ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

文字の大きさ
上 下
151 / 401

空回りへの序章 4

しおりを挟む
(リリー視点)


「聞いたことのない異国の言葉やよくわからない言動をする方、ですか?」

 こてん、と首を傾げる動作に華やかな金髪が揺れる。
 色々とカマを掛けてみたものの、らちが明かず手っ取り早く聞いてみた。

「そう、普段あまり聞かない言葉を使ったり、人と違う反応をしたりする人居ないですか?」

 身も蓋もないな……。

 そうは思うものの、他にどうしようもなかったんだから仕方ないじゃない。
 ノリ突っ込み的に自分にそう言い訳をする。

 というか、ベアトリクスちゃんは転生者じゃないっぽい?この素直さは天然ものな気がする。寧ろこれが演技だったら女優です!

 悪役令嬢が転生者という大穴が外れ、他の関係者にもさりげないカマ掛けをしつつ成果が得られなかった私は結果いまいち意味のわからない質問をすることとなった。

 いや、いきなり「転生者知ってる?」って言わなかっただけ頑張ったんだよ。

「ん~、一人知ってますわ」

 まさかのっ?!

「えっ、ど、どんな言動ですかっ?」

 前のめりになって喰いつくと吃驚したのかベアトリクスちゃんが大きな瞳をしぱしぱと瞬いた。
 ヤバい、これじゃ私が正にその妙な言動する人その人じゃん!

「えっと、私のことを拝んで「萌えっ!」とか「尊い…」とかよくわからないことを呟いたり、いきなりテンションが振りきれたりしますわ」

「…っ!?」

 確 ・ 実・ に、転生者じゃないですかっ!!!

 この世界で“萌え”とか聞いたことないもの!


「因みにその人はっ?」

「私のメイドですわ」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

転生ヒロインは乙女ゲームを始めなかった。

よもぎ
ファンタジー
転生ヒロインがマトモな感性してる世界と、シナリオの強制力がある世界を混ぜたらどうなるの?という疑問への自分なりのアンサーです。転生ヒロインに近い視点でお話が進みます。激しい山場はございません。

処理中です...