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悪役令嬢フラグ勃発っ?! 2

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「今日は朝から随分とご機嫌だね、ベアトリクス」

 可愛さに耐えきれずに頭を撫でればそのまま嬉しそうにすり寄られた。

「だって、今日を本当に楽しみにしていたんですものっ。カイザーお兄様が私たちの学園の教師になられるなんて嬉しすぎます!それに私も高等部に進級出来てまたダイア様たちと一緒に過ごせますし」

 最後の言葉だけ頬を染めて小さな声で告げたベアトリクスの破壊力の高さっ!

「僕も嬉しいよ。やっと、また君と過ごせる」

 ベアトリクスの手をとってシトリンの瞳を覗きこむダイアの声の甘いこと甘いこと。
 近い!近すぎるぞダイアっ!!

「そんなことより俺達もそろそろ行くぞっ!ホームルームに遅れる」

 流れ弾に胸を痛めていた俺は二人の空間に割って入ったガーネストに心の中で喝采を贈った。
 ナイス!ガーネスト流石ー!!

「兄上、昼食はご一緒出来ますか?」

「私は構わないけど……カトリーナ嬢は構いませんか?」

 同席するだろうカトリーナ嬢に確認をとれば、「勿論ですわ」と微笑まれた。
 この子も本当にいい子だよな。是非これからもベアトリクスたちと仲良くしてほしい。

「じゃあ、昼休みになったらベアトリクスたちの教室に迎えに行くよ」

 昼の約束と取り付けた俺はそのまま皆と別れ、その後は休み時間の度に大規模な鬼ごっこに強制参加の運びとなった。

 廊下を走るわけにはいかないので競歩での参加。

 鬼ごっこというよりかくれんぼ?

 一度、女子に見つかればあっと言う間に生徒に囲まれる。
 なので壁の間から廊下を窺い、チャイムの音を待ち望む俺。

 物凄い疲労感を抱えつつ、よろよろと個室の扉を開く。

 そして鍵!!
 鍵の閉まる音にこれ程の頼もしさを覚えたのはかつてない。

 ふらふらとソファへと倒れ込む。ぐでーと朝の体勢再び。
 何とはなしに片手を額の前に掲げる。

「舐めてたわ。女子学生こわっ……」

 呟いた声は疲れ切っていた。
 そして同時に我が家のメイドの視線を思い出す。

『わかってますね?手を出したら犯罪ですからね!ベアトリクス様にお兄様なんて嫌いっって言われちゃいますからね!!』

 心の声と視線で雄弁にそう語りながら俺を見つめてたリリアさん。

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