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まさかの俺だった! 4
しおりを挟むきゃあ!と華やいだ声を上げ、
「お兄様!」「カイザー様」と同じく身を乗り出してきらきらしい瞳を向けてくる美少女たちに俺は固まった。
っていうか、アイリーンはどういう情報網なの?
何で考案段階の次回作予定とかクリスティーヌ嬢の恋模様とか知ってんのさ?女性の情報網怖い…。
そして実際救出に大活躍したのは俺じゃなくてハンゾーたちだし。
恋に堕ちるならハンゾーが妥当だと思うんだ。
異常な喰いつきを見せる彼女たちを必死に躱し、何とか帰宅。
そして俺が話してくれないのなら、とベアトリクスは当日一緒だったランやリリアに話を振った。
そして今に至る。
「お兄様恰好いいっ!」
「………っ!!」(バンバンと机を叩きつつ奇妙に身もだえる音)
「ええ、とっても素敵でした。まるで物語のワンシーンのようで、あのお嬢様が恋に堕ちてしまわれるのも仕方のないことだと思います」
人から聞かされる自分の話はどうしてこうも気恥ずかしいのか。
若干くさいことを言った自覚のある俺は額に手をやって項垂れた。
もう止めて!
恥ずかしいから許して下さい!!
女性陣+若干一名の視線とは裏腹に大絶賛される俺を見遣る男性陣の瞳には僅かな同情があった。
「そんな美味しい場面を見逃したなんてっ!!?」
「私も見たかったです。シェリル様にも教えて差し上げないと」
「ともあれ、お疲れ様でした。無事解決出来て何よりです」
「流石は兄上です。一人の犠牲者も出さないとはお見事です」
「アンタ、何だかんだで女子供に甘いよな。ハンゾーたちもだけど…」
上からリリア、ベアトリクス、リフ、ガーネスト、ソラの発言だ。
「“リャナンシー”も楽しみですけど、次の公演も楽しみですねっ!!カイザーお兄様、ガーネスト、絶対観に行きましょうね!男性役は誰かしら?並みの役者では許しませんわ。お兄様並みとまではいかなくとも、せめてその足元ぐらいには及ぶ殿方でないと」
満面の笑みを浮かべた後、真剣に考え込む我が妹。
どうやら自分がモデルな演劇を観に行くのは決定事項のようです。超恥ずかしいんですけど。
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