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隠した弱音と晒した弱音 2
しおりを挟む誰も居ない廊下を歩く。
さて、生徒が殆ど帰ったこの時間。果たして彼らは居るだろうか?
疑問を持ちながらも、居るんだろうなと何となくそう思う。
そして辿り着いたそこに彼らは居た。
「カマル~!」
書架の迷路を抜け、旧図書室の奥へ進んだ俺は情けない声を上げながらおんぶお化けのようにホワイトタイガーの背に懐いた。
もふもふ、ふわふわ。
素晴らしい毛並みに覆われた後頭部に頬を寄せながら暫しその感覚を堪能する。
「よっ!」
アニマルセラピーで心を癒した後で、遅ればせながら片手を上げて挨拶。
体勢はおんぶお化けのまま。
「居るかなーとは思ったけどやっぱ居るんだな、この時間でも」
果たして家には帰っているのだろうか、それとも図書室の妖精さんの呼び名の如く此処の主だったりするのだろうか……。
「お疲れだね」
本から顔を上げた眼の前の彼から発されたのは俺の言葉への返事ではなくそんな言葉で。
「お疲れ、っていうか凹んでる?カマルー癒して!」
ぐでーと再び項垂れた俺はカマルの前足を持ち上げて肉球をプニプニ、ピコピコ。
されるがままのカマルは虎なのに本当に大人しいよな。
『凹んでる…』
そして何か触れ合ってるカマルくんから心の声が聴こえてくるんですよね。
普通に言葉通じてるし。
俺、動物の声も分かるの?
ペットとか飼ってないし他の動物で試したことないけど人の言葉で聴こえるよ。
これはカマルだからなのか、何なのか??
図書室に虎っていうのも可笑しいし、カマルも妖精さん的な何かなの?
そして凹んでるってメンタルだから。
物理じゃないよ?
何処が凹んでるのかな?みたいなおめめで俺の全身眺めてますけど。
「別に貴方が凹むことはないんじゃない?」
淡々とした声音には慰めも励ましも含まれない。純粋な問い掛け。
「貴方が自己嫌悪に陥る理由なんてないんだし」
そしてやっぱり、彼は全て知っているのだろうか?
俺が何に凹んでいるかなんて話してないのに知ってるような彼に思わずじっとその姿を眺めた。相変わらず表情全くみえないけど。
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