ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

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主として成すべきこと 4

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 一息ついてソファの背もたれに凭れ掛かった俺はじっとりとソラを見た。

 伝わらないのはわかってる。
 だけど真面目な話が終わった所で、先程の「俺を仲間外れにしやがって!」って気持ちが復活したからだ。

 完全なる八つ当たりだったのだが、何故かソラがうっと肩を震わせた。

「アンタ本当は全部わかってんじゃないの?マジで底が知れないんだけど」

 ………はい?(二回目)

「まだ不確かだし、ちゃんと裏とってから報告しようと思ってたんだけど。鋭すぎだろ。姫さんのこと、邪魔に思ってる奴らがいるかも知れない」

 何ですとっ?!

 因みにソラ曰く姫さんとはベアトリクスのことである。

「アンジェスの末裔に男児を生ませたい。お相手もそれなりに地位のある奴が望ましい。落とし子は二人とも姫さんと同じ年で来年からは学園に入学する。そんで同じ学園にはこの国の王子様が居る」

 つまりは、
 ダイアを狙いたいからベアトリクスが邪魔ってことかー!!

 マジ冗談じゃないんですけど。
 そして俺は、そんなこと微塵も考えてなかったんですけどっ!!

 心の中の動揺を押し隠して膝の上で腕を組んだ俺は影たちを見据える。

「ベアトリクスの警備を厳重に」

 俺の言葉に影たちが跪いて「はっ!」と声を揃えた。


 その後、雑談にて。
 何か言いたそうに口を開いては閉じてを繰り返していたサスケへ問いかけると。

「例のアンジェスの血筋の者なんですが………」

 無表情なのに困惑を訴えるサスケの瞳。

「ちょっと変です」

「変?」

「なんか……姫君のメイドに似てます……」

 因みにサスケはベアトリクスを姫君と呼ぶ。
 そしてそのメイドと言えば……。

「……リリアに?」

 俺の問い掛けにサスケは両手で手を振った。

「あ、でもっ……。あの人みたいにあからさまに変じゃないです。ちゃんと、普通?なんですけど…なにか……あのメイドに似た空気を感じます……」

 ………。
 待って、どっち?
 どっちのヒロイン?

 もしかして、と若干の嫌な予感が頭を掠める。


 そして、リリアが堂々とサスケに「変な人」扱いされている件。

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