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第5章 いざ、亜人界へ
79話 新たな一歩
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「じゃあ、泡流すねぇ。」
「おっ、おう...。」
レイを亜人界へ追い払ってからますますミラから好かれるようになった。更にミラ自身積極的に好意を示すようになった。それに負けじと凛とカンナも積極的に好意を示すようになったため、このような現状に至ってしまった。
「ずるい!私も流すよ!」
「私も」
「あぁ、もう!それぐらい自分でできるよ。」
そう、4人でお風呂に入るという。
3人ともタオルなど巻いておらず素っ裸なので正直な話、目のやり場に困る。何がハーレムだ!緊張して前が見れねぇ。
というか、この3人には恥じらいというものがないのか?
「おっ、お前ら。男の俺と一緒にお風呂入るの恥ずかしくないのか?ほら、裸も見られるし...」
「いや、別に?だってお風呂で裸になるのは当然でしょ?恥ずかしいわけないじゃん?それに、裸を見られるったってただお風呂に入っているだし、そんなことでエッチなこと考えるほど変態さんじゃないでしょ?悠貴は。」
なるほど、確かに正論ではあるがなんだろう。どこか納得いかない。
確かに、お風呂に入る時はみんな裸だし、そこに恥じらいはない。だが、今のこの状況では話が違うではないか。
「それに、男女混浴のお風呂とかもあるんでしょ?だったら尚更恥ずかしがる必要がないじゃない。」
続けてミラが言った。
これも正論ではある。確かに男女混浴風呂は存在するし。だが、何度も言うが今のこの状況では話が違うではないか!
「それに、誰にだって裸を見せるわけじゃないんだよ。悠貴だから見せられるの。」
「───ッ///」
最後にカンナがトドメを刺してきた。そんな言葉、言われた方が恥ずかしい...。
これ以上は何を言っても無駄だと思い、甘んじて今日はみんなでお風呂に入ることを受け入れた。
本当に目のやり場に困るし、何より落ち着かない...。
──────────────────
「いい湯だったねぇ悠貴」
「逆になんだか疲れたわ...」
天国のような地獄のような入浴タイムは無事に終わった。俺はずっと緊張しっぱなしだったため非常に疲れた。全く、朝から高カロリーである。
朝食を食べ終えた俺たちは日課である朝の散歩へ出かけた。
冬の澄んだ空気が気分をリフレッシュさせてくれる。
「朝にお風呂に入るのもありだね。」
「毎朝あんなふうに入る?」
「掘り返さなくていいから!それに朝風呂に入るなら自分たちだけで入ってくれ。じゃないと俺の心臓がもたねぇ...」
気分をリフレッシュしたというのに今朝の出来事を掘り返してくるミラと凛。カンナも「うんうん」と頷いている。マジでこんな高カロリーなプレイ2度とごめんだ。緊張しすぎて寿命が縮んでしまいそうだ。
「にしても、今日も平和だねぇ。」
「子供たちも公園で元気に遊んでるよぉ。」
「お前らおばあちゃんみたいな言い方だな。」
朝日が眩しいのか、わざとおばあちゃん感を演出しているのか、ミラと凛は両目を細めてそう言った。
ってか、『平和だねぇ』のあたりフラグじゃねぇよな?このあと激しい天変地異が起こるとかそんなんじゃないよな?
「私も遊んでくる。」
カンナはそう言うと公園に走っていった。他の2人とは違ってあいつは見ため通り子供っぽくて元気がある。
俺たちは自動販売機でホットココアを買って、カンナが向かった公園へと向かった。
──────────────────
「紹介する。私の友達の千尋。」
「はっ、はじめまして。福山 千尋です。小学6年生です。悠貴お兄ちゃんのことはカンナちゃんから聞いてました。」
そう言ってカンナから紹介された友達の千尋は汚れのない無垢な笑顔を見せてくる。
なんだこの胸の高鳴りは!?悠貴お兄ちゃん!?危うくロリコンの道を切り開きそうになってしまった。
「うん、よろしく。隣にいるかわいいお姉さんはミラと凛だ。」
「よろしくお願いします。」
「「はい、よろしく~。」」
千尋はペコッとお辞儀をしてからカンナと一緒に遊具の方へ走っていった。
なるほど、最近カンナは外出が多いなとは思っていたのだが、この世界で友達を作っていたとは。
確かに、その昔カンナは人間の子供と遊ぶのが好きだったので人間の友達を作るのも当然のことではあるが、カンナは人間からひどい暴行を受けて以来、人間を信用できなくなっていたので、カンナが少しずつ成長し、少しずつ人間を信用できるようになっていることが嬉しかった。
「君たちもカンナを見習った方がいいんじゃない?この世界に友達いないよな?」
「別に友達なんかいなくても悠貴がいればそれでいいんだもん。」
「おっ、おう...///」
「なっ、なんで悠貴が恥ずかしがってるのよ。」
いらないことを言うからこんな気まずい空気になってしまう。
最近こういうことが多いからな。言動にも少し気を使わなければ。
「提案があるんだけどさ。亜人界に行かない?」
「えっ...!?」
ミラの提案を聞いた瞬間、体が凍りついたような感覚に襲われた。亜人界に行くなんてこと考えたことなどなかったからだ。
でも、みんなの夢を叶えるためにはいずれ亜人界に行かなければならない。
「なんで急にそんな話を?」
「それが、治安維持隊セレクト支部部長が悠貴に会いたいって言い出したの。」
ミラが所属している治安維持隊というのは、人間界で言うところの警察のような組織である。パトロールをして、何か起こったらすぐに駆けつけて、悪い人を捕まえる。こんな感じの仕事をミラは週3ぐらいの頻度で日中、亜人界に赴き、こなしている。
そこの支部部長ともあろうお偉いさんが俺に会いたいというのは一体...。
とりあえず考えてみることにした。
──────────────────
「で、てめェらが亜人界に行ッている間俺たちが人間界を侵略しようとしている亜人を片ッ端からひねり潰せと?」
「そこまで怖いことは言ってないけど、だいたいそんな感じだ。」
翌日、亜人界に行くことになった俺、ミラ、凛、カンナを見送るためにアクセルとアルケナが来てくれた。
俺たちが亜人界に行っている間はこの2人に人間界を任せることにした。最初は驚いていたが、2人とも快く承諾してくれた。
ミラが両手を前に出し、闇属性吸収魔法の応用で時空に裂け目を作り出す。
こんなことを成し遂げられるのは吸収極地であるミラだけだろう。さすがである。
全てを飲み込むかのように大きな口を開ける時空の裂け目。俺は大きく深呼吸をして気持ちを整える。俺は後ろに振り向いて、
「じゃあな!行ってくる!」
そう笑顔で言って裂け目の中に新たな一歩を踏み込んだ。
「おっ、おう...。」
レイを亜人界へ追い払ってからますますミラから好かれるようになった。更にミラ自身積極的に好意を示すようになった。それに負けじと凛とカンナも積極的に好意を示すようになったため、このような現状に至ってしまった。
「ずるい!私も流すよ!」
「私も」
「あぁ、もう!それぐらい自分でできるよ。」
そう、4人でお風呂に入るという。
3人ともタオルなど巻いておらず素っ裸なので正直な話、目のやり場に困る。何がハーレムだ!緊張して前が見れねぇ。
というか、この3人には恥じらいというものがないのか?
「おっ、お前ら。男の俺と一緒にお風呂入るの恥ずかしくないのか?ほら、裸も見られるし...」
「いや、別に?だってお風呂で裸になるのは当然でしょ?恥ずかしいわけないじゃん?それに、裸を見られるったってただお風呂に入っているだし、そんなことでエッチなこと考えるほど変態さんじゃないでしょ?悠貴は。」
なるほど、確かに正論ではあるがなんだろう。どこか納得いかない。
確かに、お風呂に入る時はみんな裸だし、そこに恥じらいはない。だが、今のこの状況では話が違うではないか。
「それに、男女混浴のお風呂とかもあるんでしょ?だったら尚更恥ずかしがる必要がないじゃない。」
続けてミラが言った。
これも正論ではある。確かに男女混浴風呂は存在するし。だが、何度も言うが今のこの状況では話が違うではないか!
「それに、誰にだって裸を見せるわけじゃないんだよ。悠貴だから見せられるの。」
「───ッ///」
最後にカンナがトドメを刺してきた。そんな言葉、言われた方が恥ずかしい...。
これ以上は何を言っても無駄だと思い、甘んじて今日はみんなでお風呂に入ることを受け入れた。
本当に目のやり場に困るし、何より落ち着かない...。
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「いい湯だったねぇ悠貴」
「逆になんだか疲れたわ...」
天国のような地獄のような入浴タイムは無事に終わった。俺はずっと緊張しっぱなしだったため非常に疲れた。全く、朝から高カロリーである。
朝食を食べ終えた俺たちは日課である朝の散歩へ出かけた。
冬の澄んだ空気が気分をリフレッシュさせてくれる。
「朝にお風呂に入るのもありだね。」
「毎朝あんなふうに入る?」
「掘り返さなくていいから!それに朝風呂に入るなら自分たちだけで入ってくれ。じゃないと俺の心臓がもたねぇ...」
気分をリフレッシュしたというのに今朝の出来事を掘り返してくるミラと凛。カンナも「うんうん」と頷いている。マジでこんな高カロリーなプレイ2度とごめんだ。緊張しすぎて寿命が縮んでしまいそうだ。
「にしても、今日も平和だねぇ。」
「子供たちも公園で元気に遊んでるよぉ。」
「お前らおばあちゃんみたいな言い方だな。」
朝日が眩しいのか、わざとおばあちゃん感を演出しているのか、ミラと凛は両目を細めてそう言った。
ってか、『平和だねぇ』のあたりフラグじゃねぇよな?このあと激しい天変地異が起こるとかそんなんじゃないよな?
「私も遊んでくる。」
カンナはそう言うと公園に走っていった。他の2人とは違ってあいつは見ため通り子供っぽくて元気がある。
俺たちは自動販売機でホットココアを買って、カンナが向かった公園へと向かった。
──────────────────
「紹介する。私の友達の千尋。」
「はっ、はじめまして。福山 千尋です。小学6年生です。悠貴お兄ちゃんのことはカンナちゃんから聞いてました。」
そう言ってカンナから紹介された友達の千尋は汚れのない無垢な笑顔を見せてくる。
なんだこの胸の高鳴りは!?悠貴お兄ちゃん!?危うくロリコンの道を切り開きそうになってしまった。
「うん、よろしく。隣にいるかわいいお姉さんはミラと凛だ。」
「よろしくお願いします。」
「「はい、よろしく~。」」
千尋はペコッとお辞儀をしてからカンナと一緒に遊具の方へ走っていった。
なるほど、最近カンナは外出が多いなとは思っていたのだが、この世界で友達を作っていたとは。
確かに、その昔カンナは人間の子供と遊ぶのが好きだったので人間の友達を作るのも当然のことではあるが、カンナは人間からひどい暴行を受けて以来、人間を信用できなくなっていたので、カンナが少しずつ成長し、少しずつ人間を信用できるようになっていることが嬉しかった。
「君たちもカンナを見習った方がいいんじゃない?この世界に友達いないよな?」
「別に友達なんかいなくても悠貴がいればそれでいいんだもん。」
「おっ、おう...///」
「なっ、なんで悠貴が恥ずかしがってるのよ。」
いらないことを言うからこんな気まずい空気になってしまう。
最近こういうことが多いからな。言動にも少し気を使わなければ。
「提案があるんだけどさ。亜人界に行かない?」
「えっ...!?」
ミラの提案を聞いた瞬間、体が凍りついたような感覚に襲われた。亜人界に行くなんてこと考えたことなどなかったからだ。
でも、みんなの夢を叶えるためにはいずれ亜人界に行かなければならない。
「なんで急にそんな話を?」
「それが、治安維持隊セレクト支部部長が悠貴に会いたいって言い出したの。」
ミラが所属している治安維持隊というのは、人間界で言うところの警察のような組織である。パトロールをして、何か起こったらすぐに駆けつけて、悪い人を捕まえる。こんな感じの仕事をミラは週3ぐらいの頻度で日中、亜人界に赴き、こなしている。
そこの支部部長ともあろうお偉いさんが俺に会いたいというのは一体...。
とりあえず考えてみることにした。
──────────────────
「で、てめェらが亜人界に行ッている間俺たちが人間界を侵略しようとしている亜人を片ッ端からひねり潰せと?」
「そこまで怖いことは言ってないけど、だいたいそんな感じだ。」
翌日、亜人界に行くことになった俺、ミラ、凛、カンナを見送るためにアクセルとアルケナが来てくれた。
俺たちが亜人界に行っている間はこの2人に人間界を任せることにした。最初は驚いていたが、2人とも快く承諾してくれた。
ミラが両手を前に出し、闇属性吸収魔法の応用で時空に裂け目を作り出す。
こんなことを成し遂げられるのは吸収極地であるミラだけだろう。さすがである。
全てを飲み込むかのように大きな口を開ける時空の裂け目。俺は大きく深呼吸をして気持ちを整える。俺は後ろに振り向いて、
「じゃあな!行ってくる!」
そう笑顔で言って裂け目の中に新たな一歩を踏み込んだ。
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