ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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悪役令嬢フラグ勃発っ?! 1

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 挨拶を終え、壇上から降りる。
 一歩動くごとに俺を追ってついてくる視線。

 きゃあきゃあと燥ぐ少女たちに、女の子たちの視線を掻っ攫う俺に面白くなさそうな表情を向ける少年たち。
 そして一部頬を染める少年……。
 ……。

 入学式が終わり、解散となった途端俺は人だかりに囲まれた。主に女子。

「初めましてっ、私三年の……」

「ちょっと、抜け駆けしないでよっ!!あの、私…」

「私っ、絶対に音楽の授業取りますっ!!」


『きゃー!!すっごい美形!!むしろ人外?!』

『異能を持たない『無能』って聞いてたけど、全然有り!!寧ろモロ好みっ!!』

『凄い……。気品があるのに色気ただ漏れとか何という矛盾!』


「あの、ちょっと離れて……」

 押しかけてくる少女たちに悪意はなく相手が女性ということもあって乱暴に引き剥がすわけにもいかない。

「そこの生徒たちっ!!離れろっ!!じきにホームルームが始まる、直ちに自分たちの教室に戻るように!!」

 そしてそんな俺を助けてくれた凛とした声。

 モーセのように割れた人混みの中を颯爽と進み、俺を背に庇い毅然と言い放ったのは、エーデルシュタイン高等部の生徒会長でも在られる我が弟!!

 ウチのガーネストが格好いいっっ!!
 赦されるのなら、さっきの少女たちみたいに「きゃー!!」って叫びたい。

「カイザー兄上、大丈夫でしたか?」

「ああ、有難う。ガーネストは凄いな、立派な生徒会長ぶりだね」

 そしてお兄ちゃんの褒め言葉に照れるウチの子、可愛い。
 カッコカワイイとか最強か。
 流石はゲームの攻略対象者だけあるぜ。

「予想はしてましたが、大人気ですね。カイザー殿」

「……ダイア。面白そうな顔をしないでくれないか、ティハルトに似てきたぞ」

「それは光栄です。ティハルト兄上は僕の目標なので」

 クスクス笑うダイアは本当にゲームよりイイ性格になった気がする。

「お兄様がおモテになるのは当然のことですわ。だって私のお兄様ですものっ!」

 何時の間にか近寄って来て、えっへんと胸を張るベアトリクス。

 何その理屈になってない理屈。
 可愛すぎるんですけどっ!
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