異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

異世界転生といえば……昔ながらの王道プリン

久しぶりの厨房でクラレンスは腰に手を当てていた。

「今日つくるのはプリンです！」

どどん！
そんな効果音を背負って宣言した。

「プリン……ですか。材料的にスイーツですよね？」

たまごに砂糖、牛乳などの材料を見て料理長が確認してくるのにコクリと頷く。

じいちゃんのところではたまに作っていたプリンだが、こっちではお初。

異世界で料理といえばマヨネーズとプリンは鉄板ですよね。

そして……滑らかな口当たりで栄養価も高いプリンは風邪や体調不良のときにも鉄板なのです。

「ババロアとかみたいな食感で食欲がなくても食べやすいんです。たまごとか砂糖とかは滋養もあるし、あと普通においしい。具合悪いときとか無性に食べたくなるんで覚えてくれるとうれしいです」

要は作り方を覚えてほしい。

そして新しい料理大好きな料理人さんたちにとってもこの展開は大歓迎で異論はなかった。

というわけで、両者ヤル気にあふれてプリン作り開始です。

まずはカラメルソースを作りましょう。

小鍋に砂糖と水をいれカラメル色になるまで加熱。
火を止めて熱湯を加えて混ぜたらプリンカップにカラメルソースを流し込みます。

カラメルソース作りはこげないようにと、はねるので火傷に注意してくださいね。

お次はプリン液です。

ボウルに卵を割って溶き、砂糖を加えて混ぜます。
お鍋に牛乳と砂糖を入れて温め、ボウルで溶いた卵と砂糖を加えて混ぜたものをこします。

もしあればストレーナーなどを使うとより滑らかな食感に仕上がりますよ。
なければこし器でこしてください。

プリン液をカラメルソースをいれたプリンカップに注ぎます。

深めのバッドにカップを等間隔で並べ、お湯をカップの高さの１/４ぐらいまで注ぎます。

あとは１６０℃に熱したオーブンで蒸し焼きにします。

粗熱をとったら冷蔵庫で冷やしましょう。

「冷やしたものがこちらです」

約二時間後、じゃじゃーんとクラレンスはプリンをとりだした。

プリンカップから外すときに形がくずれてしまっては台無しなので、慎重に竹串で周囲を一周しプリンをお皿の上へととりだす。

ぷるぷるとふるえるプリン。
とろりと垂れるカラメルソースと相まってなんともおいしそうだ。

まずはひとくち。
たっぷりのカラメルソースとプリン部分を一緒にすくって口へと運ぶ。

「ん～♪これこれ！」

ふにゃりと笑み崩れる姿に料理人さんたちがスプーン片手にスタンバイ。

どうぞ、と視線で頷けば料理人さんたちも次々と味見をしはじめる。

「これは……。滑らかで美味しいですね。色んなアレンジもききそうです」

「うまっ！！」

「すっとなくなった！飲み物じゃん！」

若い料理人さんの一人が目を見開いて叫んだ。

プリンは飲み物説はこの世界でも存在するらしいです。

そしてクラレンスは料理長のアレンジ発言にうんうんと頷いた。
期待を前面にこめて大きく頷く。

「生クリームとかいれてもいいですし、少し固めだったり、それこそ飲めちゃいそうなほどトロットロなのもありです。牛乳を温めるときにバニラビーンズをいれればバニラの風味も際立つし、オーブンじゃなくて蒸し器で蒸してもおっけーです。アレンジ無限大」

「「「アレンジ無限大……」」」

料理人さんたちの目が輝いてます。
そして色んなプリンが食べられそうな気配に、クラレンスの心もうっきうき。

プリン、たまに無性に食べたくなるときありますよね。

個人的にはカラメルソースはほろ苦でたっぷりめが好みでございます。