ぴんと来んな。知名度は?」
「今回のリストの中では、ミドル級一位の佐倉美樹彦選手がダントツかと。志貴斗の中ではミドル級に敵がいなくなったのでタイトル返上、今はランキング制度の規則で一位に置いているものの、本人はライトヘビーに転向する意向だとか。ロードでも海外強豪相手に勝利を重ね、ブラジルの柔術家の連勝をストップさせたのが大きいです」
「ああ、思い出した。あいつか」
地上波でまさにその試合を観た記憶が鮮明にある。柔術で外人に日本人が勝てないのは情けないと感じていただけに、佐倉の勝利には道山も心の中で快哉を叫んだものだ。
続く
「何。誰と?」
「ユアン・フィルポッツという英国のヘビー級王者だった選手と。勝った方にはロード本戦のレギュラーになれる権利が与えられるとして行われ、かなり泥臭い試合になりましたが」
「ちょっと待て。おまえさんはその試合、見たのか」
「はい。このリストが送られてきたあと、ざっとチェックしたので」
「なるほど、優秀だな。続けてくれ」
「かなり泥臭い試合になりましたが、最終三ラウンドに曹がTKO勝ちを収めました。動画が公式サイトにありますので、見ますか」
「うむ」
その返事を予測していたらしく、渉外部長は小脇に抱えていたタブレットを持ち直すと、話を続けながら慣れた手つきで起動から動画再生の手前まで済ませた。
「僭越ながら私の見るところ、非常にプロレス向きな気がしました」
「キャラを立てやすいってことか」
「はい。――どうぞ、社長」
白三角のボタンマークを、道山の太い指が押す。再生が始まった。両選手がコールされる場面からだ。まだ日本では馴染みのない選手であるが、一試合こなしている分、曹の方が声援は大きい。英国王者というフィルポッツは、宋に見劣りしない長身の黒人選手で、肉体の分厚さでは勝っている。
「こんなでかい奴同士を登竜門的大会で組むとは、ロードはまだまだ儲かってるんだな。お、始まったか。――おほっ」
いい物を見たときや喜びを表すときの声が、道山の口から漏れ出た。
「こいつはいい。まるで風力発電だ」
序盤から曹はバックハンドブローを多発した。フェイントも何もない、ただただ振り回すだけの人間ゴマと化している。ほとんど、いや全てブロックされるかよけられている。
「ちょっと空振りが多すぎるな。だが、西洋人に突っ込むのを躊躇させるだけのパワーとスピードがあるのは魅力的だ。あとはスタミナとテクニック」
道山が呟いた矢先、フィルポッツの方が動いた。ローキックを出して様子を見る。ただ、長い足をしている割に届かない。連続のバックブローの威力を恐れているのがありありと窺えた。
らちがあかないと見たか、低空タックルに行くフィルポッツ。余裕のバックステップでかわす曹。
「意外と俊敏だな。でも、くるくる回ってるときに今のタックルに来られたら、やばいだろ」
「はい。事実、ラウンド終了間際にタックルで倒されてしまいます」
渉外部長の言葉の通り、残り三十秒ほどになったとき、バックブローのタイミングを読まれ、軸足をタックルで刈られた曹。マットに横倒しになったが、ガードを固めてしのぎきる。二ラウンド目も似たような展開が半ばまで続き、残り二分になる頃には両者ともに疲労がにじみ出ていた。曹は回転をやめ、両膝にそれぞれの手をついて休む。フィルポッツもこれ幸いと、ファイティングポーズは保っているが明らかに休憩していた。
ブーイングが飛び交い始めレフェリーがファイトを促すこと三度、ようやくフィルポッツがタックルに行ったが、これも曹は巧みに切った。ただ、相手の身体にのしかかっても攻撃には行けないようだ。そのまま二ラウンドが終了。
「スタミナないな」
「最終ラウンドで残っているスタミナをふりしぼりますけどね。やけのやんぱちみたいな感じでした」
第三ラウンドに突入しても、曹はバックブローによる奇襲をやめない。もはや繰り出されることが分かっているバックブローなぞ、奇襲とは呼べないし、当たるはずもない。フィルポッツの方は徐々にタイミングを合わせるのがうまくなっていた。タックルをタイミングよく決め、長身の曹を完全には倒しきれないが、いずれうまく行くだろうと予感させる展開だ。
「これで本当に曹が勝ったのか?」
道山が疑問を呈したそのとき、試合の流れは大きく変化した。十何度目かのタックルに来たフィルポッツの頭部に、曹の右膝がヒット。ダウンこそ免れたが、フィルポッツは曹に上からのしかかられる。
ここでレフェリーがタイムストップを掛け、フィルポッツの額を覗き込んだかと思うと両者を分け、ドクターを呼ぶ。白のマットに赤い血が広がっているのが分かる。
リングに上がってきたドクターはフィルポッツの額の傷を見るや、即座に首を横に振った。レフェリーがゴングを要請し、曹のTKO勝ちが宣せられる。
「何か呆気ねえな。膝を当てられるんだったら、もっと早くからやりゃいいのによ」
不満を吐露する社長に、渉外部長は動画を少し進めた。
「勝利者インタビューがあります。通訳もいますが、日本語でほぼ答えてます」
「どれどれ……」
リング上でマイクを向けられ、インタビューに答える曹はまだあどけないと言ってもいい童顔だった。試合中の険しい表情、青白い肌とは打って変わって人なつっこい笑みを浮かべている。勝利を祝福するコメントを述べてから、インタビュアーが本題に入る。
「英国王者との対戦でしたがどうでしたか」
「強かった」
「えー、初回からバックハンドブローを連発して、体力を消耗したのでは?」
「はい、疲れました」
「奇襲攻撃に使う技だと思うんですが、初回から使ったのは習った技を試したかったんでしょうか」
「うーん、ちょっと違う。試したかったのもある。けど、作戦ね」
「どんな作戦ですか」
「フィルポッツ選手、私よりもキャリアがあって実績もあって、多分今の私よりも強い。まともにやったら勝てないと思った。だから第一ラウンドから、えー、バカノヒトツオボエみたいに同じ技出して、相手を油断させる作戦ね」
「フィルポッツ選手はしっかり対処していたように見えましたが」
「攻撃が同じになったでしょ。タックルばかり。私、それを待っていた。第一ラウンドから膝蹴り出しても、多分当たらなかったと思うよ」
ここで道山は再生を止めさせた。
「こいつはとんだ策略家だったって訳か。アマチュアだがある意味面白い。いかにも中国の選手だ」
「どういう意味ですか」
メモを取っていた新妻が問うと、道山は天井を睨みながら答える。
「昔、中国の上の方の人物が、何か言葉を残していなかったか。“敵の力が強大なときは借りてきた猫のように大人しくして力を蓄えてから一気に天下を取る”みたいな」
「さあ……不勉強で相済みません」
「なに、俺もうろ覚えどころか、ほとんど消えかけていた記憶だ。にしても、この曹っての、プロレスラーとして鍛えた方がよさそうだよな。ロードさんもこんな戦い方で白星を積み重ねられても扱いに困るんじゃないか」
「同感です」
渉外部長は最初に述べた自身の意見が認められた思いからか、にんまりしていた。
「それじゃ、日本人のメンバーを聞こうか」
「あ、はい。まずは志貴斗内部で認定する日本ヘビー級王者、中川恭一選手」
「おっ、ちゃんと約束通り、王者クラスを寄越してくれたか。だが、聞かねえ名だな」
「えっと、ロード本戦出場は一度で、秒殺の惨敗。その後のチャレンジマッチでも一敗一分けと結果が出せていません。強豪外国人との差が大きいと見なされていますね」
「そうなのか。じゃあ、俺とは釣り合わねえな。他には?」
このあと、渉外部長が日本ヘビー級の元王者、ライトヘビー級現王者、ミドル級一位の選手を順に挙げていったが、どれも道山の眼鏡にはかなわなかった。
「それなりに強いんだろうけどよ、ぴんと来んな。知名度は?」
「今回のリストの中では、ミドル級一位の佐倉美樹彦選手がダントツかと。志貴斗の中ではミドル級に敵がいなくなったのでタイトル返上、今はランキング制度の規則で一位に置いているものの、本人はライトヘビーに転向する意向だとか。ロードでも海外強豪相手に勝利を重ね、ブラジルの柔術家の連勝をストップさせたのが大きいです」
「ああ、思い出した。あいつか」
地上波でまさにその試合を観た記憶が鮮明にある。柔術で外人に日本人が勝てないのは情けないと感じていただけに、佐倉の勝利には道山も心の中で快哉を叫んだものだ。
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