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いつか紡がれる新たな絆に 2
しおりを挟むパーティーに於いて飲食は正に避難スポットだ。
何故なら食事中にむやみやたらに話しかけるのはマナー違反だから。
声を掛けてくるとしたら親しい相手か、そんなことなど気にしない連中かのほぼ二択。
なのである意味最終手段。
とはいえ、貴族に於いてパーティーは単なる道楽ではなくお仕事だ。重要な社交の場で必要不可欠。悠々と食事をしている暇なんぞなく故に最終手段。
「随分とお疲れだね。君が隙を見せるなんて珍しい」
「引く手数多だったんだもの。ちょうど断りにくい方々が続いてね。こっちは女性なんだから紳士として気遣って欲しいものだわ」
全くもう、と憤る彼女は今日もお色気ムンムンだ。
「カイザー様だって相変わらずモテモテじゃない。でもいつもよりマシかしら?」
「例の噂のお蔭でね」
思わず苦笑いが漏れた。
例の噂…つまりは俺が黒竜に剣を向けたアレだ。
それのお蔭で最近は女性のお声掛けも絡んでくる野郎も減ってはいる。特に後者。
「ダンスは得意じゃないからいいのやら悪いのやら」
俺の言葉にアイリーンは「よく言うわ」と瞳を眇める。
いや、マジで。
ダンス自体は別に苦手じゃないけど、密着すると高確率で相手の心の声が聴こえちゃうんでとは言いたいけど言えない。
小休憩をとった俺らは名残惜しくも人混みへと戻り、そして出会ったティハルトから「お前らだけ狡いぞ」という視線を向けられた。
国王陛下におかれましては俺らの比でないぐらいにあらゆるお声掛けがひっきりなしだったらしい。
そして半ば八つ当たりも兼ねてか捕まった。
陛下に一言でも挨拶をしたい面々との遣り取りに巻き込まれる俺。ダンスからは逃れられたがこれはこれで面倒臭い。
「あの噂、役に立つな。いっそ積極的に魔王説を押し出すか」
「…やめて」
狸ジジィ共を相手にしつつ、例の噂のお蔭で飛んでくる嫌味やなんかがいつもより少なく、かつ若干引き気味で引き上げが早いことに気を良くしたティハルトが物騒なことを呟いた。
便利だからと親友を魔王に仕立てようとすんな。
あと実際の魔王は恐怖の存在なんかじゃなくて激カワだからな!
今は夢の中だろう真紅の髪のプリティー魔王を思い浮かべた。
最近マオは寝る前に俺に絵本を呼んで貰うのがお気に入りだから、今日はご機嫌斜めだったのだが素直に寝てくれただろうか?
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