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その褒め言葉は素直に喜んでよいものか… 1

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 白く細い指をそっと抑えた。

 訝し気に此方を見る紫に赤が混じった色合いの瞳に俺の黄金の瞳が映り込む。
 最後の一枚は俺が伸ばした手によって捲られないまま。

「時間です」

 告げた俺の声に、砂時計の砂が落ちきった。

 ジュリア嬢の手を放すのと、「次の方どうぞー!」と小部屋から呼び出しの声がかかるのは同時だった。
 消化不良気味の外野を残し、俺はジュリア嬢に礼をいって立ち上がる。

 正直、占いの最後の結果が気にならないわけじゃない。
 だがこれ以上妙な核心をつかれて外野に騒がれるのも面倒だ。

 手渡された衣装を持ってカーテンで仕切られた空間へと足を進めた。



 落ちきった砂時計を眺め、去りゆく背中を追う。
 最後の一枚、捲られなかったカードを捲りその図柄を眺める。

「……」

 ジュリアはカードを口元へ当て、無言で何かを考え込んだあとカードの山を集め始めた。混ぜ合わせ、まとめ、束をつくる。
 引き抜いた一枚を除いて。

「次の方どうぞ」

 そして次の客を迎え砂時計をひっくり返した。




「よ、よろしくお願いしますっ!!」

 緊張しきった顔で頭を下げるのはマリア嬢。頭には猫耳、そして縞柄の長い尻尾。横でマリア嬢に声援を飛ばすダイアナ嬢は狐耳にふさふさの尻尾だ。

「こちらこそよろしく。二人とも良くお似合いですね」

 ぽっと赤くなる彼女たちは可愛いけれど、そんなに緊張しまくって大丈夫なのかと思わないでもない。

 着替えが終わり、次はメイクとヘアセット。
 メイクやヘアセットは技術もいるからか手先の器用な生徒たちが専門で担当しているらしい。
 俺の担当はいつも女子力の高い髪型をしてるマリア嬢。

 ただ、今は緊張の為か手がぷるぷるしてるけど…。

「出来ました!!」

 額の汗を拭うマリア嬢の表情は達成感に満ちていた。
 偉業を成し遂げた感すらある。
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