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シュール極まりない 1
しおりを挟むこ、これは!?
掌に乗る幾つもの白い物体。
固く乾燥し、先端が僅かに欠いたそれ。
見慣れぬ、だけど同時に酷く懐かしいそれに思わず手が震える。
「“米”というものだそうです」
淡々と抑揚を欠いた声がその答えを告げた。
「米っ!?」
通りすがりのリリアが聞こえた単語に凄い反応で喰いつき、ダダダッと足音も荒く駆け寄ってくる。そしてその勢いに引くサスケ。
以前のハンゾーの時といい、リリアはナイスタイミングで通りかかるな。
「米っ、米は何処にっ?」
詰め寄られたサスケはドン引きつつも、米の行方を告げれば今度は俺がリリアに詰め寄られないか心配している模様。
表情は無表情なのに瞳は困惑を伝えていて、俺は苦笑いをしながらリリアに呼びかける。
「これが“米”というものらしいよ」
小袋に収められたそれを幾らかリリアの掌に載せた。
「ほ、本物の米っ!」
拝むように両手をお椀型にして米を掲げ打ち震えるメイドの姿にそれを持ってきた当のサスケは不審者を見る瞳を向けていた。
サスケ、というのはハンゾーの弟子。
幼い頃から暗殺業に身を置いてきた子供だ。
ある時、手傷を負ったサスケをハンゾーが助けた。
彼らが生きる世界に置いて、任務の失敗は即ち死を意味する。居場所を失い、死を覚悟していた彼を雇いたいというハンゾーに俺は許可を出した。
鈍色の髪に同色の瞳。
その生まれから親を知らず、名を持たず、歳も不明。おおよそ11,2ぐらいと思われる。表情は殆ど変わらず一見無表情に見えるが、甘いものを食べた時は僅かに目元や口元が綻ぶし、今だってその瞳には激しい困惑と不信を露わにしてるし意外と感情豊かだ。
そして、サスケという名。
もうお分かりだと思うが命名は我が家の転生者メイドにして奇人の名を欲しいがままにしているリリアだ。
由来は勿論、猿飛佐助。
堂々と「闇に生き、影に生き、主に忠義を尽くす意味を持ちます」の由来をリターンし、見事採用の流れとなった。
ハンゾーと鍛錬を重ねる姿は師弟というよりまるで親子。
我が家の影の最年少ということもあり可愛がられている。そして影の連中は皆(ソラ除く)ハンゾーに憧れを抱いているので、彼をリスペクトしてか職業柄故か全員黒い装束。
我が家に確実に忍者集団が形成されつつあります。
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