ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

文字の大きさ
上 下
337 / 399

いつか紡がれる新たな絆に 5

しおりを挟む


「長年の欲求は凄いですよ?サフィア様もいずれ愛しい方と結ばれご家庭を築かれるでしょう。そうしてきっとお子が生まれる。その時はその子に自分が望んだ全てを与えて差し上げて下さい」

 流石に今から兄妹は厳しいかも知れないが、もし自分が寂しい思いをしたのならその分家族を精一杯愛して甘やかしてあげればいい。

「幼い頃からサフィア様が甘やかしては女の子だった場合ご結婚が大変かも知れませんが」

 普通にファザコンになりそうと思って笑う。

「それにご兄弟だってこれから出来るかも知れませんよ?いずれ伴侶となられる愛しい方にご兄弟がいらっしゃればその方はサフィア様の義理のご兄弟になられるのですから」

 ぽかん、と俺の話を聞いているサフィアへ揶揄からかうようにそう告げた。
 その瞬間。

 ボンッ!!?

 音がしそうな勢いでサフィアの白い肌が真っ赤に塗りつぶされた。

『は、伴侶…ご義兄弟』

 めっちゃ珍しい…。

 冷静なサフィアから心の声が聴こえるなんて殆どないのに。

 真っ赤になって何やら狼狽してるサフィアというレア案件に、やべっ、揶揄からかい過ぎた?と俺は飲み物を受け取って取り敢えず彼へと押し付けた。
 礼と挨拶を述べ逃げるように去ってくサフィア。
 そして何やら腕を組んで不機嫌そうなティハルト。

 俺が戸惑いながらも色んなことに焦っていると、非常に楽しそうなアイリーンにぐいぐいと腕を引かれて引き寄せられた。

 そして耳元に近づく艶やかな唇。

「サフィア様ね、今ちょっとシェリルちゃんと良い感じなのよ。まだ付き合ってないけど絶対両想い」

「マジで!?」思いっきり叫びそうになって慌てて堪える。
 でも思いはバッチリ伝わったようで力強く頷かれた。

 脳裏に二人の姿を思い浮かべる。

 うわっ、めっちゃお似合い。

 そしてティハルトの不機嫌の理由もわかった。

 悪い、ティハルト。
 知らなかったんだ。


 それはそうと。

 攻略対象者が次々ヒロイン以外とカップル成立しそうなんですけど大丈夫?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

私は、忠告を致しましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。  ロマーヌ様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ?

公爵令嬢はアホ係から卒業する

依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」  婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。  そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。   いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?  何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。  エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。  彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。    *『小説家になろう』でも公開しています。

断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた

七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。 真剣に考えたら負けです。 ノリと勢いで読んでください。 独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。 なろう様でもアップしています。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

悪役令嬢の独壇場

あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。 彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。 自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。 正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。 ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。 そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。 あら?これは、何かがおかしいですね。

乙女ゲームはエンディングを迎えました。

章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。 これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。 だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。 一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。

処理中です...