313 / 399
外見詐欺は世に溢れている 2
しおりを挟むランは男だ。
ぽよん、と。俺の胸元に感触を伝える二つの塊。
喉仏を隠す為か、首から覆われるタイプのドレスを身に着けたまごうことなき美女。
美女にしか見えない眼の前の美人。
何なの?忍者って何でもありなの?
肉体変化まで可能ですか?
どの角度からみても美女にしか見えないランを前に俺は心の中で問いかける。
何だ…一体何が詰められているんだ?!
素晴らしいぽよよん触感の正体が気になって無意識に視線がいきそうになる俺でした。
ランは我が家の忍者集団の中でも一見異質な存在だ。
今の女装ほどではないが、普段のランも女性に間違われることはしばしば。
先程も述べたが、色白で上品な顔立ちに、淡い薄藤の髪に藤色の瞳。長い髪は普段の俺と同じように肩のあたりでくくって前へと垂らしている。本人は俺とお揃いだと気に入っているらしい。
因みに今の俺の髪型は雰囲気を変える為もあって後ろで緩い三つ編みです。ランはアップにしてる。
おっとりと嫋やかな印象で、派手な美人ではないが和服が似合いそうな和風美人。
実際ランはよく白い羽織のようなものを身に着けている。
何故なら黒が似合わないから。
下は他の皆と同じ動き易い黒装束なんだけど、似合わないから任務とか鍛錬の時を除いてはその上に白い羽織を羽織ってる。
寡黙で若干排他的。
人付き合いがあまり得意でない影達の中にあって異質な性格。
あまり人前に姿を現さない彼らと違い、使用人たちとも普通に話し、何より荒事とは無縁に見える。
余談だが、俺は知っている。
ウチに入ってすぐのソラが嫋やかな美人であるランに密かにときめいていたことを!!
まぁ、無理もない。
ランは美人だし、ハンゾーの鍛錬という鬼のしごき真っ最中だったソラが自分を気遣ってくれる美人にぐらっときても仕方がない。
その後、性別知って打ちひしがれてたけど……。
ドンマイ!
そしてそんな嫋やか美人なランさん。
「ご安心下さい、カイザー様」
藤色の瞳が真っ直ぐに俺を見つめる。
「私は必ず、貴方様のお役に立ってみせます」
『貴方様の敵は全て肉塊へと変えてみせます』
「ワータノモシイナー」
思わずカタコトになる俺。
これです。
ランさんの本性(?)。
聴こえた心の声の如く、バリッバリの強硬派でいらっしゃいます。
89
お気に入りに追加
472
あなたにおすすめの小説
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?

公爵令嬢はアホ係から卒業する
依智川ゆかり
ファンタジー
『エルメリア・バーンフラウト! お前との婚約を破棄すると、ここに宣言する!!」
婚約相手だったアルフォード王子からそんな宣言を受けたエルメリア。
そんな王子は、数日後バーンフラウト家にて、土下座を披露する事になる。
いや、婚約破棄自体はむしろ願ったり叶ったりだったんですが、あなた本当に分かってます?
何故、私があなたと婚約する事になったのか。そして、何故公爵令嬢である私が『アホ係』と呼ばれるようになったのか。
エルメリアはアルフォード王子……いや、アホ王子に話し始めた。
彼女が『アホ係』となった経緯を、嘘偽りなく。
*『小説家になろう』でも公開しています。

断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた
七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。
真剣に考えたら負けです。
ノリと勢いで読んでください。
独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。
なろう様でもアップしています。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。

悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。

乙女ゲームはエンディングを迎えました。
章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。
これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。
だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。
一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる