ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

文字の大きさ
上 下
169 / 401

教育者として存在否定 1

しおりを挟む


「来週から学園が大騒ぎになりそうだな」

 苦笑いを浮かべながらそう切り出したのはティハルトで。

「確かに。女生徒たちの注目の的になりそうだね」

 ちょっぴりげんなりしながら俺もそれに同意する。
 だけどそれとは別に、女生徒の意識が俺から逸れるかもという期待も少々。

「あら?カイザー様こそ女の子たちに追い掛け回されてるって聞いているけど?どうなのかしら、ベアトリクスちゃん」

 面白そうに俺を上目遣いで見つめたアイリーンはあろうことかベアトリクスに問いかけた。

「はい。とても大人気でらっしゃいますわ」

 緊張しながら答えるベアトリクス。

「人のことは言えないじゃない。色男サン」

 艶やかな紅い唇を綻ばせるアイリーンはアレクサンドラに負けぬ色気の権化だ。

「色男だなんてとんでもない。色気というならとても君には敵わないよ」

 いや、マジで。

 今日も今日とてゴージャスな美貌の女王様(違った、王妃様だった)はドレスからはみ出んばかりの魅惑の谷間も、表情も仕草もお色気満点である。

 何なら、ベアトリクスより断然悪役令嬢の風情がある。
 ……いや、やっぱ悪役令嬢というのには語弊があるな。
 彼女は学園に通ってた令嬢だった頃から既に女王様やら女帝といった風格があった。

 そんな本心から告げた俺の言葉だったが。

「お前たちもあの王子も大差ない。充分青少年やら少女の教育に悪そうだ」

 にべもなくティハルトに斬り捨てられた。

 待って、教育に悪いって何っ?!
 俺、仮にも教師なんですけど?!

 愕然がくぜんとしつつティハルトを見ればふん、と軽く流された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

断罪茶番で命拾いした王子

章槻雅希
ファンタジー
アルファーロ公爵嫡女エルネスタは卒業記念パーティで婚約者の第三王子パスクワルから婚約破棄された。そのことにエルネスタは安堵する。これでパスクワルの命は守られたと。 5年前、有り得ないほどの非常識さと無礼さで王命による婚約が決まった。それに両親祖父母をはじめとした一族は怒り狂った。父公爵は王命を受けるにあたってとんでもない条件を突きつけていた。『第三王子は婚姻後すぐに病に倒れ、数年後に病死するかもしれないが、それでも良いのなら』と。 『小説家になろう』(以下、敬称略)・『アルファポリス』・『Pixiv』・自サイトに重複投稿。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

『伯爵令嬢 爆死する』

三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。 その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。 カクヨムでも公開しています。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

婚約破棄で落ちる者

志位斗 茂家波
ファンタジー
本日、どうやら私は婚約破棄されたようです、 王子には取りまきと、その愛するとか言う令嬢が。 けれども、本当に救いようのない方たちですね…‥‥自ら落ちてくれるとはね。 これは、婚約破棄の場を冷ややかに観察し、そしてその醜さを見た令嬢の話である。 ――――――― ちょっと息抜きに書いてみた婚約破棄物。 テンプレみたいなものですけど、ほぼヒロインも主人公も空気のような感じです。

処理中です...