149 / 247
148話 おそろしい子!
しおりを挟む
ダダダンッ!!ゴドンッ!ドズザザザァーーーッ!!
と、次いで、この死の闘技ドームの内側より外部の皆の耳へと届いたのは、どう聴いても明らかに大質量なる者が倒れ伏し、尚且つ、それ自身が発揮した膨大なる運動エネルギーによって生じた慣性により床を滑る音だった。
その直後。
この無慈悲なる死闘の興行主たる、人ならざる、あやかし寄りの美を放って止まぬ、中年バラキエルが吼(ほ)えた。
「アン様!ビス様!至急''ザバルダスト''に神聖治療魔法をお願い致しますっ!!」
この不可思議なる救急措置の要請に、双子のライカン姉妹は一瞬困惑させられた。
が、即座に鋼鉄のドームへと向き直り、殆(ほとん)ど反射的に神聖語を紡ぎ始めた。
その退路も逃げ場も一切ない、完全に後退の選択肢を断たれた血闘の円形舞台を見つめていた皆は、前のめりで、うつ伏せに倒れ伏した巨体である異形の17頭身、超戦士ザバルダストの整った顔が、"ほぼ天井方向"へ向いているという、奇妙な矛盾に漸(ようや)く気付いた。
また更に深く注視すると、彼の危険過ぎる死の鉤爪が装着・搭載された剛健な右腕。
なんとそれが、その肘から逆関節的に"へし折られ"、その肘の辺りの骨は皮膚を突き破って外部へと露出しており、その腕の拳は殆ど右肩へと付きそうなまでに痛々しく屈折している事にも気付いた。
つまり、この密葬の毒竜ザバルダストは、その頚骨と右腕とを完全に粉砕されてダウンしており、遠目に見ても、やけに瑞々(みずみず)しい綺麗な白眼を剥いて、天井方向の真上へと生気のない死相を晒していたのである。
この恐ろしき無惨絵としか言えぬ有り様に目を見開いたギャラリー等は、一部の真魔族の二名を除き、この一瞬の人体破壊劇に揃って声を失って、事態の把握が出来ずにいた。
さて、それらの焦点たるもう一人だが、それは言うまでもなく、半死半生らしき床のザバルダストとは異なり、愛らしい顔前に両腕を交差させた格好で立ち尽くすユリアだ。
彼女は今、ゆっくりとその両腕を降ろし、自らの後方でピクリともしない憐れな巨人を振り返り
「えっ!?あ、あれっ!?ザ、ザバルダスト……さん?
えーっ!?ななな、なんで貴方の方が倒れてるんですかー!?
あーっ!!わわわっ!ザバルダストさんたら変な欠伸(アクビ)してる!!
うっひゃあっ!!こ、これは危ないですー!!」
と、不様に床に伸びた瀕死の毒竜へと駆けた。
そうして、即座にアンとビスらが漏らすモノとよく似た神聖語のフレーズを唱え始め、そこに長々と横たわる力なきザバルダストの緊急治療にあたったのである。
「リョウトウ!」
と、その成り行きを認めたバラキエルが鋭い声を飛ばすと、この部屋の奥の数名の男娼等によって、冷たい石壁に設置された、赤錆のふいた大きな武骨な鉄のハンドル、その二つが回された。
これにより、そこに繋がる天井へと続く鋼鉄の鎖の二条等が巻き取られ、もはや用済みとなった鋼の鳥籠は徐々に天井へと上昇していったのである。
これらの一連の流れを、ただただ突っ立ち、呆然と見つめることしか出来なかった老紳士カゲロウの顔は戦慄に彩られ
「な、なんだ?い、今、ここで一体何が起きたのだ!?
不意に、あの独創的な武装をした巨人が駆け出したかと思ったら、いきなり、いきなり前のめりに倒れたぞ?
あの大男、大人しそうなユリア様に、巧く突進をかわされたとして、それにより肩透かしを喰らう形となり転倒したのなら、なぜ直ぐに起き上がらないのか!?
それが、それが今どうして横たわり、しかも三人掛かりの緊急治療を受けているのだ!?
わ、分からん!!だ、誰か、誰かこの独創的な事態を私に説明してくれ!
ハッ!それより!そんなことより!
おぉ!おぉっ!?あ、あぁ良かった!ここから見る限り、対する勇者ユリア様には、目立ったお怪我のようなモノはないようだ、が……」
と、自らの視線の先。ぐんぐんと巻き上げられてゆく巨大ドームの直下にて、慎重にザバルダストの頭部を抱え、本来の方向である下方へとそれを回すユリアを見つめて、呻(うめ)くようにして言った。
「ウム。この比武。思いの外、中々に楽しめたな。
フフフ……やはり、あのユリアという女は面白い。
一見すると好奇心旺盛な、少し抜けたところのある、単なるお惚(とぼ)け者にしか見えないながらも、その内に秘めたる性質とは、魔族も顔負けの極めて残忍にして性酷薄であるからな。
フフフ……カミラーよ。お前は、あの様な珍妙なる戦闘術に見覚えはあるか?」
粗い煉瓦(レンガ)壁に黒い背をもたれ、そこで美しい影となり、遠巻きに観戦をしていたドラクロワの声には、どこか愉しげな響きがあった。
これにカミラーは小さな顎の先を摘まんで小首をかしげて記憶を手繰り
「はっ、いえ。私の知る限り……あの様に無気味な人体破壊の術は初見にござりまする。
ムウ、あの低知能娘とは、一体、何処(どこ)であれほどの格闘体系を会得したのでしょうか?」
と、実に神妙な顔付きで過去五千年の半生を振り返って、今しがたユリアの振るった技に類似したものを探った。
が、残念ながらその片鱗も、またその起源にあたるようなモノすらも一向に出ては来なかった。
その同列にて観戦していたマリーナも、左のサファイアブルーの瞳を剥いていたが、フッとそれを伏せ、左側に立つ者へと流し
「ねぇシャン。あのさ、今の……見たかい?」
と、がらにもなく真剣な顔つきになって、絞り出すような声を送った。
「あぁ、しかと見た。うーん、今ユリアの放ったあの技とは、恐らく……。
恐らくだが……言うなれば、あれは赤子、いや寝ている者の四肢を折るのに近いかな?
うん、流石にこれだけでは解りにくいか……。
そうだな、通常、およそ格闘と名のつくモノは、それがどんな種類の斬撃、刺突撃、殴打、或いは蹴りの類いのモノであれ、皆一様に対峙する敵目掛けて、その攻めの為、いずれかの四肢が伸びる訳だ。
そうして、その攻撃の軌道は様々であったとしても、それらの攻め手が敵を捕捉出来なかった場合。
つまり、必殺の攻撃が相手にかわされたその時、その攻め手の腕なり脚なりは空を切って伸び切り、直ぐさま元の構え、或いは次の攻めへと移行しようとする。
先ほどのユリアが捕らえたのは、そこなのだ。
その正しく四半瞬ほどではあろうが、理論上、そこにはどうしようもなく全く力の抜けた時間が生まれる訳だ。
恐らくユリアは、その針の先程の完全に無力となった敵の瞬間脱力状態を捕らえ、その最も無力で脆弱となった四肢のある箇所を見定めるや、そこを最も危険な方向へと圧迫し、捻り、或いはへし折るのだろう。
これが、あの極めて残忍なる超悪魔的戦闘術のカラクリだと思われる。
うん。このように今の闘いを見て、冷静な分析とやらをすれば、その仕組み・理論が意外に単純であることは推察出来る。
だが、あれをさっきのユリアのようにやってのけるには、人体、その関節の造りに詳しいとか、また単純な目のよさや、ある程度の腕力などだけではなく、死を微塵も怖れず、自分に向かい来る攻め手に飛び付く気概(きがい)……。
そして、今から破壊する相手へ一瞬の憐れみも躊躇(ちゅうちょ)も抱かぬという、そんな一点の曇りもない残虐なる性情。
そしてなにより、とても陳腐な言い方にはなるが、やはり所謂(いわゆる)、"天賦(てんぷ)の才"とやらが必要なのだろうと思う。
つまり、先ほど披露された、あの完璧なる人体破壊術とは、あそこに立っているユリア以外には誰にも真似は出来ない、ということになるだろうな。
うん。それでも飛び道具・魔法を除いた数ある戦術を駆使して、何とかあれに打ち勝とうとするなら……。
そうだな、にじりよるようにして迫る、それこそ速さを全く伴わぬ掴み技の類い、くらいか……。
うん、本当に恐ろしい戦闘術だと思う」
そう解説したシャンの東洋的顔とは、僅かに血の気が退いており、幾分、青ざめているようにも見えたが、この体育訓練の間(ま)とは、部屋の隅々までもを煌々(こうこう)と照すに充分な、無数の獣脂灯火(ランプ)はあるものの、真昼の陽の下には決して及ばない為、流石に影が強く、ただ何となくそう見えただけかな?と、マリーナはそう思うことにした。
さて、高等治療魔法により、今、漸(ようや)く息を吹き返したザバルダストは、雄牛のごとき剛健なる首の後ろへと手をやってそこを押さえ、重く沈痛なる顔をして
「うむむ、ん……。う、うぅう……。
あぁ、ど、どうやら私は敗れたのですね?
ゆ、勇者様、満足にお相手が出来ないばかりか不様に倒れ、その上、こうして回復のお手間までお掛けしたようですね……。
クッ、このザバルダスト、お詫びのしようもございません」
と、己の無力さを床に両手をついて詫びた。
それにどう答えてよいものかと、あたふたとするユリアへと慇懃に頭を垂れたバラキエルは、まるで勿体をつけるような、そんな実にゆっくりとした動作で白い顔を上げ
「ね?拳聖様には、中途半端な助言など、なんら不要でございましたでしょう?」
と、なんとも謹み深い笑みを見せたという。
と、次いで、この死の闘技ドームの内側より外部の皆の耳へと届いたのは、どう聴いても明らかに大質量なる者が倒れ伏し、尚且つ、それ自身が発揮した膨大なる運動エネルギーによって生じた慣性により床を滑る音だった。
その直後。
この無慈悲なる死闘の興行主たる、人ならざる、あやかし寄りの美を放って止まぬ、中年バラキエルが吼(ほ)えた。
「アン様!ビス様!至急''ザバルダスト''に神聖治療魔法をお願い致しますっ!!」
この不可思議なる救急措置の要請に、双子のライカン姉妹は一瞬困惑させられた。
が、即座に鋼鉄のドームへと向き直り、殆(ほとん)ど反射的に神聖語を紡ぎ始めた。
その退路も逃げ場も一切ない、完全に後退の選択肢を断たれた血闘の円形舞台を見つめていた皆は、前のめりで、うつ伏せに倒れ伏した巨体である異形の17頭身、超戦士ザバルダストの整った顔が、"ほぼ天井方向"へ向いているという、奇妙な矛盾に漸(ようや)く気付いた。
また更に深く注視すると、彼の危険過ぎる死の鉤爪が装着・搭載された剛健な右腕。
なんとそれが、その肘から逆関節的に"へし折られ"、その肘の辺りの骨は皮膚を突き破って外部へと露出しており、その腕の拳は殆ど右肩へと付きそうなまでに痛々しく屈折している事にも気付いた。
つまり、この密葬の毒竜ザバルダストは、その頚骨と右腕とを完全に粉砕されてダウンしており、遠目に見ても、やけに瑞々(みずみず)しい綺麗な白眼を剥いて、天井方向の真上へと生気のない死相を晒していたのである。
この恐ろしき無惨絵としか言えぬ有り様に目を見開いたギャラリー等は、一部の真魔族の二名を除き、この一瞬の人体破壊劇に揃って声を失って、事態の把握が出来ずにいた。
さて、それらの焦点たるもう一人だが、それは言うまでもなく、半死半生らしき床のザバルダストとは異なり、愛らしい顔前に両腕を交差させた格好で立ち尽くすユリアだ。
彼女は今、ゆっくりとその両腕を降ろし、自らの後方でピクリともしない憐れな巨人を振り返り
「えっ!?あ、あれっ!?ザ、ザバルダスト……さん?
えーっ!?ななな、なんで貴方の方が倒れてるんですかー!?
あーっ!!わわわっ!ザバルダストさんたら変な欠伸(アクビ)してる!!
うっひゃあっ!!こ、これは危ないですー!!」
と、不様に床に伸びた瀕死の毒竜へと駆けた。
そうして、即座にアンとビスらが漏らすモノとよく似た神聖語のフレーズを唱え始め、そこに長々と横たわる力なきザバルダストの緊急治療にあたったのである。
「リョウトウ!」
と、その成り行きを認めたバラキエルが鋭い声を飛ばすと、この部屋の奥の数名の男娼等によって、冷たい石壁に設置された、赤錆のふいた大きな武骨な鉄のハンドル、その二つが回された。
これにより、そこに繋がる天井へと続く鋼鉄の鎖の二条等が巻き取られ、もはや用済みとなった鋼の鳥籠は徐々に天井へと上昇していったのである。
これらの一連の流れを、ただただ突っ立ち、呆然と見つめることしか出来なかった老紳士カゲロウの顔は戦慄に彩られ
「な、なんだ?い、今、ここで一体何が起きたのだ!?
不意に、あの独創的な武装をした巨人が駆け出したかと思ったら、いきなり、いきなり前のめりに倒れたぞ?
あの大男、大人しそうなユリア様に、巧く突進をかわされたとして、それにより肩透かしを喰らう形となり転倒したのなら、なぜ直ぐに起き上がらないのか!?
それが、それが今どうして横たわり、しかも三人掛かりの緊急治療を受けているのだ!?
わ、分からん!!だ、誰か、誰かこの独創的な事態を私に説明してくれ!
ハッ!それより!そんなことより!
おぉ!おぉっ!?あ、あぁ良かった!ここから見る限り、対する勇者ユリア様には、目立ったお怪我のようなモノはないようだ、が……」
と、自らの視線の先。ぐんぐんと巻き上げられてゆく巨大ドームの直下にて、慎重にザバルダストの頭部を抱え、本来の方向である下方へとそれを回すユリアを見つめて、呻(うめ)くようにして言った。
「ウム。この比武。思いの外、中々に楽しめたな。
フフフ……やはり、あのユリアという女は面白い。
一見すると好奇心旺盛な、少し抜けたところのある、単なるお惚(とぼ)け者にしか見えないながらも、その内に秘めたる性質とは、魔族も顔負けの極めて残忍にして性酷薄であるからな。
フフフ……カミラーよ。お前は、あの様な珍妙なる戦闘術に見覚えはあるか?」
粗い煉瓦(レンガ)壁に黒い背をもたれ、そこで美しい影となり、遠巻きに観戦をしていたドラクロワの声には、どこか愉しげな響きがあった。
これにカミラーは小さな顎の先を摘まんで小首をかしげて記憶を手繰り
「はっ、いえ。私の知る限り……あの様に無気味な人体破壊の術は初見にござりまする。
ムウ、あの低知能娘とは、一体、何処(どこ)であれほどの格闘体系を会得したのでしょうか?」
と、実に神妙な顔付きで過去五千年の半生を振り返って、今しがたユリアの振るった技に類似したものを探った。
が、残念ながらその片鱗も、またその起源にあたるようなモノすらも一向に出ては来なかった。
その同列にて観戦していたマリーナも、左のサファイアブルーの瞳を剥いていたが、フッとそれを伏せ、左側に立つ者へと流し
「ねぇシャン。あのさ、今の……見たかい?」
と、がらにもなく真剣な顔つきになって、絞り出すような声を送った。
「あぁ、しかと見た。うーん、今ユリアの放ったあの技とは、恐らく……。
恐らくだが……言うなれば、あれは赤子、いや寝ている者の四肢を折るのに近いかな?
うん、流石にこれだけでは解りにくいか……。
そうだな、通常、およそ格闘と名のつくモノは、それがどんな種類の斬撃、刺突撃、殴打、或いは蹴りの類いのモノであれ、皆一様に対峙する敵目掛けて、その攻めの為、いずれかの四肢が伸びる訳だ。
そうして、その攻撃の軌道は様々であったとしても、それらの攻め手が敵を捕捉出来なかった場合。
つまり、必殺の攻撃が相手にかわされたその時、その攻め手の腕なり脚なりは空を切って伸び切り、直ぐさま元の構え、或いは次の攻めへと移行しようとする。
先ほどのユリアが捕らえたのは、そこなのだ。
その正しく四半瞬ほどではあろうが、理論上、そこにはどうしようもなく全く力の抜けた時間が生まれる訳だ。
恐らくユリアは、その針の先程の完全に無力となった敵の瞬間脱力状態を捕らえ、その最も無力で脆弱となった四肢のある箇所を見定めるや、そこを最も危険な方向へと圧迫し、捻り、或いはへし折るのだろう。
これが、あの極めて残忍なる超悪魔的戦闘術のカラクリだと思われる。
うん。このように今の闘いを見て、冷静な分析とやらをすれば、その仕組み・理論が意外に単純であることは推察出来る。
だが、あれをさっきのユリアのようにやってのけるには、人体、その関節の造りに詳しいとか、また単純な目のよさや、ある程度の腕力などだけではなく、死を微塵も怖れず、自分に向かい来る攻め手に飛び付く気概(きがい)……。
そして、今から破壊する相手へ一瞬の憐れみも躊躇(ちゅうちょ)も抱かぬという、そんな一点の曇りもない残虐なる性情。
そしてなにより、とても陳腐な言い方にはなるが、やはり所謂(いわゆる)、"天賦(てんぷ)の才"とやらが必要なのだろうと思う。
つまり、先ほど披露された、あの完璧なる人体破壊術とは、あそこに立っているユリア以外には誰にも真似は出来ない、ということになるだろうな。
うん。それでも飛び道具・魔法を除いた数ある戦術を駆使して、何とかあれに打ち勝とうとするなら……。
そうだな、にじりよるようにして迫る、それこそ速さを全く伴わぬ掴み技の類い、くらいか……。
うん、本当に恐ろしい戦闘術だと思う」
そう解説したシャンの東洋的顔とは、僅かに血の気が退いており、幾分、青ざめているようにも見えたが、この体育訓練の間(ま)とは、部屋の隅々までもを煌々(こうこう)と照すに充分な、無数の獣脂灯火(ランプ)はあるものの、真昼の陽の下には決して及ばない為、流石に影が強く、ただ何となくそう見えただけかな?と、マリーナはそう思うことにした。
さて、高等治療魔法により、今、漸(ようや)く息を吹き返したザバルダストは、雄牛のごとき剛健なる首の後ろへと手をやってそこを押さえ、重く沈痛なる顔をして
「うむむ、ん……。う、うぅう……。
あぁ、ど、どうやら私は敗れたのですね?
ゆ、勇者様、満足にお相手が出来ないばかりか不様に倒れ、その上、こうして回復のお手間までお掛けしたようですね……。
クッ、このザバルダスト、お詫びのしようもございません」
と、己の無力さを床に両手をついて詫びた。
それにどう答えてよいものかと、あたふたとするユリアへと慇懃に頭を垂れたバラキエルは、まるで勿体をつけるような、そんな実にゆっくりとした動作で白い顔を上げ
「ね?拳聖様には、中途半端な助言など、なんら不要でございましたでしょう?」
と、なんとも謹み深い笑みを見せたという。
0
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる