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限りある資源を大切に 2
しおりを挟む昔に比べて鍛錬の時間が減っているからか少し体力が落ちている気がする。
最近忙しかったしなーと思いつつ、もう少し鍛錬の時間を取るべきかと考える。
別に俺自身が闘ったりする必要性は特にないものの、折角身に着けた力が衰えるのは頂けない。それが活かす機会のある力であるかないかに関わらず。
体力が落ちているのは運動不足だろう、うん。
流石にまだ歳の所為とか考えたくない。
二十代半ばとはいえ、衰えるにはまだ早い筈だ。
運動不足、運動不足。
よし、少し運動時間を増やそう。
それ以外の結論は認めない。
建設的な結論を出し、俺は立ち上がると鍛錬場の外の手洗い場へと出た。
持っていた剣を隅に立てかけ、首元を乱雑に緩める。
汗を含んだ髪が鬱陶しくて、長い髪を結っていた紐を取り払う。水道の水を勢いよく出すと、そのままその下に頭を突っ込んだ。
アレだ、野球部とかの学生が部活終わりによくやってる感じ。
間違っても公爵家嫡男のやる所業じゃねーけど。
汗が気持ち悪くて仕方がなかったのと、あと………。
誰にも今の情けない顔を見せられなかったから。
ひっどい表情をしている自覚がある。
無様で不安そうで、すっっげぇ情けない顔。
流れ落ちる水の勢いと、長い髪が今の俺の表情を隠してくれる。
何せこの敷地内には現役忍者が多数居る。
正に“壁に耳あり、障子に目あり”だ(この世界障子はないけど)。
今この場に人影が見えないからといって誰も居ないとは限らない。
図書室でのように頭を抱えて奇声を発するわけにもいかなければ、こんな情けない顔を晒すわけにもいかないのだ。
24時間、いつでもカメラ目線を忘れずに!!ぐらいの心根で挑まねばならんのだ。
でも今はちょっと無理そうなんで強引な誤魔化し!
結果…。
汗は大分流せたし、頭も冷えたんだけど。
同時に長い髪も上半身もびしょ濡れっていうね……。
取り敢えず長い髪と服の裾をギュって絞る。
うん、びっしょびしょ。
あれだよね、学生が手洗い場に頭突っ込んで汗流すのは男子学生大体短髪だからだよね。
長髪の人間が外であれやったら大惨事☆
まぁ、幸い今日は天気もいいし外に居ればいずれ渇くか、と剣を手にして歩き出す。
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