ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

文字の大きさ
上 下
80 / 401

シュール極まりない 4

しおりを挟む
 
 何故オムライスか。

 それは俺がオムライスを好きだからではない。
 まず、ドレスのような芸術的な美しさを持つオムライスは見栄えがいい。
 そして俺が実際に調理する工程を披露出来る。

 つまりは、米の存在を効率的に弟妹たちにアピール出来る!!

 西洋文化よりな世界では白米よりも親しみ易いだろうし、何より兄の俺が作ったという点で高評価を期待出来る。

 これからも定期的に白米をゲットしたい俺はアピールに余念がない。
 俺の本気を見るがいい(キリッ)。

「米は腹持ちがいいらしいし、このおにぎりっていうのは携帯にも便利そうだけどどうかな?」

 隠密行動が多く、まともに食事をする時間のないことも多いハンゾーたちに勧めれば、影の皆は概ね米、それも白米を気に入った様子。だよね、だって忍者だしね!

「不思議と懐かしい気がします」

 もくもくとおにぎりを食べるハンゾーたち。
 中でもソラは一際感動してる。わかる、米、懐かしいよね。
 そんな中、一人訝し気に手に持ったおにぎりを眺めるサスケ。

「口に合わなかった?」

「いえ、美味しいです。ただ白いのだなと思って」

 白い…。そりゃ白いよね?

「先日行った先の米は白でしたが、この形のものなら他の場所でも見たことがあります。色が違うのでわからなかったですがあれも米だったんですね。何やら黒っぽい液体や芳しい土みたいな調味料を付けて網の上で焼いていました。色は茶色っぽかったので」

「く、黒っぽい液体に芳しい土」

 そ、それって……。

「醤油と味噌っ!??」

 はいー、リリアさん。毎度のことながら有難う御座います。
 ですよね!?醤油と味噌ですよね!?
 焼きおにぎりじゃん!!喰いたい!!

「リフ様っ!!すぐさま醤油と味噌手配して下さいっ!!」

 大声を張り上げるリリアさん。

 うん、異論はないけどメイドとしてまずはおれに許可とろうね?
 だが、赦す!頼んだリフ!

「場所わかんの?遠いなら俺が連れてってやるけど」

 転移の能力を貸してくれるというソラ。
 転生者組が懐かしの味の確保に必死です。


 そして後日、
 庭にでっかい網だして、焼きおにぎりパーティー!

 美味い、物凄く美味しいけど、貴族の庭で焼きおにぎりパーティー……。

 絵面の違和感が酷い。


 ナイスな働きをしたサスケ君には後日、好物の羊羹ようかんを沢山進呈しました。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません 

志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。 まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。 だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥ たまにやりたくなる短編。 ちょっと連載作品 「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

傍観している方が面白いのになぁ。

志位斗 茂家波
ファンタジー
「エデワール・ミッシャ令嬢!貴方にはさまざな罪があり、この場での婚約破棄と国外追放を言い渡す!」 とある夜会の中で引き起こされた婚約破棄。 その彼らの様子はまるで…… 「茶番というか、喜劇ですね兄さま」 「うん、周囲が皆呆れたような目で見ているからな」  思わず漏らしたその感想は、周囲も一致しているようであった。 これは、そんな馬鹿馬鹿しい婚約破棄現場での、傍観者的な立場で見ていた者たちの語りである。 「帰らずの森のある騒動記」という連載作品に乗っている兄妹でもあります。

悪役令嬢らしいのですが、務まらないので途中退場を望みます

水姫
ファンタジー
ある日突然、「悪役令嬢!」って言われたらどうしますか? 私は、逃げます! えっ?途中退場はなし? 無理です!私には務まりません! 悪役令嬢と言われた少女は虚弱過ぎて途中退場をお望みのようです。 一話一話は短めにして、毎日投稿を目指します。お付き合い頂けると嬉しいです。

私ではありませんから

三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」 はじめて書いた婚約破棄もの。 カクヨムでも公開しています。

落ちこぼれ公爵令息の真実

三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。 設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。 投稿している他の作品との関連はありません。 カクヨムにも公開しています。

処理中です...