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愚か者たちの末路
さぁ、選んで? 4
しおりを挟む一歩、二歩、カーペットの上を進む。
「私、一つだけとても感謝していることがありますの」
そう、たった一つだけ。
「だから……彼らに慈悲を与えますわ」
広間に居る全ての者へ向かって、嫣然と微笑みかける。
困惑と心配を露わにする周囲の人間たちとは裏腹に、クズたちの瞳が期待と安堵に輝き出す。
その表情を見て、ファウスティーナの中に生まれたのはどうしようもない嫌悪だった。
この状況になってなお、彼らは一つも反省などしていない。
何とかなると、
誰かが何とかしてくれるはずだと。
当たり前のように そう思い込んでいる。
酷く醒めた気持ちで唇の端を引き上げた。
大いなる慈悲を与えよう。
だけどそれは 別に救いでもなんでもないけど。
「選ばせて差し上げます」
それは、あの日 玉座に踏ん反り返った男が放った言葉。
「一つ、他国で貴方方を欲しいと仰る方のところへ引き渡されるか。
一つ、この国と一切の縁を切ったうえ、国外追放か」
選ばせてやる内容が微妙に違うのは仕方ない。
何せでっちあげられた冤罪と違い、彼らは真実大罪人なのだから。
「勿論、「慈悲など不要だ!」と仰るのなら、相応しい求刑である生涯幽閉をお選びになって死ぬまで牢獄でお過ごしくださいな」
シン、と場が静まり返った。
だが、その静寂がいつまでも続くとは思わないので、
クズ共が我に返ってギャーギャーと騒ぎ出す前にとファウスティーナは周囲の人間へと向かって語り掛ける。
「通常の刑罰に当てはめるなら、確かに相応しいのは生涯幽閉。
ですが……牢獄で無為に過ごす彼らの生活費は民の税で賄われますのよ?この後に及んで民に犠牲を強いることになるくらいなら、国を出て頂いた方が宜しいのではないでしょうか?
皆様、血筋と容色は宜しいですもの。きっとお望みになる方もいらっしゃるわ」
“お望みに”というのはよくて愛人、悪くすればそれ以下だろう。言わないけど。
もと血統書付きとなればそれなりに高く売れる筈。
クズ共の所為で国はまだ困窮してるし、他国から外貨が入るのは願ったり叶ったりだ。
唯一利益があるのでファウスティーナ的にはこれがおススメ!
「国外追放の場合は……縁を切る切らない以前にもう我が国や周辺国には近寄らない方が宜しいでしょうけど…………」
頬に手を当て、困ったようにそう告げる。
憂いている風だが、実際全く憂いてなどない。
なにせ、祖国はともかく、周辺国にも恨みを買いまくってる人たちだ。
それが身分も護衛もなくして国外追放。
身内や住む場所を失くした人たちの側をその元凶が無防備にうろついていればどうなるかは想像に難くない。
サンドバックご希望なら別に反対はしないけどね?
「罪を悔いて正当な刑罰を受けるというなら、それを受け入れるべきでしょう。
どんな罪人にだって人権は存在するんですから」
綺麗ごとをいって慈悲深く微笑む。
実際は、罪を悔いてじゃなくて両方選べない場合は……だけど。
人として食事も寝る場所もある生活を提供してあげようじゃないか。
罪人として、一生硬く冷たい牢獄の中でだけどね。
「いかがですか?」と微笑めば、周囲は概ね大賛成。
当事者?
はぁ?知りませんけど??
クズ共の側に立つ見張りの騎士たちに猿轡を外してやるよう指示を出す。
なんせ喋れないからね、そのままじゃ。
「 さぁ、 選んで? 」
それが、救いとなるか 地獄となるか
全ては貴方たちの選択次第________。
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※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
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